http://www.asyura2.com/11/test24/msg/237.html
Tweet |
●「財務官僚に翻弄される野田首相」(EJ第3202号)
2011年12月15日 :{Electronic Journal}
野田政権は、消費増税の成立に向けてますます前のめりになっています。野田首相の後にいる財務官僚が煽っているからです。
それは、五十嵐財務副大臣の発言からよくわかります。五十嵐副大臣が消費税の具体的な税率に言及したとき、安住財務相から叱責されましたが、これは完全に財務省演出によるサル芝居なのです。五十嵐副大臣に先行発言させて、周囲の反応を探っているのです。そこには政治主導のカケラもないのです。
五十嵐財務副大臣は次のような発言をしていますが、いずれもも数字が入って具体的であり、素案はとっくの昔に完成しているものと思われます。それに五十嵐氏の発言は素早くメディアが報道するので、多くの国民の耳に入ってきます。
1.消費増税の引き上げ時期に具体的に言及
2.軽減税率は税率10%までは考慮しない
3.自動車重量税などの減税財源確保は困難
4.一体改革の素案は28日までにまとめる
しかし、消費増税の実現は困難であると考えられます。記者クラブメディア各社は、消費増税を後押しするため世論調査を行いましたが、消費増税への反対はいずれも50%を超えています。
財務省に牛耳られているテレビの報道番組でキャスターは、次のようにいい繕っています。
消費税増税には反対が賛成を上回っていますが、増税が好きな人はいないわけで、40%台の賛成があるというのは、大変なことだと思いますね。
──12日の報道ステーション
野田首相は「不退転の決意」といっていますが、世論調査では約6割の人が野田首相の「実行力」に疑問を抱いています。また半数を超える人が「野田首相は国の支出を見直す努力をしていない」としており、公務員給与の引き下げを先送りしたことで「身を切る覚悟が足りない」と感じているのです。
一方小沢元代表も「国民への説明が不十分だ」と政権批判するなど年末の取りまとめに向けて党内の反発が日に日に強まっている情勢にあります。何よりも深刻なのは、消費税の引き上げに欠かせない内閣支持率の下落に歯止めがかかっておらず、いかに党内をまとめられるかに政権の命運がかかっているといえます。
政権にとって気をつけなければならないことは、財務省は国のことを考えてアドバイスしてくれないということです。彼らは自分たちの組織を守ることだけを第一義に考えて、なるべく手元にある資金を使わず、国民から税金で取りたいのです。それが彼らにとってベストな方法であるからです。
増税強行によってデフレがさらに進行し、景気が深刻化して国民がどんなに困ろうと、それによって民主党が選挙に大敗しようと、彼らにとっては一向に困らないのです。しかし、野田内閣は財務省を中心とする官僚と一体になって前のめりで、増税路線を推し進めているのです。
消費増税の実現を一層難しくしているのは、東日本大震災の復旧・復興財源を増税でやったことです。これほどの大災害に、その復旧・復興資金を増税で賄う国はないのです。まして日本の財政は、既に述べてきているようにそのぐらいの資金は簡単に捻出できるのです。何しろ日本は世界一の債権国家なのです。
それでは、なぜ増税になってしまったのでしょうか。それは首相をはじめ閣僚の経済に関する無知がそうさせたのです。もっとはっきりいうと、経済についての議員の無知に財務官僚が付け込んだのです。このような災害の復旧・復興資金の調達は、復興国債を発行して日銀がそれを直接引き受ければいいのです。
このことは、今回のテーマの第1回(第3175号)で取り上げたことですが、野田首相が財務相のときに日銀の直接引き受けに関して質問され、答えられず恥をかいたことがあったのです。
そのとき、財務官僚は、そういう質問が出ることを知っていながら、あえて野田財務相に教えなかったのです。
野田氏は「国債の日銀直接引き受けは禁じ手である」と思っていて、財政法をよく研究していなかったのです。財政法第5条には次のことが定められているのです。
第五条 すべて、公債の発行については、日本銀行にこれを引き受けさせ、又、借入金の借入については、日本銀行からこれを借り入れてはならない。但し、特別の事由がある場合において、国会の議決を経た金額の範囲内では、この限りでない。
財務省は自分たちにとって都合のわるいことは大臣には絶対に教えないのです。実は、2011年度予算の「予算総則」において、次のように書かれていることについて、民主党の議員はどのくらい知っているのでしょうか。
日銀保有国債分については「財政法第5条ただし書き」の規定により、政府が平成23年度において発行する公債を日本銀行に引き受けさせることができる。
──2011年度予算の「予算総則」
一般的には、日銀による国債の直接引き受けは禁じ手とされていますが、毎年それはごく当然のように行われているのです。禁じ手とされてきた理由は、通貨の信認が失われるというものですが、実際にはそのような事実はないのです。問題があるなら、毎年行われるはずがないからです。
財務省がこのことを隠したというより、当時の野田財務相自身が何とかして増税を避けたいと知恵を絞らなかった結果であるからです。
── [財務省の正体/28]
≪画像および関連情報≫
●日銀の国債引き受けについて/「岩本康志のブログ」より
財政法第5条の第1文で,国債引き受けを原則として禁じている。理由は,政府が日銀の国債引き受けに頼り,過度のインフレが起こることを抑止するためである。同時に,放漫財政の歯止めでもある。では,第2文のただし書きは何のためにつけられているのか。小村武著『三訂版 予算と財政法』(新日本法規)は,以下のように説明している[2011年5月24日追記:同書四訂版でも同じ記述である]。 「この特別の事由については,現在,日銀が保有する公債の借換え(いわゆる乗換え)のために発行する公債の金額についてはこの要件に該当するものとして,特別会計の予算総則に限度額の規定が設けられている。これは,借換債の性質上日銀が現に保有しているものの引き受けであり,通貨膨張の要因となるものではないからである」。
消費増税に黄色ランプ
元記事リンク:http://electronic-journal.seesaa.net/article/240516281.html
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。