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http://www.amnesty.or.jp/modules/news/article.php?storyid=995
カダフィ大佐が捕縛された場合、カダフィ大佐は公正な裁判を受けなければなりません。カダフィ政権の犠牲になった人びとが、彼に裁きが下るのを目撃するために、裁判が必要とされます。地位に関係なく、誰もが法の裁きを受けるべきです。
国連安全保障理事会は2月、リビアの状況について国際刑事裁判所(ICC)の検察官に付託しました。ICC検察官は予備調査の後、アル=カダフィ、その息子セイフ・アルイスラム、そしてリビア国家情報庁長官のアブドラアル・サヌシがICCの法的管轄内の罪を犯したと疑う合理的理由があるとして、3人に逮捕状を発行するようICCに求めました。6月27日に逮捕状が発行され、目下早急な逮捕が望まれています。
この3人が捕縛された場合には、彼らを人道的に扱わなければならず、また捜査を受けさせるため、身の安全を確保したうえで早急にICCに移送しなければなりません。
−カダフィ大佐はどのような罪で捜査されるべきなのか?
ICCの逮捕状は、2月15日以降の「殺人」と「迫害」という、二種類の人道に対する罪に対して発行されています。2月にベンガジで反体制派デモが始まってから、体制に批判的だと思われた人の殺害、強制失踪が相次いでいます。
リビア高官は、大衆デモを引き起こすことにつながった今年の暴動より以前に行われた深刻な人権侵害に対しても、説明責任を果たさなければなりません。カダフィ大佐に対する罪状は、彼の指揮のもと、数十年にわたって治安部隊が多くの人びとを拷問、殺害あるいは強制失踪させたことや、その罪を免責してきたことを含んでいません。たとえば、1996年に1,200名もの人が殺害された、悪名高いアブ・スリム刑務所での大虐殺について説明責任を果たした高官は未だに一人もいません。
−2月15日以前に起きた人権侵害には、どのように対応すべきか?
リビアの新たな指導者は、国際法上の犯罪をリビア国内においても捜査し、起訴できるように、司法制度を迅速に再構築する必要があります。ICCの捜査に応じない人物によって行われたと思われる犯罪とともに、2月15日以前に行われた犯罪も、この新たな司法制度の管轄に含むべきでしょう。
リビア当局はまた、独立した調査委員会、あるいは真相究明を行う委員会を設立すべきです。過去の犯罪や人権侵害に関する真実を明らかにすることで、それらの犯罪の被害者が司法に訴え、補償を受けることが可能になります。
−なぜカダフィ大佐が、リビア国内で裁判にかけられることはないのか?
一度ICCが事件捜査の開始を決定すると、国内裁判所はその事件を扱うことが許されません。さらに、ICCがカダフィ大佐に逮捕状を発行したので、リビアを含むすべての国がICCに全面的に協力しなければなりません。
−リビアの司法制度の何が問題なのか?
リビアの新たな指導者は、暴動が収束したのち直ちに、司法制度、警察その他枢要な機関をどのように改革するのか検討しなければなりません。以下は、緊急に改革が求められる事項です。
・リビアの刑法典は、集団虐殺、人道に対する罪、戦争犯罪、拷問、強制失踪などの国際法上の罪を明確に規定していない
・リビアの刑事訴訟法は、適切な法的保障措置を欠いている。とくに、本質的に政治的なものであると思われる事件に対して、それらの保障がない
・数十年の政治的干渉により、リビアの司法権の独立が損なわれている
・リビア法に存在する一定の法的保障措置が、治安部隊によって当然のように軽視されている。「国家に反逆した」事件を扱うため、2007年に並列の司法制度が創設された
・広範な違法行為に死刑が適用されている
−カダフィ大佐は死刑に処されるべきか?
死刑に処されるべきではありません。アムネスティ・インターナショナルは、たとえ犯した罪がいかに大きいものであろうと、いかなる場合においても死刑に反対しています。極刑は生存権を侵害するもので、究極に残酷であり、非人間的かつ品位を傷つける刑罰です。
−もし他国がカダフィ大佐に安全な避難場所を提供した場合、どうなるか?
非常に重大な罪を犯した人物を免責することは、国際法で禁じられています。万が一カダフィ大佐がリビアから逃亡するようなことがあれば、彼を早急に逮捕し、捜査のためICCに移送することをアムネスティは求めます。
−カダフィの免責は紛争の早期解決をもたらし、結果的に人命を救うことになるのでは?
そのような取引は国際法を蹂躙するもので、決して容認されません。被害者の裁判を受ける権利、真実を明らかにする権利、補償への権利を侵害することになります。重大な罪を犯し非難された者が、以後犯罪に加担しないことに同意するかわりに、刑務所から解放され自由になるのであれば、「説明責任」という概念が無意味なものになってしまいます。
犯罪者の免責は人権侵害を悪化させ紛争を長期化させることになる、と歴史は伝えています。コロンビア、コンゴ、ハイチや イスラエル/被占領パレスチナ地域でも、指導者が交代しても、犯罪加害者は罰せられることなく人権侵害は大規模になって続いています。チリ、アルゼンチン、リベリアやシエラレオネでは、重大な人権侵害への免責と恩赦がなされましたが、それらは機能していません。
−ICCはリビア、アフリカ問題への「欧米」の干渉の良い例なのでは?
ICCは国際機関であり、アフリカやリビアへの「欧米的」干渉ではありません。アフリカの32ヵ国を含む、世界の半数以上の国(116ヵ国)がICCの設立を定めたローマ規程を批准しています。さらに、現在23カ国が条約に署名しており、将来の批准が予想されています。昨今ですとチュニジアが2011年6月にICCに加入し、締約国となりました。リビア新政府も、国際刑事裁判所ローマ規程を即刻批准することが望まれています。
国連安全保障理事会がリビアの状況をICCに付託する決議を全会一致で採択した際には、西欧諸国のみならず、すべての大陸の理事国がこの動きを支持しました。
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リビア : トリポリにおける戦闘が続く中、市民を保護すべき
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アムネスティ発表国際ニュース
2011年8月25日
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リビアでは2月半ばから始まった反カダフィ派の決起とカダフィ派による弾圧のなかで、数多くの人々がカダフィ派によって拘束され行方不明となっていた。反カダフィ派による今回のトリポリ制圧で、拘束されていた約1万人の政治犯が釈放された。だが、いまだに約5万人の所在が分かっていない。これらの人々の安否が気づかわれる。
これまでカダフィによる弾圧の詳細が明らかにされたことはほとんどなかった。リビアでは秘密警察の存在が人々を恐怖で押さえつけてきたからだ。しかし、カダフィが打倒された現在、これまでにカダフィが行なった数々のおぞましい残虐行為の数々が、白日の下にさらけ出されるであろう。
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