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民主党政権が官僚を使いこなせない“歴史的理由”
Diamond online 上久保誠人のクリティカル・アナリティクス【第15回】2011年8月3日
上久保誠人 [立命館大学政策科学部准教授]
「マニフェスト」で公約した政策の多くが実現しないことや、東日本大震災・原発事故対応の混乱によって、民主党政権の「政治主導」に対する批判が厳しさを増している。だが、これらの批判は、50年以上も自民党長期政権が続いたという、他の議会制民主主義国にない日本独特の状況を考慮していない。
■自民党長期政権下における「政官関係」の特殊性
多くの人が考える政治家と官僚の関係(政官関係)の理想的なあり方は以下の通りだろう。政治家が国民の生活や国の重要な課題に対して、政策の大きな方向性を示す。一方、官僚は専門知識を駆使して緻密な情報収集・分析を行い、具体的な政策を立案して政治家に提示する。そして、政治家は総合的に判断して政策を決定する、というものだ。
このような政官関係のあり方は、英国やドイツなど欧州の議会制民主主義国で一般的に見られるものだ。これらの国々では、一定の期間に政権交代が繰り返されるが、保守政党(英保守党や独CDUなど)と社会民主政党(英労働党や独SPDなど)という政策志向の異なる政党間で政権交代が起こっても、官僚はその時の与党の政策志向に合わせて柔軟に対応している。例えば、英国のキャメロン政権は、発足直後から大胆な財政再建策を打ち出したが、官僚組織をしっかり掌握できていた。
それが可能なのは、官僚が与党政治家と接触する際、一定の距離感を保とうとしているからだ。なぜなら、官僚が与党と緊密な関係を持ちすぎると、政権交代が起こった時、新しい与党によって役職から追われる可能性がある。新しい与党の下でも、役職を維持していくには、常に与野党から中立なスタンスを保つ必要があるからだ。
一方、日本の自民党長期政権下では、官僚は与党・自民党と一体化して政策立案を行ってきた。そこでは、次第に利益誘導を求める業界や学会が絡むようになった。自民党・官僚・業界・学会(政官業学)のネットワークは強固になり、既得権益が生じた。政策立案の目的は、社会の課題解決のためではなく、既得権を死守するためのものになった。経済・社会のグローバル化に対応する改革の試みは、政官業学のネットワークによってことごとく骨抜きにされ、日本は「失われた20年」に陥った。
また、原発事故でその存在を知られるようになった政治家・経産省・電力会社・御用学者の「原子力村」も、このネットワークの1つである。これは、欧州の議会制民主主義国にはない、特殊なものである。
■既得権打破を掲げた民主党政権が官僚を使えないのは当然だ
民主党政権が官僚を使いこなせないのは、民主党議員の資質の問題以上に、民主党政権と政官業学ネットワークの既得権の関係性の問題が大きい。
民主党は、少なくとも政権獲得までは、自民党政権下の社会制度で既得権を持つ人と持たない人がいること自体を問題視し、それを変えて、より公平で透明性のある社会を構築することが「改革」だと考えていた。だから「子ども手当」「高速道路無料化」など民主党の政策は、自民党の既得権とは全く相入れないものだった。
また、民主党の長年の主張であった「年金制度の一元化」も、現行制度に存在している不公平をなくすことが目的だ。これは、現行制度の維持が前提で、給付と負担の関係を変えようとする自民党・厚労省の方針と全く異なる考え方によるものだった。
自民党政権では、「道路公団民営化」「三位一体改革」「郵政民営化」などの小泉構造改革でさえ、「現行制度が財政的に維持できるかどうか」が改革のポイントだった。「道路公団民営化」は、道路建設が財政的に可能であるかが重要であり、採算さえ取れれば高速道路は作ってもよく、天下りやゼネコンの既得権益が残っても問題なかった。「郵政民営化」も、財政赤字垂れ流しの根源が郵貯・簡保資金を原資とした財政投融資にあったという問題意識から始まったものだ。つまり、その制度が「財政的に持たないから」改革をするという自民党の考え方の延長線上にあるものだった。
