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2011年10月17日(月)「しんぶん赤旗」
「税と社会保障の一体改革」正体見えた
年金・医療・介護…連続の改悪メニュー
年金は逃げ水のように遠ざかり、患者は負担増、介護と生活保護はサービスとりあげや打ち切り―。野田内閣が小泉政権時代を思わせる社会保障の改悪プランを立て続けに打ち出し、国民の不安と怒りが広がりつつあります。消費税を10%に上げて社会保障はズタズタにする「税と社会保障の一体改悪」の正体が早くもあらわになっています。
「自公政権」以上の削減
「どうなるの? 将来設計」「見直し案に悲鳴」。連日テレビでも波紋を広げているのが、年金支給開始年齢を68〜70歳まで先延ばしするとの厚労省の提案(11日)です。
支給年齢は段階的に60歳から65歳に引き上げられている最中です。8割以上の企業が60歳を定年とし、65歳までの「継続雇用」制度も希望者全員に適用されず限定されている中、無収入の人が出ると大問題になっています。さらなる支給先延ばしは老後の生活を破たんさせる「国家的詐欺」だとの批判が出ています。
政府は年金支給額を2・5%減らした上、少子高齢化の進展に応じて年金額を減らす「マクロ経済スライド」を物価下落時に発動することも検討中。毎年約0・9%減り、11年続けば年金額の約1割が消えます。
医療では外来患者に定額(当面は100円)の負担を新たに課す方針です。受診を減らして医療費を削る狙いを隠していません。複数の持病を抱える高齢者や慢性病患者など受診回数の多い人を狙い撃ちするもので、自公政権が検討して実行できなかった大改悪です。
介護では、自公政権が国費でつくった介護労働者の賃上げのための交付金すら廃止。賃金維持の財源は、保険料と利用料アップで国民に転嫁します。それでも財源が足りないと、利用者への不十分な給付をさらに削減する方向を打ち出す始末です。
雇用悪化で急増する生活保護を抑制するため、職業訓練欠席を口実に支給を打ち切るという生存権侵害も検討中。保育では公的責任を投げ捨てる「新システム」を進めます。
民主党政権は、自公政権以上の改悪で大幅な社会保障費削減をもくろんでいるのです。
反対署名、大規模集会も
民主党政権の社会保障改悪メニューに国民の怒りと反対の動きが広がりつつあります。
年金の支給開始年齢の繰り上げ案が社会保障審議会に示された11日以降、民主党国会議員の事務所には環太平洋連携協定(TPP)参加問題とあわせ抗議の電話が殺到しているといいます。
年金者組合は12日、「憲法29条の財産権を侵害し、25条の国民の生存権を脅かすもの」と批判し、政府が断念するまで運動を強めるとの談話を発表しました。
受診時定額負担をめぐっては、日本医師会など41の医療関連団体でつくる国民医療推進協議会が11日、「日本の医療を守るための国民運動」と題する反対署名活動をスタートさせました。「所得によって受けることのできる医療に格差をもたらすことになり、国民皆保険の崩壊につながる」と指摘し、導入阻止の運動を強力に展開すると表明しています。
保育を市場化する「子ども・子育て新システム」導入を阻止しようという動きも広がっています。11月3日には東京・日比谷公園で保育団体が大規模集会を予定。全国保育団体連絡会の実方伸子事務局長は「『新システム』反対の運動はこれからが正念場です。署名活動をはじめ自治体レベルで多くの人と連帯し絶対反対の声を大きく広げます」と語ります。
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