http://www.asyura2.com/11/warb8/msg/562.html
Tweet |
成果を焦った米軍のイラク撤退は大失敗 [春名幹男「国際情報を読む」]
http://asumaken.blog41.fc2.com/blog-entry-4676.html
2012/1/5 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
今年の米大統領選に向け外交の成果を急ぐオバマ米大統領。昨年はクリスマス前の18日にイラク駐留米軍の撤退を完了させ、「歴史的な節目」と自賛した。
その6日前の12日、大統領はホワイトハウスでイラクのマリキ首相と会談している。その席で首相は、イラクは「民主化された」と胸を張り、オバマ大統領は、米国はイラクの「不朽のパートナーだ」と支援を約束した。
米国がイラクにF16戦闘機18機を追加売却する計画も明らかにされた。
しかし、こうした出来事の裏で、マリキ首相は舌を出していたに違いない。
イラク駐留米軍が撤退を終えた翌日、早くもマリキ首相は牙をむいたのである。
首相は、政府職員の殺害を教唆した疑いでハシミ副大統領に逮捕状を出した。副大統領はイスラム教スンニ派で政府内の最高位だ。
マリキ首相はイラク最大のイスラム教シーア派(約60%)勢力のアッダワ党代表。米軍が撤退するや、対立するスンニ派(約20%)の勢力を削ぐ作戦に出たということだ。
これで宗派対立に火がついた。副大統領は犯行を否認して姿を隠し、スンニ派は議会をボイコットした。
マリキ首相は、ハシミ副大統領をかくまう北部のクルド人勢力に対して、身柄引き渡しを要求、クルド側は拒否した。つまり、スンニ派にクルド人勢力が加勢し、シーア派と対決する構図になっている。
その虚を突いて22日、首都バグダッドの10カ所以上で連続爆弾テロが起き、約70人が死亡したのだ。
イラク連立政権は存続の危機で、内戦の可能性さえ懸念されている。
そもそもマリキ首相は親イラン派の活動家なのだ。1985年の米トランスワールド航空(TWA)機乗っ取り事件への関与も噂された。フセイン独裁政権時代は、イランとシリアに亡命していた。
フセイン政権崩壊後帰国し、シーア派を代表する政治家となった。10年には首相としてイランを訪問、最高指導者ハメネイ師と会談し、「イラクとイランは兄弟」と強調。さらに、米国が政権変革を要求するシリアを擁護し、「破壊工作」を非難した。つまり、マリキ首相は「米国の敵の味方」、つまり事実上、敵勢力に近い人物なのである。
展開次第では、そんな男にイラクを任せ、米軍を撤退させたオバマ大統領の責任が問われることになる。
◇春名幹男 名古屋大学特任教授。1946年、京都市生まれ。大阪外大卒。共同通信ワシントン支局長、特別編集委員を経て現職。95年ボーン・上田記念国際記者賞受賞。「秘密のファイル―CIAの対日工作」など著書多数。
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。