要するに、民主党は「現行制度が財政的自維持できるか」という、自民党の考え方を超えた改革志向を持っていた。官僚にとってみれば自民党政権下の政官業学ネットワークの枠外から、彼らの既得権を打破しようとした危険な存在だったといえる。官僚は民主党政権を警戒し、彼らの言うことを聞くわけがなかったのだ。
民主党自身、官僚を使いこなせないこと自体を理解はしていた。だから、「政務三役」へ省庁の意思決定権の集中や、内閣府の「経済財政諮問会議」や各省庁の審議会の議論を停止するなどの試みによって、「政治主導」を実現しようとした。だが、それは「政務三役」の過重労働を招き、内閣の総合調整機能が失われ、省庁の「議題設定」機能さえも失われた。民主党政権は官僚を使いこなせなかっただけでなく、官僚組織そのものを機能不全に陥らせた。
■既得権と戦うためには、官邸機能強化だけでは不十分
「原子力村」への批判の高まりが示すように、現状の意思決定システムを守るだけでは多くの国民は納得できないだろう。日本が多様な意見を反映する民主主義国であるならば、政官業学ネットワークの政策への代替案を作成する政策立案プロセスを構築する必要がある。こういう場合、一般的によく主張されるのが、従来の「経済財政諮問会議」のような、内閣に官僚的セクショナリズムを超えた政治主導の機能を設けることだ。ただ、この官邸機能強化も、それだけでは日本ではうまく機能しない可能性が高い。
典型的な例は「お友達内閣」と呼ばれた安倍晋三内閣だ。塩崎恭久官房長官など、安倍首相に近い世代の政治家が閣僚、補佐官として大量に起用され、安倍シンパの官僚も官邸に集められた一方で、財務省に近い政治家はことごとく閣外に置かれた。
しかし、「お友達」を内閣に集めた半面、党や省庁の要職にシンパを配置できなかった安倍内閣は、族議員と省庁をコントロールできず、それが、安倍内閣の崩壊を早めた。官邸機能強化だけでは、政官業学のネットワークを抑えられなかったのだ。
■「天皇陛下の野党」をつくる衆参両院の政策立案機能を生かせ
そこで、首相官邸機能強化とは別の案を提示したい。それは「衆議院、参議院、国会図書館等の立法府の立法・調査スタッフを増員し、それを野党が優先的に使えるようにする」という国会改革だ。その目的は、野党の政策立案機能を強化することである。また、立法府にも各省庁の審議会のような会議を設置し、各省庁の御用学者と異なる政策志向をもつ学者や有識者を招集できるようにする。
そして、政権交代を実現すれば、即座に御用学者と入れ替わって省庁の「議題設定権」を押さえられるようにする。つまり、野党に政権交代のための十分な準備をさせるためであり、政権交代時に、政官業学ネットワークの既得権の維持だけではない、多様な政策志向を政府の意思決定に取り入れられるようにするためだ。
立法府の政策立案機能を野党が優先的に使えるというのは、一見荒唐無稽な考えだと思うかもしれない。しかし、英国の政治には「Her Majesty's Opposition(女王陛下の野党)」という言葉がある。英国では、民主主義の議会における野党の重要性を認識し、野党がきちんと議会に存在するよう政府がサポートしている。
具体的には、『政党助成金』を野党だけが受け取ることが出来る制度が確立されている。与党は官僚組織を自由に使えるのだから助成金を渡す必要はない。逆に、野党は官僚組織なしで立法活動をしなければならないから、それを助成する資金を政府が提供する、という考え方なのだ。
ならば日本では、与党は政策立案に官僚組織を使えるのだから、立法府の政策立案機能は野党が優先的に使えるようにする。そこで政権担当能力を磨ける環境を整えたらどうだろうか。いわば、「天皇陛下の野党」を作るのだ。
もちろん、これは議院内閣制の理想的な形ではない。ただ、「約50年も1つの政党が政権を担当してきた」という特殊な状況により、政権交代の効果を発揮できない現状を打破するための過渡期的な改革案として、検討の余地があるものだと考える。
