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株価は30年前の水準にまで低迷!パナソニックを迷走させた中村邦夫会長は潔く責任を認めて去るときではないか[現代ビジネス]
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投稿者 さそり座 日時 2012 年 1 月 25 日 18:43:45: skGvs8zjwBMFM
 

現代ビジネスより引用

1月24日、国会で初の所信表明演説をした野田佳彦首相は、「松下政経塾」の第一期生である。同塾は1979年、松下電器産業(現パナソニック)の創業者である松下幸之助氏が創設、「地盤、看板、カバン」のいわゆる「3バン」がない人材が政治家になれる道筋を作った日本のリーダー養成塾として知られる。

株価は30年前の水準に

民主党の前原誠司政調会長、玄葉光一郎外相、今回の改造で初入閣した松原仁国家公安委員長(拉致問題担当相)はいずれも政経塾OB。福山哲郎前官房副長官もそうだ。政経塾OBではないが、鳩山政権で官房長官を務め、今回再入閣した平野博文文部科学相はパナソニック労組出身である。民主党政権は「パナソニック政権」でもある。

 民主党政治も全く駄目だが、本家筋のパナソニックの経営も絶不調だ。幸之助氏は草葉の陰できっと泣いていることだろう。


株価は30年前の水準に


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政治家の場合、選挙という「洗礼」があるため、無能と有権者から思われたら落選の憂き目にあう。

 しかし、大企業の経営者の場合、日本では株主や社外取締役からの圧力はほとんどないので、業績が悪化しても責任を取らずに逃げることができるし、悠々とその座に居座ることもできる。ほとんどのメディアも広告主を恐れ、オリンパスのような事件性の高い不祥事でも起こらない限り、大企業の経営者の経営責任を追及することはほとんどしない。

 今のパナソニックがまさにその状況に置かれている。今期4200億円の純損失に陥るが、浮上の気配が見られない。その証拠に24日の株価は640円と、政経塾ができた頃の30年前の水準にまで落ち込む。そればかりか、格下のシャープ(657円)や三菱電機(770円)にすら負けている。一般的に株価には将来の「期待値」も織り込まれるが、市場はパナソニックに期待をしていないということである。

 トヨタ自動車と並んで日本を代表する企業の凋落は、東日本大震災やタイの大洪水、欧米の景気の悪化などが原因ではない。はっきり言うが、「戦犯」は、00年に社長に就任以来、経営のトップの座にいる中村邦夫会長である。そして、社長でありながら中村氏の戦略ミスを軌道修正できない大坪文雄社長、経営企画担当の森孝博副社長の3人の「罪」も重いと筆者は考える。その構図を以下に説明しよう。

中村氏は「寡黙な独裁者」である。あれこれと直接指示を出すことはないが、社内には中村氏の意向を忖度する雰囲気が蔓延している。なぜなら中村氏は、自分の意に沿わないと顔を真っ赤にして激昂して起こり、左遷人事が待っているからである。「ご威光」にひれ伏すしかないが、そこにうまく取り入ったのがもう一人の「戦犯」である森孝博副社長だ。

 森氏は、森下洋一相談役が社長時代に秘書を務め、その後、広報宣伝の責任者を歴任。人当たりが良く、気が利くため、中村氏の「秘書」的存在でもあり、調整能力だけで副社長にまで出世した。

 パナソニックは1兆円近い巨額を投じて三洋電機を買収、経営を一体化しているが、三洋電機の企業価値が毀損し、のれん代の償却を迫られる可能性が出て、赤字がさらに拡大するとの見方もある。期待していた三洋の電池事業もぱっとしない。

 さらに買収後にリストラを実施しているため、「追い金」が発生している。一般的にM&Aは負の部分を切り取ってから行うものであるが、パナソニックによる三洋買収は経済合理性を感じさせないM&Aであり、役員OBの中には経営責任を指摘する声も出始めている。

 中村氏の意を汲み、外資の投資銀行などを相手に買収劇を仕切ったのが森氏であるが、調整能力だけで出世した御仁に生き馬の目を抜くような外資の投資銀行との交渉など大役が務まるはずもあるまい。案の定、三洋電機を高掴みしてしまった。

携帯電話事業が迷走した理由


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中村氏の意向を忖度し過ぎた結果、経営が迷走した象徴的な事例がある。それはスマートフォンでは最後発となった携帯電話事業の低迷だ。00年代初めに旧松下通信工業などグループ内の重複事業を整理再編して誕生した携帯部門で品質の不具合問題が起こったため、中村社長(当時)の逆鱗に触れ、見せしめのために開発投資を抑えられてきた。その結果、00年度に約2100万台あった携帯電話の販売数は10年度に約440万台にまで落ち込んでいる。

 もともとパナソニックの携帯は「薄くて軽い」ことに特長があり、今のスマートフォン時代にぴったりの技術を持っていた。中村氏の判断によって部門全体が委縮してしまい、攻めの経営ができなくなったというわけである。

