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『人民の星』 5616号2面 2011年9月14日付
米欧帝国主義 アフリカ争奪の野望 リビアがアフリカ連合の中心
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米欧帝国主義のリビア攻撃は、カダフィ政府を転覆し石油資源を略奪するためだった。同時に米欧帝国主義によるアフリカ支配からの脱却をめざすカダフィ政府の取組をうちくだこうとするねらいがあった。〇八年秋の金融・経済恐慌からの脱出のメドがたたない米欧帝国主義は、アフリカ諸国での市場・勢力圏の維持・拡大への欲望をつのらせている。カダフィ政府はその阻害物だったのである。
米欧の戦争に反対したAU
今回のリビア攻撃にたいし、アフリカ諸国の多くはこれに反対してきた。
域内諸国を網らする国際機関・アフリカ連合(AU、加盟五四カ国)は、加盟国であるリビアへの米欧の攻撃につよく反対した。NATO(北大西洋条約機構)軍の爆撃がはじまったあとも、AUは南アフリカのズマ大統領が、「リビア人自身による対話解決」かかげ、リビアを訪問している。カダフィ政府はこの調停をうけいれたが、米欧の手先である「反体制派」はあくまでカダフィ政府の打倒をとなえ拒否した。
八月下旬、NATO軍の攻撃のもとで、「反政府派」は首都トリポリを占拠するが、その直後にひらかれたAUの会議は「反体制派」を承認するのをみおくった。九月一日にフランスのパリで「新生リビア支援国際会議」がひらかれたが、南アフリカとナイジェリアは出席を拒否した。AU加盟国のうちで、「反体制派」を承認しているのは三分の一の一八カ国にとどまっている。
アフリカ諸国は、石油や鉱物資源の略奪を目的とした米欧帝国主義の干渉にさらされた歴史をもっている。
歴史的にはアフリカは欧州諸国の植民地として略奪されてきた。戦後、一九六〇年代にかけてつぎつぎに独立をかちとったが、米欧帝国主義はかれらの手先を使い部族や宗教の違いをあおり、反政府争乱や軍事クーデターをくりかえしてきた。この干渉・侵略によって、いく千万のアフリカ諸国人民が犠牲となった。
リビアが金融面でAU支援
「反政府派」をつかった米欧帝国主義の今回のリビア攻撃は、アフリカ諸国にとっては既知の手口である。
AUは、こうした米欧帝国主義の干渉、侵略・支配をはねかえしていくために、アフリカ諸国の連携・統合、地位向上を目的に二〇〇二年、じゅうらいのアフリカ統一機構(OAU)にかわり創設された。AU設立宣言には「アフリカ人自身でアフリカの問題を解決し、他大陸の介入をさける」との項がある。AU創立の中心となったのがカダフィ政府である。
カダフィ政府は、たしかに米欧への大きな譲歩をし、資本の侵入にも道をひらいた。しかし同時に石油収入による年間三〇〇億jもの貿易黒字の豊富な資金を背景に、AUの発展のために力をいれた。リビアはAUの年間予算の一五%を負担するとともに、一部の貧困国の負担金の肩代わりもした。AUのもとでのアフリカ統合推進への支持をえるために、加盟各国への資金援助もした。
カダフィ政府がアフリカ統合、米欧の支配からの脱却で重視したのが、金融面である。AUはアフリカ通貨基金(カメルーン)、アフリカ中央銀行(ナイジェリア)、アフリカ投資銀行(リビア)をつくり、IMF(国際通貨基金)、世界銀行などをつうじた米欧の干渉・支配をたとうとしていた。
この構想からカダフィ大佐は昨年、「欧米からアフリカを解放する」として総額九七〇億j(約七兆四〇〇〇億円)の対アフリカ投資を表明していた。また今後の目標として、ドルからの脱却、統一通貨の導入をあげていた。
高い経済成長示すアフリカ
リビアを中心としたAUのもとでのアフリカ統合の推進は、米欧帝国主義の歴史的な支配を根底からゆるがすものである。それは、〇八年秋いらいの金融・経済恐慌からの脱出をもとめる米欧帝国主義のアフリカ侵略拡大の野望とするどく対立していた。
過剰生産恐慌のなかで、資本の投下先を必死になってもとめる米欧の金融資本、独占資本は、「BRICsのつぎはアフリカ」と重視していた。中国、インド、ロシア、ブラジルなどBRICsといわれる新興工業国は、〇八年恐慌の大きな影響をうけなかった。
IMFの統計によると二〇〇一年から一〇年までの経済成長率の世界トップ一〇位のうち、アフリカ諸国が六カ国をしめている。また一一年から一五年の経済成長率予測の世界トップ一〇位でも、アフリカ諸国は七カ国がしめている。
アフリカ諸国全体の経済成長率でみても、〇九年が二%、一〇年が四・五%である。今年はリビア攻撃の影響で三・九%(アフリカ開発銀行の予測)だが、来年は五・八%(同)になると予測されている。こうした数字は、アジア以外の地域ではもっとも高い。
アフリカ諸国の経済成長の特徴は、石油や金、希少金属などの産業を土台にしながら、産業基盤、製造業、情報通信、建設、観光業などの内需が拡大していることにある。約一〇億人のアフリカの総人口は、今後大きな成長が期待される広大な市場となっている。
AUのもとでのアフリカ統合推進・経済成長が、BRICsの新興工業国の投資拡大、とくに中国のアフリカ進出がすすんでいることにたいして、米欧帝国主義の危機感は倍加している。
独立斗争で中国が支援拡大
西欧などの植民地支配、アメリカの干渉から独立をかちとった多くのアフリカ諸国の政府は、独立斗争の過程で中国などの支援をうけてきた。中国はこれを最大限利用している。BRICs諸国とアフリカとの貿易額は、二〇〇〇年から〇八年で約八倍になっている。その三分の二を中国がしめている。
アフリカからの輸出は一九九二年時点で一〇億jにみたなかったが、〇八年には五四〇億j超となり、アメリカにつぐ第二位である。
またアフリカ諸国に大きな影響をもつ南アフリカの主要貿易相手国は、かつては米日欧諸国だったが、こんにちでは中国が最大の貿易相手国となっている。
中国はリビアにも積極的に投資してきた。また今年AUの本部がエチオピアで完成するが、中国が全面的に支援している。
米欧帝国主義がリビア攻撃でかかげた「民主化支援」「市民保護」はまったくインチキであり、リビアの石油資源略奪、アフリカ全体をめぐる市場争奪にかかわる帝国主義侵略戦争にほかならない。
いま米欧政府はリビアにカイライ政府をでっちあげようとしているが、これでリビア問題はおわることはない。
リビア国内では、米欧の占領支配に反対する武装抵抗はまだつづいている。「反体制派」の本拠である東部のベンガジでも、米欧帝国主義がカイライ政府をつくろうと占拠した西部の首都トリポリでも、「西でもなく、東でもない」のスローガンをさけび、外国軍の撤退と諸外国の干渉の終結をもとめるデモがはじまっている。
米欧帝国主義はアフリカ諸国への侵略拡大の野望をいっそうあらわにするだろうし、アフリカ争奪はいっそう激化せざるをえない。この春いらいの中東・北アフリカ諸国での人民斗争の発展は、親米欧政府に反対するたたかいだった。米欧帝国主義の策動は、各国人民の斗争をよびおこさざるをえない。
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