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◆民主党大会 小沢氏演説=この理念に沿った政治をこの国が渇望しないはずがない2010-09-15 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
民主党代表選に於ける小沢一郎氏演説
〈前段略〉
さて、今回の立候補にあたっては、今日の危機的な政治経済事情の中で、果たして自分にその資質があるだろうか、政治の最高責任者として国民の生活を守るというその責任を果たすことができるだろうか、と本当に悩み、自問自答いたしました。それにもかかわらず立候補を決意をしたのは、今、政治を変えなければもう間に合わないという、私の切実な思いを正々堂々、世に問いかけたかったからであります。
思い起こせば、私は27歳で衆議院議員に初めて立候補した際、選挙公報にこうつづりました。「このままでは日本の行く末は暗澹たるものになる。こうした弊害をなくすため、まず官僚政治を打破し、政策決定を政治家の手に取り戻さなければならない」と。意志なき政治の行き着く先には国の滅亡しかありません。日本は敗戦を経て本質は変わっていないのではないか。若かりしころの、感じたその思いは初当選以来、いまなお変わっておりません。
今日、わが国はデフレによる経済の収縮、少子高齢化の既存の社会制度のギャップによる不安など、経済も社会も危機的な状況に陥っております。
世界で最も層が厚かった中間所得層が解体され、ごく少数の富裕層と数多くの低所得層への分化が急速に進んでおります。日本が誇った社会保障制度も崩れつつある中、2年後には団塊の世代が年金受給者となる日を迎えます。
今、日本は、最も大事にされなければならないお年寄りがいなくなっても誰も気づかず、また、就職できない多くの若者が絶望感にさいなまされ、若い親が育児を放棄しわが子を虐待する。もはや高度成長がいろいろな問題を覆い隠してくれた時期はとうに過ぎ去って、社会の仕組みそのものが壊れています。そしてまた、日本人の精神風土も興廃し始めていると思います。
今、ここで政治を見直し、行政を見直し、国のあり方を見直さなければ、もう日本を立て直すことができないのではないかと思います。多くの国民の皆さんも同じように感じていたのだと思います。昨年、われわれ民主党に一縷の思いを託し、政権交代を実現させていただきました。しかしもう1年が過ぎ、残された任期はあと3年であります。
私たちは今、直ちにこの3年間を国の集中治療期間と位置づけ、徹底した改革を断行し、実行していかなければなりません。しかしその改革は明治維新以来140年続く官僚主導の政治を、根っこから国民主導、政治主導に変えなければとても成し遂げられるものではありません。私の頭の中を占めているのはその思いなのであります。
しかし、私は官僚無用論を言っているわけではありません。日本の官僚機構は世界に冠たる人材の集まっているところであると考えております。問題は政治家がその官僚をスタッフとして使いこなし、政治家が自分の責任で政策の決定と執行の責任を負えるかどうかということであります。
私は40代でたまたま国務大臣、自民党幹事長に就任するという機会があり、国家はどう運営されているのか、その実態を権力の中枢でつぶさに見続けて参りました。そこで見た官僚主導の、例えば予算作りでは、各省のシェアが十年一日のごとくほとんど変わることがありませんでした。官僚組織というのはそういうものであります。
その中で私は、自民党の中にいながらこの改革は無理であることを骨身に染みて分かりました。だからこそ、政権与党である自民党を飛び出して、真にしがらみのない政党を作り、政権を変えるしかないという決意をもってこの17年間、政治活動を続けて参りました。