 06年に社長を引き継いだ大坪氏も工場長タイプで、大局観があるわけでもない。「中村傀儡」として動き、社長在任中の実績はパナソニックへの社名変更くらいであろう。

 主力のテレビ事業も13四半期連続の赤字に陥る、がたがたの状況で「再起不能」のように見えてしまう。

 1月11日に米ラスベガスで開幕した世界最大の家電見本市でも、パナソニックはサムスン電子やLGとの実力の違いを見せつけられた。サムスンとLGは次世代薄型テレビの本命のひとつである「有機ELテレビ」を展示し、55型を年内にも発売することを表明したのに対して、大坪氏の口からは「有機ELテレビを発売するかの結論は出ていないが、挽回はできる」といった守勢に回る回答しか出なかった。攻勢に出るネタも意思もなかったように映る。

 前述した4200億円の純損失を計上するのは、当初は1100億円と見込んでいた特別損失が5140億円にまで膨らんだからだ。特損が膨らんだのは、3150億円の固定資産の減損が発生するのが理由だ。パナソニックは2年前に総投資額4500億円を投資し、液晶工場(兵庫県姫路市)とプラズマの尼崎第5工場を稼働させたばかりだが、いずれも低稼働率に悩み、わずか1年で減損処理に追い込まれることになったのだ。

 ITバブルがはじけた影響を受けて4310億円の純損失を計上した02年3月期とは事情が違う。成熟化していた国内のテレビ事業に過剰投資を行って「出血」が止まらなくなった経営判断を誤ったことよるものだ。10年以上、経営トップの座にいる中村氏の経営責任は大きい。

 反転のネタにも事欠ける。「まるごと戦略」を掲げ、家まるごと、街まるごと、パナソニック製品で埋め尽くす戦略だが、どこか現実性に乏しい。だから株式市場での評価も低い。

 パナソニックが再生するには、経営者として賞味期限が切れた中村氏と、その周辺の「鞄持ち役員」を追い払い、若くて優秀な人材に託すしかないだろう。パナソニックの「頭」は腐っているのである。今のパナソニックはかつての日産自動車と同じような状況に置かれ始めている。早く「病巣」を切り取らなければならない。

大スポンサーにひれふすメディア


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 普段張り付いて取材しているメディアもそのことをずばりと指摘するのが使命であろう。しかし、中村氏にすり寄る記事が多い。昨年12月30日付の読売新聞大阪版

 一面の記事はそれを象徴するような記事だった。課題が山積しているために、中村氏と大坪氏が揃って留任すると大々的に報じたのだ。

 今年6月に大坪文雄社長が会長に昇格し、中村氏は退任することは既定路線だった。創業者の松下幸之助が66歳で社長を退いたため、「66歳」を超えて社長を続けた前例がないため、大坪氏が「定年」になるはずだったからだ。ところが、この記事はそれを覆そうとしている。

筆者の経験から言うと、パナソニックは広告を盾にメディア圧力をかけてくる典型的な企業である。中村氏が社長になってその傾向は強まり、広告収入が落ちるなど経営が芳しくないメディアも大スポンサーの威光にひれ伏すしかない。

 筆者も中村氏に「雷」を落とされたことがある。朝日新聞の経済部記者時代、パナソニック担当キャップ(02年〜03年)だったが、系列週刊誌「アエラ」に載った「松下電器V字回復の嘘」という記事が気に食わないという理由で、私が書いた記事ではないにもかかわらず、約1時間半もの間、本社の社長室で鬼のような剣幕で怒鳴られ続けた。同席した後輩の女性記者はあまりの剣幕に泣いてしまったほどだ。

 中村氏の主張は「松下はスーパー正直な会社だ。嘘とは何事だ。しかもソニーの御用記者を使ったコメントを載せてうちの批判を書いて。あなたが書いた記事ではないことを知っているが、松下も自分が造った製品ではなくても不具合があれば営業担当者はお客から怒られるのは当たり前。だからあなたが抗議を受けるのは当然」といったものだった。

私がフリー記者に転じたきっかけ


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 中村氏は朝日新聞記者の出入りを禁止し、決算会見にも来てはいけないと通告した。朝日新聞への広告も止めた。

 結局、朝日新聞は当時の箱島信一社長まで巻き込む事態になり、パナソニックのヨイショ記事を書く代わりに広告を復活させることで手打ちをした。経済部の一部のデスクが

 この手打ちの在り方に反対したので、結局は他の部署の記者が持ち上げ記事を書いた。それが直接の原因ではないが、その後、反対したデスクは社を去った。私の場合もフリー記者に転じることを考えるきっかけを与えてくれたのは、この「事件」だった。

 筆者は中村氏に敢えて言いたい。「そんなにスーパー正直な会社ならば、あなたの経営責任を社内や株主などの社外にはっきり認めて、潔く社を去る時期ではないですか。松下幸之助氏も『指導者が備えるべき要件は、それは一言でいって責任を取るということですな』と言っています」
 

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