http://www.asyura2.com/11/test23/msg/860.html
Tweet |
(回答先: 「なぜ震災復興経費を増税で賄うのか」 [財務省の正体/10] {Electronic Journal} 投稿者 メジナ 日時 2011 年 11 月 18 日 08:08:44)
●「なぜ震災復興経費を増税で賄うのか」(EJ第3184号)
2011年11月18日 :{Electronic Journal}
財務省は、巨額の政府支出が必要となる東日本大震災の復興には増税するしかないという世論を作ろうとしています。これは財務省の増税キャンペーンの第2の訴求ポイントです。
当然ながら3月の大震災を財務省が予測していたわけではないのです。財務省の悲願はあくまで「社会保障と税の一体改革」による消費税増税なのです。その実現ですら非常に厳しい情勢であるのに、震災復興増税ということになると、肝心の消費税増税は実施しにくくなるのではと普通はそう考えます。
しかし、財務省は震災が起きるや否や直ちに政府に増税を働きかけ、その実現が決まっているのです。これには菅首相と野田財務相という財務省に洗脳された2人の首脳に大きな責任があります。震災直後の3月13日に菅首相が自民党の谷垣総裁に増税の話を持ちかけたのは財務省幹部にそれを説得されたからです。
財務省としての建前はこうです。一般的に災害の復興には国債を発行して対応すべきですが、日本は1000兆円もの国の借金があり、既に国債を発行する余力がない。もし財源の裏付けのない国債を発行すると、日本国債の価格が暴落(長期金利の上昇)しかねない。だから、増税しかない──こういう論法です。ここで、第1の訴求ポイントが生きてくるのです。
しかし、既にここまで述べてきているように、1000兆円の国の借金は心配することはないのです。東日本大震災の復興費用は道路や橋や建物などのインフラの復旧・整備を含むので、建設国債で対応できるのです。しかし、財務省はそれを許さず、結局増税で対応することにしています。もはや、政府は財務省と一体化しており、何の頼りにもならないのです。
野田首相や安住財務相は「将来世代につけ回しをすべきではない」と述べていますが、これは矛盾しています。インフラの復旧・整備は、次世代の人もそれらのインフラを利用できるので、その費用は現世代と次世代が等しく分かち合うべきでしょう。
次世代につけ回してしまうことになるのは、赤字国債の方なのです。現在の日本経済は、税収が大幅にダウンして経常支出を賄えなくなっており、その分国債(赤字国債)を発行して、穴埋めをしなければならないのです。これこそ次世代のつけ回しそのものであるといえます。
したがって、いま日本がやるべきことは、経済を活性化させることであり、税収を増加させることです。それなのに建設国債の60年償還で対応できる震災復興経費を臨時増税で賄おうとし、さらに消費税増税を実施すると、設備投資や消費を一層冷え込ませる結果となり、経済が低迷してさらに税収が減ってしまう恐れがあるのです。そうすると、さらに多くの赤字国債を発行しなければならなくなります。
大災害の復興はうまくやれば、経済活性化のチャンスでもあるのですが、日本は1995年1月の阪神・淡路大震災のときもそれをうまく生かすことができなかったのです。高橋洋一嘉悦大学教授によると、マクロ経済政策上のミスがあったというのです。
高橋洋一氏の所論を以下にまとめていきます。マクロ経済政策の2本柱は次の2つです。
1.金融政策
2.財政政策
「マンデル・フレミング理論」というのがあります。1999年のノーベル賞を受賞したロバート・マンデルとジョン・マーカス・フレミングという2人の経済学者の名前をとった理論です。
これは簡単にいうと、「変動相場制の下では財政出動しても効果がない」という理論です。公共事業への投資が景気の浮揚策になったのは固定相場制の時代の話であり、変動相場制の下では、効かないというのです。
大規模な公共投資を行うと、内需も雇用も拡大します。しかし国債を発行するということは、民間から資金を集めることです。
これを金融政策論的にいうと、市中のマネーを引き揚げることを意味し、結果として金融の引き締めになるというのです。
市中のマネーが減ると、金利が高くなり、円が買われるので、円高になるのです。そうなると、輸出産業が打撃を受けて、公共支出の増大の効果を相殺してしまうのです。
阪神・淡路大震災では、当時の大蔵省は私有財産に公費は入れられないとして、現状を復旧するだけで十分として徹底的に経費をケチり、小規模の予算しかつけなかったのです。そして財政支出額を決定したのです。ところが、マンデル・フレミング理論によって、それを先取りするかたちでの円高が起こり、そのため、6兆円もの円高対策費を追加することになったのです。このときの円高は、それまでの過去最高値の「1ドル=79・75円」になっているのです。
2011年の東日本大震災でも同様のことが起きています。東京外国為替市場のドル円相場は2011年3月17日早朝に円が急騰し、一時「1ドル=76・25円」まで円高が進んでいるのです。阪神・淡路大震災のときと同様です。それではどうすればよかったのでしょうか。高橋洋一氏は次のようにいっています。
マンデル・フレミング理論から見ると、もっと早く金融緩和に踏み出すべきだった。遅くとも財政支出の発表と同時に金融緩和も決定していれば、あのときの円高は阻止できただろう。こうした阪神・淡路大震災の反省点を踏まえて復興対策を立てなければならないが、東日本大震災に際しての民主党政権の対応を見ていると、とても過去の教訓を生かしているとはいいがたい。 ──高橋洋一著
『財務省の隠す650兆円の国民資産』/講談社刊
── [財務省の正体/10]
≪画像および関連情報≫
●白川日銀総裁の適格性を問う/2010年9月15日
欧米では経済を動かすのは大統領ではなく中央銀行総裁だ。 しかし、日本のマスメディアに就職した学生はサボってばかりいたのか、景気対策の話題になると財政支出関連報道のオンパレードだ。マンデル=フレミング理論を簡単に説明しよう。変動相場制の場合、国債発行による公共投資を行うと、市場のカネが国債発行によって減少するので金利が上がる。 そのため円高になって輸出が減り、公共投資のプラス効果を相殺するのだ。逆に金融緩和すると、市場のカネが増えるので金利が下がり、設備投資が増加するとともに、円安になることで輸出も増え、景気刺激になる。こうした金融政策と金利の動きを知っていれば、金融政策の巧拙が通貨価格に影響を与える理屈もわかるだろう。
だが、日本の白川方明(まさあき)日銀総裁は存在感がないばかりか、今回の円高にまったく無策だった。先進国は現在中央銀行の金融政策を極めて重要視しているが、当然それには理由がある。変動相場制においてマクロ経済効果は、財政政策より金融政策のほうが有効なのだ。これは、マンデル=フレミング理論といって、99年にノーベル経済学賞をもらった由緒正しい理論だ。いまだに、景気対策というと、財政支出額を競っている日本は世界の笑いものである。マンデル=フレミング理論は大学の経済学上級コースで習うはずだ。
参考:http://gendai.ismedia.jp/articles/-/1146
高橋 洋一嘉悦大学教授
元記事ブログ:http://electronic-journal.seesaa.net/article/235701439.html
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。