http://www.asyura2.com/11/test24/msg/141.html
Tweet |
「日本の若者の一部に田園回帰の動きがある」(BBCの記事より)
(Japan's youth turn to rural areas seeking a slower life: BBC NEWS BUSINESS)
http://www.bbc.co.uk/news/business-15850243
2011年11月27日最終更新16:04GMT
よりスローな生き方を求めて、田園地方に向かう日本の若者
ローランド・バーク
BBCニュース、東京
この数十年、大都市のまばゆい光が、人々を田舎から東京へと引きつけ続けた。
しかし、日本の若者の一部にとって、摩天楼がそびえネオンがまたたく都会は魅力を失いつつある。
同世代のうちの何百万人の人々ように、サカグチ・メグミさんは正規社員の職が見つからない。非正規の職しかないのだ。
非正規労働者はいまや日本の労働力の3分の1を占めている−この割合は、1980年代半ばの5分の1以下から上昇している−その大部分は若者たちだ。
上の世代が享受した、終身雇用による安定した生活の伝統は、彼女を無視して通り過ぎていく。
「この先、仕事が続くのかなくなるのか、私には全く分からない」と彼女は言う。「経済的には、私の不安のレベルはかなり高い。」
「朝、通勤ラッシュの電車から降りるとき、人々の動きや表情は、ほとんど人間のものには見えない」と、彼女は付け加える。
だから、彼女は決めた。今が変える時だと。
10月のある週末、サカグチ・メグミさんは、田舎を訪ねるバスツアーに参加した。
やはり都市から来た、同じバスに乗った人々と同じように、農家になるとはどのようなことなのか、彼女は体験してみた−一日農場で働き、就農を検討するのだ。
リンゴの果樹園や、イチゴが一面に植えられた温室を巡り、農場で栽培者に話を聞く、このような小旅行は、毎週、日本の農村部のそこかしこで開催される。
こうした小旅行を企画して費用を出すのは、何としても田舎に人を呼び戻したい、地元当局だ。
若者たちが都市に向かう傾向が何年も続き、日本の農民の平均年齢はいまや65.8才。この数字はじりじりと上昇している。
しかし、今では、逆に農村に行くことを考える人々もいる。
「今では、より多くの人々が農業をしたいと思っており、その数は増えつつある」と、就農希望者を呼び寄せるためのウェブサイトを利用している地元の自治体職員、マルヤマ・ナオコさんは語る。
「より多くの都市生活者が農村暮らしを望んでいる。ここ長野県では、そういった人々を支援したい。しかし、それでも、農家になるための道のりは遠い。」
「よりスローな生き方」
長野県と、全国規模の農業協同組合・JAの地元支部は、週末の農場訪問を終え、さらに前に進もうと決めた人々への支援を申し出ている。
実際の農作業に有用であり、利用可能な農地探しにも役立つ指導が行われている。先輩農家による指導も成果を上げている。
86才のタナカ・ギイチさんは、数年前に弟子を見つけた。
高齢による腰の曲がりからさらに倍、腰を曲げて、タナカさんは今でもキュウリ栽培の温室で働いている。第二次大戦から戻って以降、タナカさんは毎日そうしてきたのだ。
実の息子は数十年も前に家を出て警察官になったので、自分の死後、誰が仕事を継いでくれるのかを、タナカさんは心配していた。
ちょうどその時、カジヤ・ヒトシさんは横浜でのシステム・エンジニアの職を辞め、タナカさんの農場で働き出した。
「都会暮らしにはつくづく飽きた」と、カジヤさんは語った。
「日々の仕事が忙しすぎた。もっとゆったり暮らせるような変化を求めていた。私は農家になりたくなった。農家の仕事は、ペースがよりゆっくりしていて、とても充足感がある。」
「私は、仕事を継いでくれて、畑仕事を教えることができる、若い世代の人を捜していた。」と、タナカさんは語る。「仮に息子が継ぎたいと思っていても、年をとりすぎている。カジヤ君はとてもいい。彼は非常に熱心だ。」
優先順位が変わったのか?
