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北朝鮮大崩壊→暴発そして日本の惨劇 200万人の難民、サリン搭載ノドン、テポドン・・・
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/31487
2012年01月07日(土) 週刊現代 :現代ビジネス
■「5029」作戦が発動
前項では、金正日総書記の死去により、北朝鮮国内では後継者・金正恩の暗殺をも含んだ内乱が起こる可能性を詳述した。北朝鮮が暴走すれば、その混乱はわれわれ日本人にとっても、決して対岸の火事では済まされない。
そもそも、日本と北朝鮮の間に国交はなく、'98年に日本上空にテポドンが飛来して以来、拉致問題などでたびたび対立。日本海を挟んでわずか1000km足らずの隣国であるにもかかわらず、日本人にとって北朝鮮は近くて遠い国≠ナあり続けている。
多くの日本人が北朝鮮という国家に対して抱くイメージは、「何をやってくるか予測不能な国」というものだろう。実際、これまで北朝鮮はおよそ国際社会の常識では理解できない行動ばかり起こしてきた。
金正日総書記の後継者として、金正恩が国際舞台に登場し始めた'09年以降に限っても、'09年4月にミサイル発射実験、5月に核実験を強行。'10年3月には韓国の哨戒艦『天安』を撃沈し、40名以上の乗組員が行方不明になった。続く11月にも、韓国・延坪島をだしぬけに砲撃し、韓国軍兵士および民間人の計4名を死亡させている。
世界にとって、もちろん日本にとっても不幸なことに、今回の金総書記の死去でこうした北朝鮮の特異な国家体質は変わるどころか、むしろエスカレートする危険性を孕んでいる。
というのも、金日成の後継者に内定した32歳から実際に指導者となる53歳まで、実に20年間もの歳月をかけて着実に準備してきた金正日に対し、正恩はまだ20代と若く、後継内定から3年弱しか経過していない。北朝鮮という国家は軍部の存在抜きに語れないが、その軍部での基盤が弱い正恩に、軍人たちを指導できるとは考えにくい。事実、前項でも紹介したように、正恩と軍部の関係は、すでに修復不能なほどに悪化しており確執も起きている。正恩が金正日という後ろ盾を失ったいま、軍部はさらに勢いづくばかりだ。
関西大学教授の李英和氏もこう危惧する。
「もともと北朝鮮は、少なくとも'12年いっぱいは、ロシアのプーチン首相とメドベージェフ大統領のように正日氏と正恩氏の『双頭体制』で国家を統治する予定だった。ところが今回の正日氏の急死により目論見は崩れ、正恩はいわばよちよち歩き≠フまま国家運営に当たらなければならなくなったのです」
金正日のように北朝鮮国内では絶対的な権力を持つ指導者でさえ、軍部のクーデターを恐れ、反乱の疑いありとなれば見せしめのように粛清することで、なんとか軍部を操ってきた。それなのに、よちよち歩きの「子供」がトップに立つ。今回の事態は、当の北朝鮮にとっても未知の体験なのである。
それが、日本にどういう影響を及ぼすのか。きっかけとなるのが米朝の対立だ。北朝鮮軍部の強硬派が権力を手にした時、真っ先に対抗するのは、世界の警察を自任する米国である。米国防総省幹部が言う。
「もし、北朝鮮の実権を軍の反米強硬派が握るようなことがあれば、われわれとしては座視するわけにはいかない。なぜなら、北朝鮮は数個の核爆弾および核物質、さらには弾道ミサイルを所有しているからだ。北の混乱に乗じて、これらの兵器がアルカイダやイランといった反米勢力の手に渡れば、米国の国防にとって大きな脅威となってしまう」
今回のような北朝鮮有事に備え、米軍はかねてから作戦計画5026~5030まで、4通りのプランを用意してきた。各作戦の概要は以下の通りだ。
●5026・・・北朝鮮の核施設を限定的に爆撃する。
●5027・・・北朝鮮軍の南侵(韓国への侵攻)が明白となった段階で進撃し、北朝鮮主要部を占領する。
●5028・・・欠番
●5029・・・北朝鮮の内部崩壊に際し、核・ミサイル施設を制圧する。
●5030・・・軍事力や謀略により揺さぶりをかけることで、朝鮮人民軍幹部を動揺させ、体制の内部崩壊を促す。
これら作戦計画のうち、金総書記死去によって注目が集まっているのは「5029」である。在韓米軍高官が、その内容を解説する。
「この計画は、北朝鮮の内乱により、軍部の強硬派が国内の核物質および核兵器を入手しそうになった場合、米国の特殊部隊や海兵隊を投入し、核を奪取するというものだ。また、核を奪取する時間的余裕がない場合は、こちらから核施設への先制空爆攻撃を行うこともあり得る」
