http://www.asyura2.com/11/warb8/msg/365.html
Tweet |
株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu252.html
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
--------------------------------------------------------------------------------
中国はこれまで、当該地域における米国との潜在的な競争にばかり注目し、
日本の役割を軽視していた。中米間が争うことで、最終的に日本が利益を得た
2011年11月23日 水曜日
◆東アジアサミット、最大の勝者は日本 11月21日 人民網日本語版
http://j.people.com.cn/94476/7651736.html
東アジアサミット(EAS)が先週土曜日に閉幕した。しかし、中米両国は結局共通認識に達することができず、ASEANはいくつかの承諾を取り付けたが実施にはまだ時間がかかり、新たに参加したロシアもCIS諸国とのFTA締結に忙しく、あまり熱心ではなかった。ところが驚くべきことに、これまでずっと控えめな態度で各国の動きを静観してきた日本が今回、大きな利益を上げたのだ。第一財経日報が伝えた。
この状況に関し、中国現代国際関係研究院グローバル化研究センターの劉軍紅主任は、「現在、アジア太平洋における主な矛盾は依然として日米間の矛盾だ。しかも日本はこれまでずっと、自国にとって不利な戦略体制を瓦解させようと努めてきた。しかし中国はこれまで、当該地域における米国との潜在的な競争にばかり注目し、日本の役割を軽視していた。中米間が争うことで、最終的に日本が利益を得た」と語る。
▽最大の勝者は日本
記者:このほど閉幕したEASの成果について総合的に評価してください。
劉軍紅:我々が想像したほど楽観的な状況ではない。米国・ロシアの参加による影響は多方面に及び、長期化するだろう。今回のサミットの成果は主に3つある。1つ目は海上安全保障問題に関する共通認識。2つ目は「ASEAN+3」から「ASEAN+6」へのFTA拡大。3つ目は中日韓FTA産官学共同研究を早期に始める方針を確認したことだ。
記者:日本は今回、東南アジアのインフラ建設だけでも250億ドルの援助を承諾するなど、大きな動きを見せました。
劉軍紅:日本は総事業費2兆円規模のインフラ整備に対し支援を表明した。これには建設、衛星提供、防災・減災体系、予報などが含まれ、ASEANで日本モデルの普及を推進していく。日本は今回のEASにおける最大の勝者と言える。
記者:それはなぜですか?
劉軍紅:野田首相が帰国前に語ったように、今回日本の外交戦略は基本的に成功を収めた。ここ1年間の外交努力、会議の議事日程と議題、各国の駆け引きなどから判断するに、日本は所定の目標を基本的に実現したと言える。
日本の目標は大きく分けて3つある。1つ目は、米ロのEAS参加後、多国間の安全保障問題に関する議題の討論を促進し、中国の戦略的メリットを抑制すること。2つ目は、ASEAN+3からASEAN+6への枠組み転換を図ること。3つ目は、ASEANのインフラ建設を効果的にコントロールすること。
結果、中米両国がEASから得たものはほとんどなく、ASEANはいくつかの承諾を取り付けただけだったが、日本は実益と戦略的メリットを獲得しただけでなく、米国の正面攻撃を回避し、矛先を中国に向けさせることに成功した。この点から見るに、日本の策略は成功したと言える。
▽日本、うまく立ち回って「ASEAN+6」への拡大に成功
記者:将来の東アジアの主導権についてはどう見ますか?日本が重要な役割を果たすでしょうか?
劉軍紅:そうだと言える。表面上は米国が主導権を握るように見えるが、米国は東アジアの枠組み内で経済協力について話し合いをするのではなく、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)を推進していく。これにより、日本はこの枠組みの中で矛盾を利用しつつ、事実上の指導権を握ることができるようになる。実は日本はすでにそれを実行している。日本はサミット前にTPP交渉への参加を宣言し、東アジアを動揺させた。もし日本、メキシコ、カナダがTPPに参加すれば、TPP参加国のGDPが世界全体の39%を占めることになり、ASEAN+3のFTAの影響力が下がるからだ。そこで日本がASEAN+6にしたらどうかと提案したところ、各国は皆同意し、結局思惑通りとなった。
実際、日本はTPPという「てこ」を使ってEASを動かした。日本はまだTPP交渉に正式に参加したと宣言したわけではない。正式な参加は理論的にはまだ6カ月先のことであり、来年春以降にならないと確定しないのだ。
記者:中国はTPPをどのように見るべきでしょうか?