改めて申しあげます。昨年、政権交代が実現したのは、こんな日本を何とか変えてくれ、という国民の悲痛なまでの叫びからだったはずであります。この声に応えようと、菅総理大臣始め閣僚の皆さんが一生懸命に取り組んでおられることを否定をするものではありません。
しかし、政治と行政の無駄を徹底的に省き、そこから絞り出した財源を国民の生活に返すという、去年の衆院選挙マニフェストの理念はだんだん隅においやられつつあるのではないでしょうか。実際に来年度の予算編成は、概算要求で一律10%カット。これではこれまでの自民党中心の政権と変わりません。財政規律を重視するという、そういうことは大事なことではありますけれども、要は官僚の抵抗で無駄を削減できず、結局マニフェストを転換して国民に負担をお願いするだけではないでしょうか。これでは本当の意味で国民の生活は変わりません。
私には夢があります。役所が企画した、まるで金太郎あめのような町ではなく、(※)地域の特色にあった町作りの中で、お年寄りも小さな子供たちも近所の人も、お互いがきずなで結ばれて助け合う社会。青空や広い海、野山に囲まれた田園と大勢の人たちが集う都市が調和を保ち、どこでも一家だんらんの姿が見られる日本。その一方で個人個人が自らの意見を持ち、諸外国とも堂々と渡り合う自立した国家日本。そのような日本に作り直したいというのが、私の夢であります。
日本人は千年以上前から共生の知恵として、和の文化を築きました。われわれには共生の理念と政策を世界に発信できる能力と資格が十分にあります。誰にもチャンスとぬくもりがある、豊かな日本を作るために、自立した国民から選ばれた自立した政治家が自らの見識と自らの責任で政策を決定し実行に移さなければなりません。
そして、霞ヶ関で集中している権限と財源を地方に解き放ち、国民の手に取り戻さなければなりません。そのため、国のひも付き補助金を順次すべて地方への一括交付金に改めます。これにより、地方では自主的な町作りやインフラ整備が可能になります。国、地方を通じた大きな節約効果と、そして地域経済の活性化が期待できます。また、地域での雇用が生み出され、若者がふるさとに帰り、仕事に就くこともできるようになります。
国民の皆さんにご負担をお願いするのは、ここにいる皆さんがありとあらゆる知恵を絞って、できることすべてに取り組んでからでいいはずであります。そしてそれが、昨年の総選挙で民主党と国民との約束でなかったでしょうか。
衆議院の解散総選挙はこうした改革に与えられた任期を費やして、その結果を出してからのことであります。官僚支配の140年のうち、40年間、私は衆院議員として戦い抜いてきました。そしてようやく官僚機構と対立できる政権の誕生にかかわることができました。われわれは国民の生活が第一の政治の幕開けにやっとこぎつけたのであります。
官僚依存の政治に逆戻りさせるわけにはいきません。それはとりもなおさず、政治の歴史を20世紀に後戻りさせることになるからであります。私は代表になってもできないことはできないと正直に言うつもりであります。しかし、約束したことは必ず守ります。
こう断言できるのは官僚の壁を突破して、国民の生活が第一の政治を実行するのは、最後は政治家の志であり、改革のきずなで結ばれている皆さんとなら、長い時代の壁を突破できると信じるからであります。そして私自身は、民主党の代表すなわち国の最終責任者として、すべての責任を取る覚悟があります。
今回の選挙の結果は私にはわかりません。皆さんにこうして訴えるのも、私にとっては最後の機会になるかもしれません。従って最後にもう一つだけ付け加えさせてください。
明治維新の偉業を達成するまでに多くの志を持った人たちの命が失われました。また、わが民主党においても、昨年の政権交代をみることなく、志半ばで亡くなった同志もおります。このことに思いをはせるとき、私は自らの政治生命の総決算として最後のご奉公をする決意であります。そして同志の皆さんとともに、日本を官僚の国から国民の国へ立て直し、次の世代に松明を引き継ぎたいと思います。