サカグチ・メグミさんが東京から参加したツアーでは、2人が働く農場にも立ち寄る。
そして、2人が栽培するキュウリが畝を連ねる中で、2人に話を聞いたりしながら、彼女にとっての正しい決断が固まっていく。
「もっと若かった頃、私は活気に満ちた明るい生活を求めて東京に来た。でも、ここの方がいいと思う−自然がいっぱいだ」とサカグチさんは語る。
「都市で生活していると、誰が隣に住んでいるかが分からない。でも、田舎では、近所の人たちと挨拶を交わせる。子どもたちも『こんにちは』と言ってくれる。私は田舎暮らしを楽しめると思う。」
日本はいまでも都市化が極度に進んだ国で、いまは、田舎から都市に向かう人々に比べ、逆に田舎へと向かう人々は非常に少ない。
東京・川崎・横浜と切れ目なく都市が連なる関東地方は、インドよりも経済規模が大きく、世界がこれまで経験した中で最大の人口密集地域だ。
しかし、田舎から都会への人口の大量移動をアジアに導いた日本では、数こそわずかだが、置き去りにされたものの価値を、若い人々が再び探し出そうとしている。
----------------------------
(Rural return for young Japanese: BBC NEWS BUSINESS)
http://www.bbc.co.uk/news/business-15914113
日本の若者が田園に回帰
(次のリンクから動画をご覧になれます。)
http://www.bbc.co.uk/news/business-15914113
2011年11月28日最終更新00:46GMT
経済成長がめざましい、ということは、多くのアジア諸国では急速な都市化をいま経験している、ということになる。
未来を切り開くために、若い労働者たちは田畑を捨てて都市へと群がっている。
日本では、数十年前に好景気と人口の大量移動があったが、この20年間、経済は停滞している。そのため、若者たちの一部は、都市を捨てて田舎に戻りつつある。
BBCのローランド・バークが東京から報告する。
-----------------------------
(投稿者より)
BBCサイトに掲載された記事です。発言部分は、英語のテキストから直接日本語に直しています。誤訳があるかも知れません。ご容赦下さい。
都市住民の田園回帰の動きは、いつの時代でもあったように思えます。
80〜90年代は、経済的な繁栄の対価としての過労死や長距離通勤など、非人間的な労働環境に対置する動きとして伝えられました。10年くらい前は、行き過ぎた競争社会へのアンチテーゼとして伝えられていたように思えます。
ただ、アジアの先駆けとして経済成長を成し遂げた日本も、すでに成長期を終えています。そのため、経済力による階層社会を国内に作ることで、一部の人々だけにこれまでと同じ生活水準を保障するという構造がすでにできています。それでも、経済の低迷が続くと、それに伴ってパイも小さくなる。その結果、転落する人々は常に出つづける。一度転落すると、這い上がることはまず不可能です。そのような社会の姿に、若者たちが未来の希望を見いだせなくなった、という見方はできると思います。
さらに、深層心理として、震災と福島の事故があり、「東京に住む」ということ自体に危険が認識されるようになった、ということも言えるかも知れません。
私はここで、「再チャレンジ社会」の必要性を安易に訴えるつもりはありません。この言葉を唱えた政治家が、具体的な何かをしたことはありませんでした。また、この動きがメジャーになるとも思えません。農村が吸収できる人口には限りがありますし、全ての人が農業に適性があるわけでもありません。
ただ、社会の大きな変化をとらえる切り口として、「都市vs農村」の構図はわかりやすいと思いました。また、かつてとは違い、田園回帰の主体が、現役で企業社会の第一線に立つ人々ではなく、かつてならその未来を担うはずだった若者たちである、という点で、大きな動きをとらえた記事に思えました。
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。