劉軍紅:これは一種の駆け引きと言える。まず基本的な判断が必要だ。まず、TPPが合意に達したと仮定すると、中国に対するマイナス影響はどれくらいなのか。もう1つは、もし中国も参加したらどうか、実行可能性はあるのかということだ。現在のところ、実行可能性はあきらかに無いと言える。関税だけをとっても、現在の中国の関税は米国を大幅に下回っている。
百歩譲ってもし合意に達したとしても、TPPの効果が現れるのは各参加国と中国との間で経済貿易関係が生じたときだけだ。しかも現在の関税水準を上回ることはなく、3−4年の緩衝期間もある。こうして見ると、中国はTPPにうろたえる必要はなく、動きを静観するという態度でいればよいことが分かる。ただし、ASEANとの関係を引き続き深化させる、ASEAN+3を動揺させない、という2つの原則が必要だ。
▽真のライバルは日本
記者:中国はこの変化にどのように対応すべきでしょうか?
劉軍紅:我々は反省するべきだ。中国はこれまでずっとASEANと緊密な関係を築こうと努めてきたが、現在、この努力は全く報われていない。これは自国にも原因があり、改善の必要があるが、一方で、ライバル国による瓦解の動きを軽視してきたことも原因だ。我々を瓦解させようとするライバル国は、実は日本であり、これまであまり重視してこなかった。
これからは、過度に理想的な考え方や物言いを調整すべきだ。例えば現在、中国は米ドル体制に挑戦する能力が全く無いのだから、米ドル体制を変化させようとする考えを提起する必要は無い。また、金融危機にかこつけて米国の経済成長モデルを批判する必要もない。そんなことをすれば、米国が中国に対して小細工をしかけ、その他の小国が動揺するだけだ。中米が互いに争えば日本が得をする。これは中国の真の利益を失うことにつながる。
日本が行っているのは戦略的な瓦解もあり、戦術的な瓦解もある。今回のサミットのほかにも、日本はこのほど、20年ぶりに東京証券取引所などの取引時間を30分延長した。これは、アジア金融市場で日本の影響力を拡張させようという意図の表れであり、日本円にアジアでの主導権を握らせようという意図は明らかだ。
地域協力において日本の戦略は変わらず、その方向性を堅持している。一方で1997年以降、中国の地域協力における戦略的メリットは基本的に瓦解された。日本が2006年に定めた「ASEANをすばやく攻略し、中韓をけん制し、東アジア共同体の主導権を握る」という目標は、今日も基本的にその方向を維持し続けており、ますます好調と言える。(編集SN)
(私のコメント)
国家戦略と言うのは、一部の国際政治学者や外務省官僚や情報部分析家などしか興味はないことなのでしょうが、日本にはあいにく国際レベルの国家戦略家がいない。キッシンジャーやブレジンスキーなどの著書は世界各国で翻訳されて読まれていますが、日本にはそのレベルの戦略家がいない。だから外国から見れば日本が何を考えているのかが分からない。
アメリカの政府高官と日本の政治家との会談でも、日本の政治家は日本の国家戦略を語ることが出来ない。「地政学」と言う学問分野ですら大学で教えているところはなく、国際政治学レベルに留まってしまっている。「孫氏」や「マキャべり」などの古典から国家戦略をきちんと学べば基礎的なことは分かるのでしょうが、日本の大学では古典は古典に過ぎず、地政学的に学ぶところはない。
たとえばA国と言う超大国とC国という超大国に挟まれたB国はどのように外交すべきだろうか? 古典を読めばそれらの答は書かれていますが、日本の政治家が古典を読んでいる可能性は低い。歴史を学んで分かることは大国に挟まれた小国は強い方に付くのが生き残る道だ。現代においてA国とC国にパワーバランスが変化しつつある状態では、A国とC国をクールに分析する必要がありますが日本にはそのような情報部が無い。
A国とC国に挟まれたB国が、どちらについても勝敗に影響がない場合は強い方に付くしか生きる道はありませんが、B国が強国であり、B国がどちらに付くかで勝敗が左右される場合はB国が外交の主導権を取ることが出来る。いわゆるバランスオブパワー外交は外交の基本原則ですが、明治の日本の政治家は大英帝国と組むことで、大清帝国を滅ぼし帝政ロシアを崩壊させてきた。戦後においてもアメリカと組むことでソ連との冷戦でソ連崩壊に追い込んだ。中国人やロシア人の戦略家はその事を知っているだろうか。
ロシアにしても中国にしても、日本を敵にしている限り太平洋に出ることは不可能だし、清国以来の中国の衰退は日本に太平洋への道が塞がれてしまっているからだ。中国にとっては台湾の併合は国家戦略上最重要課題であり、中国はアメリカを諜略して台湾を手に入れようとしている。しかし台湾を領有するには日本を諜略すべきであり、日米を分断する必要がある。しかし尖閣諸島問題や沖縄も中国のものだと喧嘩を吹っかけてきている。
