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(回答先: 「なぜ、財政危機を煽るのか」(EJ第3193号)[財務省の正体/19] {Electronic Journal} 投稿者 メジナ 日時 2011 年 12 月 02 日 10:23:00)
●「なぜ、財政危機を煽るのか」(EJ第3193号)
2011年12月02日 :{Electronic Journal}
昨日のEJをフォローをする必要があります。財務省は、2010年度末には、国と地方の借金残高と家計の金融資産負債差額はわずか87兆円になっていると発表しているのです。これを私は「ウソ」と書きましたが、言葉ずらだけを見るとウソではないのです。五十嵐財務副大臣がもしそれを指摘されたら、きっというでしょう。「ウソではない。事実を申し上げている」と。しかし、これは霞
五十嵐財務副大臣がここで対比させているのは、次の2つの項目です。
1. 国と地方の借金残高 1028兆円
2.家計の金融資産負債差額 1115兆円
1115兆円 − 1028兆円 =87兆円
多くの人は、ここでいう「家計の金融資産負債差額」を「家計の金融資産残高」としてとらえると思います。五十嵐氏はそれを計算して言葉のトリックを仕掛けたのです。五十嵐氏は「家計の金融資産負債差額」といっているだけです。
「家計の金融資産負債差額」というのは、金融資産から住宅ローンをはじめとする借入金や負債を引いた差額のことです。つまり、家計の金融資産残高の「ネット」の数字なのです。これが、2010年度末に1115兆円になっているというわけです。
しかし、「国と地方の借金残高」の方は、最大限負債を積み上げています。中央政府と地方政府の借金の上に国の短期証券残高などわかりにくい借金まで積み上げて、それが2010年度末までに1028兆円になると予測したのです。
しかし、この「国と地方の借金残高」である1028兆円の方は国の資産を差し引かない「グロス」の数字なのです。ネットの数字である1115兆円から、グロスの数字である1028兆円を引いた数字が87兆円しかないといいたいわけです。財務省側は、この数字を少しでも小さく見せたかったのですが、基準の違う数字を比較しても、まったく意味のないことが財務省はわからないのでしょうか。
ちなみに、財務省が出しているパンフレット「日本の財政を考える」平成20年(2008年)9月」には国と地方の借金(長期債務残高)と家計の金融資産とを比較して、次のように書いているのです。これは両方ともグロスの数字です。
国と地方の借金(長期債務残高)は家計の金融資産の約半分である。
──「日本の財政を考える」平成20年9月
高橋洋一氏によると、2009年からは、こういうグロスの比較数字は出ていないそうです。増税キャンペーンには使えないと思って外したのでしょうか。
ところで、日銀の資産循環勘定ストック編をよく見ると、国と地方などを合わせた一般政府の金融資産負債差額というネットの数字が出ているのです。次に示します。
2000年度末 ・・・・・・ 277兆円
2005年度末 ・・・・・・ 424兆円
2010年度末 ・・・・・・ 563兆円
2010年度末を例にとって考えてみます。財務省によると、2010年度末に国と地方の借金残高は1028兆円になっているといいます。しかし、同じ2010年度末の国と地方の一般政府の金融資産負債差額は563兆円もあるのです。
しかも、金融資産はネットであり、そのすべてが処分可能なわけではありませんが、借金に対する資産の額としては十分であるといえます。さらに家計の金融資産負債差額も1115兆円もあるのです。どうして緊急に消費増税をしなければならないほど日本は財政危機なのでしょうか。
既にEJ第3183号で述べたように、2010年度末の国の純粋な借金の額は391兆円(赤字国債)なのです。これに対しても563兆円の一般政府の金融資産負債差額があるので、少なくとも日本は財政危機ではないといえます。
また、これとは別に財務省が公表している政府のバランスシートによると、2010年度末に政府は、694兆円の資産を保有していることになっているのです。どうしてこれが財政危機なのでしょうか。
このように考えていくと、財務省はあえて財政危機を演出するために四苦八苦しているように見えるのです。このような数字はネットを調べてみればだれでもわかるのです。
メディアにしても、経済評論家にしても、テレビのコメンテーターにしても、そんな単純なことがわからないはずはないと思うのですが、ほとんどの人が財政危機で意見が統一されているのです。財務省はメディアと一体となって、財務省の増税キャンペーンに協力し、口裏を合わしているとしか思えないのです。
テレビの政治番組を見ていると、出演しているコメンテーターや解説者、経済評論家などはほとんど「日本の財政は危機的状況にあり、消費増税はやむをえない」という財務省の主張に沿った発言をする人がほとんどです。それに真っ向から反対する人は最近では非常に少なくなっています。
どうしてかというと、財務省の主張と真っ向から対立する意見を述べる人を巧妙にテレビから外しているからです。既に述べたように、記者クラブメディアは財務省に牛耳られており、財務省にとってマイナスになる発言をする者をテレビに出すなといわれると、それには抗しきれないのでしょう。その結果、日本の財政は危機的であり、消費増税はやむなしになってしまうのです。日本は民主主義国家ではないのです。
── [財務省の正体/19]
≪画像および関連情報≫
●経済コラムマガジンの印象的な記事/05/1/31
2005年1月16日、日曜日の深夜、TBSの時事放談に宮沢元総理と塩川前財務大臣がゲスト出演していた。両人は大蔵大臣・財務大臣の経験者である。今回、特にこの番組を取上げたのは、両人から聞き捨てならない発言があったからである。
司会の岩見隆夫氏が、両人にフリップを示し「いま日本の国債発行残高が530兆円と巨額になっているが、財政は心配ないのか」という質問をした。ところが両人ともに即座に「今は心配ない」と答えた。
さすがに岩見氏も、「えっ」と驚いた。日頃から日本の財政は危機とさんざん聞かされているのに、大蔵大臣・財務大臣の経験者の宮沢、塩川氏が日本の財政は大丈夫と言っているのだから、びっくりするのは当たり前である。
岩見隆夫氏の反応を見て、今度は宮沢塩川氏の方が慌てた。
宮沢元総理は「今は大丈夫ということで、今後はどうなるか分からない」と苦しい言い訳をしていた。
とにかく2013年までにプライマリーバランスをとるように財政を健全化して行く必要がある」と答えていた。
経済コラムマガジン:http://adpweb.com/eco/eco375.html
元財務官僚/高橋 洋一氏
元記事リンク:http://electronic-journal.seesaa.net/article/238175666.html
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