そのために私は政治生命はおろか、自らの一命をかけて全力で頑張る決意であります。皆さんのご指示、ご理解をお願いいたしまして、私のごあいさつといたします。ありがとうございました。
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◆陸山会事件:午後判決/勝栄二郎 法務官僚と裁判官を使って小沢一郎を抑えつけ、財務省は好き放題やった2011-09-26
副島隆彦の学問道場
「1243」 野田佳彦が首相に決まったが、これは勝栄二郎の財務省が操(あやつ)る傀儡(かいらい)政権である。 副島隆彦 2011.8.30
副島隆彦です。 今日は 2011年8月30日 午前4時です。
昨日、野田佳彦(のだよしひこ)が、昨日29日に民主党の代表選挙に勝ち、今日30日、衆議院での首班指名の投票で新首相に就任する。
昨日の 代表選の 結果を見ていて、私が考えたことは、勝栄二郎(かつえいじろう)財務次官(官僚のトップ)と、岡田克也幹事長がふたりで深く仕組んだな、ということだった。
日本財務省は増税路線である。復興途中にある日本国の厳しい現状を知りながら、それでもなおアメリカ様に貢ぐ資金を作り出すために、日本国民に 復興税やら消費税の値上げやらの 増税を強制しようとする。 苛斂誅求(かれんちゅうきゅう)そのものだ。
苛政(かせい、重税のこと)は虎よりも猛(たけ)し、のとおりだ。
財務省が深く仕組んだな。今回の、たった一週間の日程で慌ただしく決めて実行した民主党代表選による首相の首の挿(す)げ替え劇だった。誰もこのシナリオの裏の仕掛けを語ろうとしない。 岡田幹事長が日程の決定には権限を持っている。野田佳彦は、この勝栄二郎・事務次官のことを「勝さん、勝さん」と呼び、自分の上司であるかのように仕え、そして育てられてきた。私は、この事実を10年前( 加藤紘一が失脚した「加藤の乱」の時)からずっと知っていた。
日本の財務省のドンは15年前からずっと、武藤敏郎(むとうとしろう)と坂篤郎(さかあつお)の3人である。この3人が、アメリカの威光と意向を受けながら、ずっと日本管理の最高権力を握り、今に至る。 この大きな一点の事実を軽視して、ここを日本政治の中心と見ないで、他のことにすり替えたら、すべては嘘の話になる。
国家のお金の全体の 動かし方のすべてを実質で握る者(たち)が、そのまま国家の最高権力者である。だから、今の日本の最高権力者はこの勝栄二郎(かつえいじろう)である。早ばやと3年目の事務次官居座りを自分で決めた。
小沢一郎の勢力が鳩山由紀夫の派閥を足して(これが半分に割れているようだ)、ようやく177人の民主党国会議員であった。本当は、これ以外に、今年初めに菅直人への反抗を示して除名された16人の比例区選出議員たちと、6月2日の菅直人への内閣不信任案(自民党が提出した)に同調の雰囲気で投票欠席をした、小沢一郎ら9人が、党員資格停止で、代表選での投票を阻止されているので、この25票を合わせると、202票である。
これに対して野田佳彦は215票を取った。前回の昨年9月の代表選挙では、菅直人が206票で、小沢一郎が200票だった。 この伯仲は、よく吟味され、計算されていた。 鹿野道彦(かのみちひこ)と 馬渕澄夫(まぶちすみお)の 計70票が決戦投票で野田に回るように綿密に周到に計算されていたことが分かる。
馬渕の海江田への投票をNHKが直前で撹乱した。NHKはここまで謀略集団にまで転落している。私たちが強く支持する 小沢一郎の考えの中心は、官僚・メディア・財界の、アメリカの手先3者連合に対して、何があっても今の民主党体制を守って、自分が育てて当選させた306人のうちの若い衆議院議員たちに、一日でも多く政治家経験を積ませて、年収3千万円弱の歳費を貰(もら)わせ続けることだ。だからあと2年間はこのまま民主党政権を続けさせて、解散・総選挙をさせないことだ。若い政治家たちにどうせ穢い現実政治のあれこれの処理の仕方を身につけさせることが大事である。