それほど日本が置かれた地政学的な位置は重要であり、アメリカはそれを知っているから、なかなか日本から軍事基地を引き揚げてはくれない。しかし中国軍事的な台頭は東アジアのアメリカの軍事的なプレゼンスを脅かしつつある。米中は軍事的には対立を演出していながらも経済は米中経済は一体だ。オバマ大統領は米中によるG2構想を打ち出しましたが、それは米中以外を敵に回しかねないから中国は拒否した。
米中戦略的パートナーシップは1998年にクリントン大統領時代によって打ち出されましたが、オバマ大統領の米中G2構想はそれをさらに強化したものと見られた。このようなアメリカによる中国へのラブコールの戦略的な意図ははっきりとは述べられていないが、親中派のキッシンジャーかブレジンスキーが入れ知恵したものだろう。その目的は日本を含むアジアの共同支配だ。
危機感を感じた日本は、2009年8月30日の総選挙によって鳩山民主党政権を誕生させて沖縄の海兵隊軍事基地移転を打ち出した。今までになかった日本政府の行動ですが、親中派のオバマ政権への牽制であり、米中G2同盟によって日本を敵に回せばアメリカはアジアへの足場を失う。その後オバマ大統領とクリントン国務長官は対中政策を180度転換した。「株式日記」では次のように書いた。
◆一番心配な事態は、中国軍が大量のミサイルで台湾に圧力をかけ、国民党の馬政権の台湾が戦意を喪失し、白旗を上げるケースです。 2009年10月8日 株式日記
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/e/76f26719255bf4da55596ce7a7d9ed40
このようにアメリカの政権が親中派で固められれば、日本としては90年代のクリントン政権のようなジャパンバッシングを回避するには、自民党のようにアメリカに擦り寄るのではなく、田中角栄のように中国に大きく舵を取らざるを得ない。日本を叩けば叩くほど中国に擦り寄るポーズを示せばアメリカ政府としても叩くわけには行かなくなるだろう。
日本の外交戦略としては米中の挟撃を回避するにはそれしか方法がない。オバマ大統領の米中G2構想に対して日本は埋没していくのだろうか? 鳩山首相のアメリカを除いた東アジア共同体構想はそれに対する牽制だろう。アメリカが異議を言って来たのなら米中のG2を見習っているだけととぼければいい。
◆米国は加えず=「東アジア共同体」で外相表明 2009年10月7日 時事通信
http://www.jiji.com/err/404.html
岡田克也外相は7日午後、都内の日本外国特派員協会で講演し、鳩山由紀夫首相がアジア重視の観点から提唱している「東アジア共同体」構想について、「日本、中国、韓国、東南アジア諸国連合(ASEAN)、インド、オーストラリア、ニュージーランドの範囲で(構成を)考えたい」と述べ、米国は正式な加盟国としない形で創設を目指す考えを表明した。
共同体構想をめぐり、政府高官が米国を正式メンバーとしない方針を明言したのは初めて。外相は、貿易交渉などの相手として米国を「排除しない」とも語り、一定の配慮を示したが、鳩山政権に対して「反米的」との見方もある米側が反発を強めることも予想される。
外相は、10日に予定される日中韓首脳会談で東アジア共同体の在り方について意見交換したいと説明。「まず経済から始め、エネルギー、環境、保健衛生などに協力分野を拡大していきたい」とする一方、域内の通貨統合については「かなり先の話になる」との見通しを示した。
また、中韓両国との間で歴史共同研究を推進し、「共通の教科書」の作成を将来的な検討課題にすべきだとの考えを明らかにした。(2009/10/07-16:59)
(私のコメント)
このように鳩山民主党政権は「東アジア共同体」にアメリカを排除する構想を打ち出した。これは明らかにオバマ大統領のG2に対抗するものであり、オバマ政権は対中政策を180度変えてまでして、今度はTPPで対中包囲網を言い始めた。しかしTPPに日本が加わらなければTPPそのものが成り立たない。その証拠に日本が加盟交渉加わると表明したとたんにカナダやメキシコやその他のアジア諸国も名乗りを上げ始めた。
人民網の記事も日本の影響力を指摘していますが、ASEAN+3やASEAN+6などの話も動き始めた。日本がTPPに加わるのか、それともASEAN+3・6に加わるかで日米中の関係は大きく変わる。分かりやすく言えば日本の動き次第で世界は大きく変わる。世界はアメリカ一極の世界から多極化して行き、日本も一極として外交しなければ米中に翻弄されてしまう。だから自主外交と核武装は長期戦略として必要なのだ。
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。