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シリア中部の都市 ハマにおける虐殺に関するビデオクリップ
http://www.youtube.com/watch?v=JgVdeAsiM0E
シリア治安部隊は、イスラムの断食月を前日に控えた7月31日早朝、シリア中部の都市 ハマに戦車と装甲車を伴って侵攻した。ラマダン(断食月)に入ると宗教心が高揚し、大勢が集まる集団礼拝から反政府デモに発展するため、これを事前に潰しておこうとしたものと見られる。ハマでは、1982年にアサド大統領の父ハフェズ・アサド政権が反政府イスラム勢力 ムスリム同胞団のデモを弾圧、市内全域に激しい砲撃を加え約3万人を殺害した経緯があり、反政府デモが活発な地域の1つだ。過去1カ月間、治安部隊が同市を包囲攻撃していた。7月22日にはハマで65万人が参加した反政府デモが行なわれている。
今回のシリアの民衆蜂起には宗派対立の側面がある。アサド一族は自ら属するアラウィ派など少数派から支持されているが、アラウィ派はシーア派の分派で、シリアの人口の約1割を占めるにすぎない。反政府運動は多数派のスンニ派が中心となっている。シリア第3の都市ホムスで7月16日から17日にかけて、アサド政権の打倒を訴えるシーア派の反体制派とアラウィ派の政権支持派が衝突し、少なくとも30人が死亡している。
3月中旬から始まったアサド政権の退陣を求める反政府運動で、これまでに少なくとも1500人が治安部隊によって殺害されているが、治安部隊側にも約400人の死者がでている。反政府勢力の一部は自衛のため武装しており、ハマでは市内各所で銃撃戦となったと見られる。その後、治安部隊は戦車による激しい砲撃を行ない、市内中心部まで進出した。市内各所で治安部隊が銃を構えているため、住民が脱出できない状況となっている。
今回の治安部隊のハマヘの侵攻では、1982年の大量虐殺の再現が懸念される事態となっている。こうした状況にもかかわらず、国際社会の反応は鈍いと言わざるを得ない。8月3日に国連安保理がシリア非難の議長声明を発表したが、アサド政権による弾圧への影響力は皆無である。高品質の石油を産出するリビアに対して取った態度と比較して余りにも生ぬるい。シリアも石油産出国ではある。
各国は駐シリア大使を召還させること。シリアに対する武器禁輸を含む経済制裁を実施すること。国連安保理はアサド大統領を人道に対する罪で国際刑事裁判所に調査を委託すること。アサド政権の住民弾圧を止めさせるため、国際社会は以上の処置を迅速に実行すべきだ。
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