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本澤二郎の「日本の風景」(918)<児玉龍彦教授は本物の科学者>
http://blog.livedoor.jp/jlj001/archives/51935512.html
2011年11月10日 :{「ジャーナリスト同盟」通信}
<児玉龍彦教授は本物の科学者>
事情通に笑われるかもしれない。東京大学にもまともな科学者がいたことに気付かなかったのだから。児玉龍彦アイソトープ総合センター長である。彼は9月30日に日本記者クラブで記者会見をしていた。同クラブ動画を何気なく開いていたら、彼の会見を見つけ、その様子を聞くことができた。最初はよくわからなかったが、間もなくして自己保身と無縁な、真面目で勇敢な学者だと理解できた。
3・11以後の日本に、いい科学者はいないと思っていたのだが、ネットで京大の小出助教のことを知った。もう一人は本ブログで紹介した。そして3人目がこの児玉さんである。
「科学者は事実を知らせる。それをわかりやすく説明する。しかし、それを押し付けない」という児玉さんの信念に誰しも頷くだろう。この実直で当たり前のことを、政府や東電は逆のことをやってきた。今も、である。NHKを先頭にマスコミも、そこに登場したエセ科学者らも。
嘘と隠ぺいに対しては、激しい怒りを、ジャーナリストの筆者もそうだが、彼の場合は真実を基礎にしているだけに、余計に強烈にぶつける。そのことが分かった。
黒「何といいますか」<会見中、何度も絶句>
こと科学に関しては純粋・純真である。その道を外れている同業者ばかりの現状に対して、心の底からいらつき、時に容赦しない。彼は会見中、何度も絶句した。涙声になって、胸の怒りをこらえる場面もしばしばだった。
それもそうだろう。ガンの専門医として命と正直に向き合ってきている。チェルノブイリを見れば、福島の住民、とりわけ子供や妊婦は悲劇を通り越していた。放射能にさらされてきたのだから。彼ら彼女らの20年、30年後のことを思えば、医者でなくてもいたたまれなくなるだろう。適切な手を打たないできた政府や東電である。彼らのお抱えの東大御用学者は、嘘つきで真実を語らなかった。それに追随したマスコミである。
3・11後の政府・科学者・マスコミの対応は、彼が想像も出来なかった日本だったのである。
<マスコミへの怒り>
児玉教授は、7月27日に衆院厚生労働委員会に参考人として出向いて事実を発言した。それもこれも「マスコミへの怒り」からだった。真実を、事実をまともに伝えない、ねじ曲げるマスコミに怒りを抱いていた。それが国会へと足を向けさせた、と会見で本心を打ち明けた。
事実を報道しないマスコミを、本物の科学者なら痛いほどわかるのだ。それを知ってしまった。気付いて行動しない人間は屑である。沈黙することは人間として許されないだろう。そのことが、日本記者クラブに姿を見せた理由なのだと思いたい。
多くの国民は分かっているだろうか。筆者は知らなかった。放射性セシウムは広島原爆の20倍。しかも上空で爆発する核爆弾よりも、原発の放射能の方が「桁違いに大きい」のである。被曝への影響は大きい。さらにいうと、少量の被曝でも命に被害をもたらす。子供を守ろうとして除染に奔走する児玉さんなのだ。
子供や妊婦の将来を思えば、ずっと適切な対応をしてこなかったことから予想される地獄が瞼(まぶた)によぎるのかもしれない。手遅れによる被害者の無念を十分想定される。正直な医学者としていたたまれない日々だろう。
α(アルファー)、β(ベーター)、γ(ガンマー)さえ知らない筆者だが、彼はよく承知している。だから、いい加減な対応する政府や東電の過失に怒るのであろう。それに反省も謝罪もない。もしも、まともな対応をしていれば、被曝者の多くが明るい将来を夢見ることが出来たのだ。それがわかっているだけに、激しい怒りがこみ上げてくる。そう理解出来る。科学者として出来ることは、これ以上の被曝者を出してはならないのだ。そんな悲壮な思いが、南相馬市の除染と向き合っている児玉さんなのだった。
彼は何度も日本記者クラブ10階の会見場で悲痛な声を出した。それこそ喉から絞り出すようにして「これ以上、被害者を傷つける報道を止めてください」と叫んだ。マスコミは加害者なのだ。
筆者にも同じような思いに駆られることが、これまで何度もあった。過去を忘れようと必死で生きてきた軍国主義の被害者のことである。典型的事例は、彼ら被害者に向かって「南京大虐殺はなかった」などと公言したり、書いたりする右翼人士・加害者のことだ。
それは生傷に塩をすり込むことに相当する。過去に盲目な人間ほど、こうした間違いをする。加害者はそれに気付かないから始末が悪い。
余談だが、99年7月に日中間に「日本の遺棄化学兵器の廃棄に関する覚書」が交わされた。東京に設置されている「内閣府遺棄化学兵器処理担当室」が窓口という。処理装置を川崎重工と神戸製鋼が担当している。ABC企画NEWSによると、これまで600億円、今年度分にも219億円が投入されている。にもかかわらず。その成果について「何も説明されていない」、結果が出ていないという。日中双方で、事の真相を明らかにしないと、被害者の心を再び困惑させることになろう。
<嘘つき東大教授を痛罵>
彼はまた、連日のようにNHKの原発報道に登場していた同僚を容赦なく痛罵した。「(彼東大教授は)メルトダウンが起きていたのに、それをずっと否定していた」と吐き捨てるように断罪した。
今どうしているか。彼の謝罪はない。NHKが反省と謝罪したということを聞かない。恐らくは、彼が知る多くの幼児らの甲状腺がんが、無定見な政策の被害に遭って多発するかもしれない。それにどう向き合えばいいのか。科学者の良心的恐怖に、自ら震え上がっているのだろう。そのようにも感じた。
報道によると、政府はメルトダウンした廃炉の行程表の作成を東電に指示した。これは実に滑稽なことである。福島原発1,2号機はウラン燃料、3号機は東芝のプルトニウム加工燃料である。
これの廃炉は、世界で初めての経験である。その手法はわかっていない。そのための研究にどれだけの時間がかかるのか。誰もわからない。メルトダウンした溶解核物質の行方もわかっていない。
政府も東電もこのことを重々承知している。それでいて行程表を作成するのだという。「いい加減なものでも出せ」と政府は指示しているのだ。問題が発覚した時に関係者は、この世にいないかもしれない。無能・無責任は、以てかくのごとく、である。
どうしてイカサマの行程表を作成するのか。それは野田内閣が「原発の収束」を公約しているからである。官僚政治の恐怖でもあろう。専制・独裁国のレベルなのである。
ワシントンのポチは、APECハワイ会談に間に合わせるため、衆参国会議員の圧倒的多数が反対しているTPPに参加を表明する。反対派の対米自立派は、野田内閣打倒へと突き進む事になろう。
対米自立派の政権が誕生すると、少しはましな政権になろう。脱原発に拍車がかかることにもなろう。日米対等・CIAに屈しない政権が実現するかもしれない。まだ諦めてはならない。本物の政治家もいるのだから。
2011年11月10日13時25分記
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