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2011年8月 4日 (木)
ドル買い外為介入を賞賛できない重大な理由
政府による巨額外貨準備の放置は、2007年6月から2011年8月までの4年余りの時間だけで、数十兆円規模の為替損失を生み出している。財政再建論議が盛んで、政府、財務省、マスゴミが揃って増税論議を盛り立てようとしているが、財政論議を真剣に行うなら、その前に政府の財テク損失であるこの巨額の為替損失について論じることが不可欠である。
下記のグラフは日本の外貨準備残高の推移を示している。外貨準備残高が激増したのは、小泉竹中時代である。2002年10月末残高4607.3億ドルが、2004年3月末に8265.8億ドルに激増した。この期間の残高の増加は3658.5億ドルである。
為替レートはこの期間、1ドル=124円から104円で推移した。平均値の1ドル=114円で計算すると、この期間の外貨準備増加のために投下した円資金金額は41.7兆円になる。
この期間がどのような時期であったかと言えば、一言で表現すると、竹中平蔵氏主導による日本の資産価格暴落期であった。竹中平蔵氏は2002年9月末の内閣改造で金融相を兼務することになった。竹中氏は金融相に就任するとすぐに、「大銀行だからといってつぶさないわけではない」との見解を公表し、この発言をきっかけに日本株価が暴落した。
日経平均株価は2003年4月28日に7607円にまで暴落した。このとき、俎上に載せられたのは「りそな銀行」である。竹中金融行政は「りそな銀行」を破綻処理すると思われたが、最後の局面で、預金保険法102条の第1号規定を活用して、りそな銀行を破たん処理せずに、公的資金で救済した。いわゆる「りそな疑惑」の核心部分だ。
破たん処理でなく公的資金による救済の着地になったため、株価は猛烈に反発上昇していった。この期間に日本政府は米国国債を42兆円も購入したのだ。
この42兆円は米国国債を保有していた米国の金融機関の懐に転がり込んだ。竹中金融行政は「銀行をつぶす」という「風説を流布」し、株価暴落を誘導するという「株価操縦」を行い、最終的にりそな銀行を救済処理するとの情報を米国金融資本に流して、日本株式を暴落値で買い集めさせて、その後の株価反発局面で巨大利益を獲得させた「インサイダー取引」に関与した疑いが持たれているのである。
日本の投資家は、「大銀行倒産も辞さぬ」という金融相発言を重く受け止めて、株式や不動産を暴落価格で投げ売りした。金融恐慌が発生すれば、株価や不動産価格は暴落値以下にさらに暴落すると考えられたからだ。
この時期に積極的に日本の株式、不動産を購入した勢力が存在する。米国を中心とする外国資本勢力だ。彼らは、竹中金融相から、大銀行倒産情報で資産価格の暴落が誘導されているが、最終的には銀行を公的資金で救済して問題を処理するとの方針を事前に知らされていた可能性が高いと思われる。
そうでなければ、金融恐慌が発生するリスクが高まる時期における、資産を積極的に買い集める行動を説明することはできない。
この問題は現在も真相が完全には解明されていない問題であるが、巨大不正=売国行為が実行された疑いは払拭できず、今後、必ず真相を解明しなければならない問題である。
話を本題に戻すが、日本政府はこの期間に平均コスト1ドル=114円で米ドルを41兆円購入した。為替のチャートを見ると、その後、円ドルレートは1ドル=124円まで反発した。この反発した局面で購入したドルは売却しなければならないのだ。
米国では為替介入に対して、議会が厳しい監視の目を光らせている。為替介入で損失を計上すれば、政府は議会から強い非難を受けるのである。為替損失は国民負担になるから、国民の負託を受けた議員は、国会で政府を追及するのだ。
ところが、日本政府はドル上昇局面でもドル資産を売る気配すら示さなかった。
2007年6月末の外貨準備残高は9136億ドルだった。これが、2011年6月末に1兆1378億ドルにまで増加した。この期間の増加は2242億ドルである。
円ドルレートは2007年6月の1ドル=124円から2011年6月の1ドル=80円まで円高・ドル安で推移した。ドル購入の平均コストを仮に102円としておこう。2242億ドルのドル購入代金は22.9兆円になる。
2007年6月末の9136億ドルの当時の円換算金額113.3兆円とこのドル購入代金を合計すると136.2兆円になる。他方、2011年6月末の外貨準備残高を1ドル=80円で換算すると、91.0兆円になる。両者の差額は45.2兆円だ。この4年間に45.2兆円の為替損失を生んだことになる。
会社が経営危機に瀕して、必死で経費削減、減量経営を実施しているときに、財務部だけが財テクに暴走し、史上空前の大損失を計上しているのである。
国会は2兆円や6兆円の補正予算を審議して、数千億円の高速道路料金無料化、子ども手当、高校授業料無償化、農家の個別所得補償などを論じているが、なぜ4年間で45兆円もの損失を計上している外貨準備資産の巨大損失を論議しないのか。
為替介入権は財務大臣にある。円高・ドル安が秩序なく進行する局面で、為替介入を行うことは、一定の制約のなかで許容はされる。しかし、政府が購入したドルは、ドルが上昇した局面で密かに売却することが求められるのだ。
円高を抑制することは輸出産業の利益にはなる。しかし、この介入で損失が生まれれば、その負担は国民が負うことになる。つまり、外為介入は現在の図式では、一般納税者から輸出産業への所得移転をもたらすものなのだ。一般国民から徴収した税金を輸出産業に対する補助金として支出することに等しいのだ。
ファンダメンタルズから外れた為替レートを是正するなら為替介入は意味があるが、ファンダメンタルズに見合う為替変動を介入で阻止しようとしても無理である。介入は一時的な効果しかなく、為替損失を生み出すことで弊害の方がはるかに大きい。
2002年から2004年にかけての不自然で巨額のドル買い介入の真相を明らかにすること。2007年から2011年までの4年間に45兆円もの為替損失を生み出したことについての責任追及がしっかりと行われなければならない。
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