北朝鮮と米軍の圧倒的な戦力差を考えれば、作戦は容易に完遂できるように思える。だが、軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏はこう警告する。
「米軍も、偵察衛星などを使って主だった核施設の所在は把握しています。しかし、山岳地帯の地下などに隠された核物質は簡単には発見できない。しかも、山岳地帯に隠れた北朝鮮軍がゲリラ攻撃を仕掛ければ、戦闘が予想以上に長引く恐れもあります」
金日成主席が指揮したとされる抗日パルチザンが、圧倒的な戦力差にもかかわらず、山岳地帯の地の利を生かし、日本軍を苦しめたように、精鋭ぞろいの米特殊部隊であっても、山間部でのゲリラ戦は苦戦必至だろう。
■在日米軍基地への攻撃
苦戦するにせよ、米軍が北朝鮮を封じてくれるなら、日本は大丈夫だろう---。だが、その考えは、あまりに平和ボケしていると言わざるを得ない。米朝でこうした事態が起きた場合、日本も否応なく戦時体制に巻き込まれる。
元韓国国防省分析官のコ ヨンチョル拓殖大学国際開発研究所研究員が語る。
「北朝鮮が米軍を破るためには、まず米軍の出撃拠点となる在日米軍基地を叩いてくるでしょう。より具体的に言えば、米海兵隊の出撃拠点となる佐世保などが狙われる」
他にも、沖縄の嘉手納基地や、米第7艦隊のベースである神奈川の横須賀基地も、北朝鮮が米軍の出足を挫くためには、格好のターゲットとなる。
攻撃に用いられるのは、射程1300km程度と、ほぼ日本全土を狙える弾道ミサイル『ノドン』になるだろう。現在ノドンは北朝鮮国内に300発程度が配備されているとされ、移動発射台での運用が可能なため、空爆だけでは完全に排除できない。
「核弾頭の搭載はまだできていないと見られていますが、たとえ通常弾頭であっても、ある程度の数が日本に打ち込まれればひとたまりもない。もちろん、ノドンが来襲すれば日本も『ちょうかい』などのイージス艦から迎撃ミサイルを発射しますが、撃ち落とすのは至難の業でしょう」(前出・黒井氏)
北朝鮮は生物・化学兵器も保有しており、サリンなどの化学兵器の保有量はおよそ5000tにも上るとされる。わずか一滴でも人を死に至らしめるサリンは、あのヒトラーでさえ、側近たちに兵器としての使用を進言されても、最後まで認めなかった劇毒。韓国国防省高官は、これら化学兵器が日本への弾道ミサイルに搭載される可能性について、次のように言及した。
「北朝鮮にしてみれば、出撃前の在日米軍基地を叩くのがもっとも効率的な作戦だ。ならば躊躇わずにサリン搭載ノドンを撃ってくるだろう。また、攻撃目標は在日米軍基地に限らない。指導者の重しを失った北朝鮮軍部の強硬派に常識は通用しないから、東京などの都市部にも手当たり次第に撃ってくるかもしれない。
われわれはノドンのみならず、テポドンの発射もあり得ると見ている。以前、テポドンの射程距離は6000kmとされていたが、改良型の射程距離は1万kmに伸び、米本土も攻撃することができる」
テポドンは'98年、'06年、さらに'09年にも改良型と見られるものが日本に向かって発射された。'09年のケースでは、いざというときに備えて、日本側が迎撃する態勢を整えたが、これに対して北朝鮮側は、「人工衛星の発射であり、迎撃すれば軍事的報復をする」などと主張。日本政府が最終的に日本の領土への被害はないと判断したため、迎撃は行われなかった。だが、ノドンとテポドンが何の前触れもなく、次々に飛来したら、すべてを迎撃することなど到底不可能である。
■難民の中に工作員が紛れ込む
日本の惨劇が現実にならないためにも、北朝鮮国内で軍強硬派によるクーデターが起きないことを祈りたいが、仮に正恩が指導者の立場に留まったとしても、米軍との衝突は避けられないという予測もある。
「北朝鮮で指導者になるためには、金日成主席の『抗日パルチザンの英雄』のような、わかりやすい『神話』が必要となる。しかし、正恩氏の場合、権力移譲の過程で正日氏が急死してしまったために、『神話』を作るための十分な時間がなかった。そのせいで、北朝鮮の多くの一般国民にとって、正恩氏が後継者としてどこが優れているのかわからない。こうした状況に焦った正恩氏は、てっとり早く神話を作るため、軍を利用して韓国に攻撃を仕掛ける可能性がある」(朝鮮総連関係者)
