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イラン:科学者暗殺・施設爆発…強まるモサド関与説
http://mainichi.jp/select/world/europe/news/20120120k0000m030086000c.html
【テヘラン鵜塚健、エルサレム花岡洋二】核兵器開発疑惑が持たれるイラン国内で、核科学者の暗殺に加え、関連施設の爆発やコンピューターウイルス感染など、不審な事件・事故が続き、イスラエルの対外特務機関「モサド」の関与の指摘が相次いでいる。イラン政府は、米国と並びイスラエル政府への敵意を強め、「冷たい戦争」が過熱している。
テヘランで今月11日、核関連施設で働く科学者が車で出勤途中、バイクで近づいた2人組に爆弾を仕掛けられ、爆殺された。複数の容疑者が拘束され捜査中だが、英サンデー・タイムズ紙は15日、情報筋の話として「(イスラエルが)長期間の情報収集、監視の上で計画したものだ」と報じ、当日早朝の事件実行までの様子を詳細に報じた。
イラン最高指導者ハメネイ師は「この臆病なテロ行為は、米中央情報局(CIA)かモサドが計画、支援したものだ」と非難。米政府は完全否定したが、イスラエル軍報道官は「犯人は不明だが、涙は一滴も出ない」とコメントした。イランで同様の手口で核科学者が殺傷される事件は10年以降、他に4件あり3人が死亡している。
昨年11月、テヘラン郊外の軍事基地と中部イスファハンの核関連施設周辺で大規模な爆発が相次ぎ、多数の死傷者が発生し、モサドの関与が疑われた。米情報関連企業「ストラトフォー」が先月公表した報告によると、イスラエルや米国は07年から、直接戦火を交えない「対イラン諜報(ちょうほう)戦争」を展開。科学者の亡命や、10年に問題となったウラン濃縮用の遠心分離機を誤作動させるコンピューターウイルス攻撃なども含まれる。
米外交専門誌「フォーリン・ポリシー」は今月13日、イラン南東部で09、10年に相次いだバルチ人反政府武装組織「ジュンダラ(神の兵士)」による爆弾テロでもモサドの関与を指摘。ジュンダラのテロリストの採用、訓練にモサド工作員が関与し、工作員が米パスポートを所持し、CIA関係者を装っていたとした。
イスラエルは81年と07年にイラクとシリアの核疑惑施設を空爆したとされ、近くイラン空爆の可能性も取りざたされる。しかし、イランの反撃や周辺情勢の悪化が予想され、リスクが高いと判断。軍事作戦ではない秘密工作を重ねることで、イランの核開発を遅らせているとの見方が強い。
◇モサド元幹部「核開発阻止は重要任務」
モサド元幹部(在籍87〜99年)で小説家のミシュカ・ベンダビド氏にイランとモサドの関係などについて聞いた。
モサドは、イスラエルへの脅威となる事象の情報を収集するために、米英を除く全ての国で活動している。「敵国による非通常兵器の開発または入手を防ぐこと」は柱となる任務の一つで、イランに重大な関心を寄せている。関連施設にコンピューターウイルスや爆弾を仕掛ける工作に関与した可能性はある。車爆弾による暗殺も一つの手法だ。イスラエル人は普通にはイランに入国できない。治安機関が実質的に国家体制を支配し、最も諜報活動がしづらい国の一つだ。
96年に(パレスチナ武装勢力)ハマスによる自爆攻撃が相次ぎ、当時のネタニヤフ首相はモサドにハマス指導者のメシャル氏の毒殺を指示した。(暗殺は未遂に終わり)私がハマス側に解毒剤を渡す役割を担った。
モサドは首相直属の機関で、暗殺など重大な活動は必ず首相が承諾か決定する。工作については常に肯定も否定もしない。【花岡洋二】
アラブの春
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毎日新聞 2012年1月19日 20時48分(最終更新 1月19日 21時36分)
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