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THE NEWS − 自由報道協会
http://fpaj.jp/news/archives/4795
関東全域で健康被害広がる〜500件の異変報告から
<白石草>
福島第一原発事故から4ヶ月。今、福島県や関東全域で、体調の異変を訴える人が増えている。鼻血や下痢、倦怠感ー。OurPlanetTVに寄せられた550件の異変報告を集計すると、子どもに限らず幅広い年代で、普段は見られない症状が出ており、放射能による影響が高いことが明らかとなった。
寄せられた様々な体の異変
今回集計したのは、6月18日から6月30日までに寄せられた550件を集計したもの。健康に不調を訴えている人は0歳から87歳までと幅広く、平均年齢は30.47歳だった。
寄せられた症状の上位を見ると、1位は喉の不調で172件と体調不良を感じた人の3割がこの症状を訴えていた。また、2位の鼻血は106件で2割に上る。しかも、単なる鼻血ではなく、「夜中に鼻血が突然出て止まらない」「ここ何年も鼻血など出したことがなく、ぶつけたわけでもないのに突然鼻血が出た」など、深刻な報告が少なくない。このほか、3位の下痢が97件、4位の倦怠感 が83件、5位の咳が61件。以下、鼻の痛み・鼻水ー50件、頭痛 ー42件、目の腫れー39件と続く。
寄せられた内容には「普段は便秘がちなのに下痢が続いた」「喉のイガイガがずっと続いている」など、原因がわからない症状を訴える人が多く、病院に行って検査を受けた人のほぼ全てが、特に異常がないと言われている。
また、アトピーなどのアレルギーの悪化や完治していた病気などの再発、生理の不調、ほくろや紫斑ができるなど、ストレスなどとは到底無関係の症状も多数報告されている。この他、放射能との関連はわからないとしながらも、福島県内の2人の女性から、安定期に流産した、出産直前に死産したなど、胎児に関する報告があった。
アンケートの結果を大別すると、鼻血、喉の不調、咳、鼻の痛み・鼻水などの「粘膜系の異変」と下痢、倦怠感、頭痛などの「免疫力の低下のよる異変」の二つに分けられる。長年、チェルノブイリの子どもたちの保養運動に取り組んできた「チェルノブイリのかけはし」代表の野呂美加さんによると講演会などで母親から質問される子ども達の症状も同様のものが多く、チェルノブイリで汚染された食べ物を食べている子供たちの症状ともそっくりだと話す。
チェルノブイリの子ども達が抱える免疫力の低下
野呂さんが活動の拠点として来たベラルーシでは現在、健康な子どもが少なく、100人中98人が何らかの健康障害をもっていると言われているという。子ども達はひとたび免疫力が低下すると大きな病気に発展する虚弱な状態で、長時間の授業にも耐えられないため、授業時間を45分から25分に短縮している場合もある。
野呂さんは「放射能の影響というと、がんや白血病ばかりがクローズアップされるが、それはあくまでも頂点であって、その下には、様々な病気や健康を害している人がいる」と指摘。チェルノブイリでは、子どもたちは”病気の花束”を抱いていると言われ、今回のアンケートでも寄せられた「疲れやすい」「アレルギー症状の悪化」「目が腫れる」などといった症状の子どもは非常に多いという。
日本では、事故後、鼻血などの症状に対して、多くの医師や研究者が、放射線とは関係ないと因果関係を否定してきた。しかし、2009年にニューヨーク科学アカデミーから発表された報告書『チェルノブイリ――大惨事が人びとと環境におよぼした影響』(Chernobyl: Consequences of the Catastrophe for People and the Environment)の執筆者の一人であるロシアの科学者アレクセイ・ヤブロコフ博士は「鼻血とリンパ腺の腫れは相当程度の被ばくをした兆候である」と警告する。
また、北海道がんセンターの院長、西尾正道医師も「これだけ沢山の人が同じ症状を訴えているのであれば、新たな低線量被ばくの臨床症状として医者も認識する必要があるのではないか。」と新しい対応をする必要性を訴える。
更に、『内部被ばくの脅威』(ちくま書店)の著書があり、原爆の低量被ばくに関して発言してきた肥田舜太郎医師は、鼻血や下痢は、低量被ばくの最初の症状だとした上で、この症状が必ずしもいつまでも続くのではなく、次第に「ぶらぶら病」と呼ばれる疲れやすい症状がでるようになる。すると、「なまけている」「さぼっている」などと勘違いされ、非常に苦しい状況に追い込まれるケースが少なくないと指摘する。
地域でみる放射性物質の影響
ところで、喉の不調や鼻血、下痢といった健康上の不調を訴える人は、どの地域に分布しているのだろうか。放射性物質との関連性を推測するために、地域別に集計してみたところ、一番報告が多かった場所は東京都の166件 、次に神奈川県の46件、3番目に千葉の36件と続いた。以下、福島県と埼玉県が33件、茨城県が13件、宮城県が10件となる。
ただ、東京都は人口が1200万人を超すため、人口200万人の福島県などと数だけで比較することはできない。そこで、人口比率で比較してみたところ、1位は福島となり、2位が東京、3位は千葉という結果となった。インターネットの普及率や各県からのOurPlanetTVへのアクセス数などに一定の誤差はあるだろうが、放射性物質の拡散と体調の異変は、一定程度リンクしていると言わざるを得ない結果を得た。
野呂さんは、チェルノブイリの場合、福島市などの高い線量の地域には人は住んでいなかった。なるべく線量の低い地域に移動すべきとした上で、記録を残すためにも、健康状態に不安がある場合は、必ず医者に見てもらうべきだという。今後、健康障害はますまる広がる可能性があり、広範な地域を対象とした、詳細な疫学調査を行う必要がある。
チェルノブイリのかけはし
http://www.kakehashi.or.jp/
チェルノブイリ実態リポート翻訳プロジェクト
http://chernobyl25.blogspot.com/
環境クローズアップ「チェルノブイリ: 百万人の犠牲者」
http://www.universalsubtitles.org/en/videos/zzyKyq4iiV3r/
肥田舜太郎講演「内部被ばくのもたらすもの」
http://www.ustream.tv/recorded/16024835
311以降の異変をご報告ください。
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1118
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潜艦トマトのコメント:
わたしも鼻血問題などで、もしも放射能関連なら、首都圏でよりも福島に近い地域から先に問題になりそうだとも考えたことがあったのですが、次の指摘は重要です。
>東京都は人口が1200万人を超すため、人口200万人の福島県などと数だけで比較することはできない。そこで、人口比率で比較してみたところ、1位は福島となり、2位が東京、3位は千葉という結果となった。
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