その場合、さすがにいきなり米軍と衝突するようなことはないにせよ、韓国に対して威嚇を含む攻撃を行う可能性は高い。かつての哨戒艦撃沈事件や延坪島砲撃事件のようなものだ。ただし、軍部を完全にコントロールできていれば、こうした攻撃も対外的な強硬姿勢をアピールするために利用できるのかもしれないが、一歩間違えば、正恩の計算を超えて、火花は大きくなる。
ここで北朝鮮が韓国に進軍するような事態になれば、先の米軍作戦計画のうち、「5027」が発動され、「5029」発動時と同じように、日本にも甚大な被害が想定される。この時、同時に懸念されるのが大量に発生するであろう難民問題だ。
この難民問題について、韓国の合同参謀本部が'09年に作成した一通の報告書が存在する。
その内容は「北朝鮮で政権交代やクーデターなどの急変事態が発生した場合、大量の脱北者(難民)が生じる可能性がある」というもので、これは韓国国会にも報告された。この報告書をさらに詳しく読むと、北朝鮮が脱北を積極的に取り締まった場合で難民数は10万人程度、統治能力を喪失した場合は180万~200万人と、北朝鮮の総人口の1割に匹敵する難民が生じるという。
すでに中国は、金正日死去を受けて、北との国境警備に計3万人を増派することを決めた。ロシアも警戒レベルを高めている。韓国には逃げ場がなく、中国、ロシアへの脱出も難しいとなれば、命懸けで日本海を越える難民も急増する。
「今、北朝鮮国内には貨物船や漁船の数がざっと300隻ほどある。この数から推計すると、日本には1万5000~2万人もの脱北者が日本に押し寄せることになる。しかも、難民の中には武装した者や、特殊工作員が紛れ込むかもしれない」(海上保安庁関係者)
'11年9月には、9名の脱北者を乗せた小型漁船が能登半島沖で発見・保護されたが、巧妙に偽装した工作員が日本に入ってきた場合、もっとも恐ろしいのは日本海側にある原発施設である。
■原発への攻撃
泊原発(北海道)から柏崎刈羽原発(新潟)、志賀原発(石川)、敦賀・大飯・高浜・美浜各原発(福井)、島根原発(島根)、玄海原発(佐賀)まで、日本海側には9ヵ所の原発施設が存在する。世界的に見ても、防衛上の理由から原発を海岸沿いに建てるケースは少なく、日本は特異だと言っていい。これは唯一の被爆国として反対運動が大きく、原発を内陸部に建てられなかったこと、また物理的にも土地がなかったことなどが理由だ。
経産省原子力安全・保安院の深野弘行院長は、金総書記の死去を受け、今後の北朝鮮の情勢によっては、原発を含む全国の原子力施設の警備を強化すると語った。工作員によるテロにせよ、ミサイルによる攻撃にせよ、地震や津波という自然災害さえ「想定外」だった電力会社や経産省などの原子力ムラが、北朝鮮からの攻撃を想定して安全設計をしているはずもない。
ノドン・テポドン対策、難民への対応、原発施設の警戒、そして未解決のままの拉致被害者の奪還・・・・・・。日本にとって問題は山積しているが、元外務省主任分析官で作家の佐藤優氏は、今こそ政府が果たすべき役割は大きいと説く。
「北朝鮮は大量破壊兵器を持っていますから、権力闘争によって指導者が不在になる事態は避けなければならない。今、日本がやるべきは北朝鮮をサポートする善人のふりをして、平壌に連絡事務所を開設し、日本独自の情報を収集することです。そのうえで西側諸国やイスラエルなどと連携し、武器の流出や混乱を阻止すべきです」
正鵠を射た指摘だろう。だが、残念ながら現在の日本政府にその能力はない。それは金総書記死去の一報を受けた野田首相の反応を見ても明らかだ。
12月19日、野田総理は午前10時過ぎの時点で内閣危機管理の担当者から「本日12時に、北朝鮮で特別放送があります。北朝鮮における特別放送は極めて稀なもので、金日成国家主席が死去した際も流されました」と報告を受けた。しかし、これを聞いた野田首相は「ほう」などと気の抜けた返事をするばかりだったという。そして特別放送が始まるわずか1分前には、かねてから予定していた東京・新橋での街頭演説に向かった。
結局、その道中で引き返すように連絡が入り、演説は中止されたが、国家の危機が訪れているというのに、その意識すらなく、自身の人気取りを優先させたのである。
北朝鮮はかねて2012年を「強盛大国の大門を開く年」と位置づけてきた。絶対的な指導者だった父を失い、国民に対して力強い指導者像を印象づけたい正恩、頼りない後継者に飽き足らない軍強硬派が鎬を削り、北朝鮮が暴発する確率は極めて高い。
日本がそれに対応する能力はあまりに乏しく、残された時間はあまりに少ない。
「週刊現代」2012年1月7・14日号より
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