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【カイロ和田浩明】サレハ大統領の退陣を巡る交渉が権力闘争に発展し、武力対立が激化しているイエメンは、もともと治安面で“三重苦”に直面していた。国際テロ組織アルカイダと関係のある「アラビア半島のアルカイダ(AQAP)」が活動し、北部ではイスラム教シーア派の一派ザイド派が中央政府と武力衝突を続け、南部には分離独立を求める勢力も残る。権力闘争がエスカレートすれば、市民の犠牲はさらに拡大し、イエメンはソマリアと同様に「破綻国家」の道を歩む恐れがある。
オバマ米大統領も21日、米ニューヨークであった国連総会の一般討論の演説でイエメンを名指しで非難。「市民への連帯」を強調したが、アフリカ最大の産油国リビアと異なり、国際社会は介入に消極的だ。
現地からの情報では、大統領の治安部隊と反大統領側となった離反部隊の戦闘は、市街地で続き、子供を含む多くの市民が巻き添えとなっている。
インターネットの動画サイトには、デモ隊参加者とみられる損傷のひどい遺体の画像が掲載され、交戦の激しさをうかがわせる。病院のベッドには男児が横たわり、血のにじんだ包帯を頭部にまかれ、医師の診察を受けていた。
権力を巡って突発した戦闘は、軍隊による正規戦だ。
大統領派部隊は、サレハ氏のおいヤヒヤ氏が指揮する中央治安部隊や、長男アフマド氏が率いる精鋭の共和国防衛隊が中心。反大統領派軍部隊は、サレハ氏から3月に離反した第1機甲師団司令官のアリ・モフセン氏が指揮している。さらに、実業家で有力部族長のハミド・アフマル氏も、サレハ氏に対抗して配下の武装部族民を動員し、三つどもえの戦いの様相だ。
背景は、サレハ氏が6月の大統領府を標的にした暗殺未遂事件で重傷を負い、隣国サウジアラビアの首都リヤドで療養中であることだ。ハディ副大統領がこのほど大統領職代行となり、「権力の真空」が生じた。
イエメンで高まるサレハ氏退陣要求を受け、サウジが主導する湾岸協力会議(GCC)は欧米と共に、権力移譲と引き換えの訴追免除や民主的選挙実施を含む調停案を提示したが、サレハ氏は3度にわたり拒否している。
サレハ氏は12日になってハディ氏に調停案を基に反大統領派と交渉・署名する権限を与え、リヤド入り後初めてアブドラ・サウジ国王と会談。国王は調停案受け入れを強く要求した。
しかし、サレハ氏は、長男アフマド氏を国防相として新政府入りさせることを要求。反大統領各派は強く反発し、戦火は拡大の一途をたどっている。
http://mainichi.jp/select/world/news/20110922k0000m030171000c.html
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