不断の不屈の小沢革命の実行で、最後に残されている果実(フルーツ)は、この多くの未だ未熟の、経験の少ない若い政治家たちに厳しい実地での経験を積ませることだ。だから、自分が政治家(国会議員)として生き残るために小沢一郎から離れて、態度を翻して、きたない政治資金を裏からもらうことまでしても、それも実際に一人の政治家が育ってゆくうえでの 不可避の過程だ、と考えなければ済まない。
一体、日本の歴代政治家で、200人もの若い政治家を、弟子として育て、そして実際に国会に議員として送った者がいるか。他の大物政治家たちは、自分のことだけで精一杯だ。たったのひとりの子分も、弟子も育てられないで、自分の保身だけに窮窮してそして引退していったではないか。
人をたくさん育てたことが(たとえ粗製濫造であろうとも) 小沢一郎の最大の功績であり、小沢一郎の偉さだ。このことを指摘する者が今もほとんどいない。小沢国民革命は、人材の育成の点に本当の眼目がある。だからたとえ一回、一回の闘いで敗れても、民族独立への堅い志(こころざし)を同じくする人間たちが勢力として残る限り、不屈に日本国民の闘いはこれからもずっと続くのである。
自民党政権時代は、新首相になる者からの ご祝儀は、賛成議員にひとり一億円と決まっていた。それは外国経由で派閥ごとに配られて、これには警察も裁判所も手を出さないことに不文律として決まっていた。 小沢一郎はこの日本国の悪習、悪弊を破壊した。今も根絶しようとしている。だから小沢は嫌われる。
今の小沢派の政治家たちは、だから汚れていない。貧乏に耐えながら生きている。おそらく財務官僚の側に寝返った者たちは、今回、ひとり5千万円ずつを貰(もら)ったはずである。 金(かね)で票は買えるのだ。人間は本当に金(かね)で動く。そのことを勝栄二郎たち財務官僚はよくよく知っている。
アメリカの次の大統領は、ジョゼフ・バイデンで決まりだ。現在の副大統領のバイデンが、この8月19日に、中国の次の国家主席(大統領のこと)となる習近平(しゅうきんぺい、シーチンピン)と二人で親密に、 G2(ジー・ツー。Group2 アメリカと中国の二大国)で「私たち二人で、これからの世界を動かして行こうぜ」と 言った。
このときに、バイデンが次の米大統領だというお披露目(ひろめ)が世界に向かってなされたのである。
おそらく来年の3月には、バラク・オバマは、“オバマ・ショック”と後世、呼ばれるであろう、ニクソン・ショック(ドル・ショック。1971年8月15日)の41年目の再来である、「米ドルは、もう金(きん)との兌換(だかん)は出来ません。しません」の 宣言をして、体調不良か何かを理由に辞任してゆくだろう。
そして次の大統領選挙は、11月の本選挙に向けて、バイデンが、おそらくヒラリーをランニング・メイトの副大統領候補にして当選し、そしてその次に・・・・となるだろう。
バイデンという肝の座った、何ものにも動じない、どんな借金地獄のアメリカ経済・財政のボロボロの現状にもめげないで対処しようとする人間が、一切の綺麗事(きれいごと)を言わず、「オレがやる」と言って、外交だけでなく(長年、米上院の外交委員長をやった。通勤電車で出身のデラウエア州から通った)労働組合の幹部上がりの泥くさい政治家だ。
外交だけでなく金融・財政の危機への対処も自分がやる、と言っている。
バイデンは、 CFR(シー・エフ・アール、米外交問題評議会)派である。だから、ネオコン派と近い、手荒な、属国群への謀略政治も辞さない、リチャード・アーミテージやマイケル・グリーンに「犯罪者的な外交手法は、やめよ」と言っている。だから、アーミテージとグリーンが育てた愚か者の前原誠司では、アメリカとしても承認することはないのだ。
前原は、昨年2010年9月7日の、尖閣諸島沖での、日本の海上保安庁の船4隻で、中国漁船の1隻を挟み撃ちにして拿捕(だほ)した事件を、外相として行って、それで今も前原には中国が激怒している。日中の外交協定(秘密条約)で、「境界不確定海域では、それぞれの国の漁船はそれぞれの海上警察が取り締まる」としてあったのを、アーミテージらの指令で、日中を険悪にするために、前原の権限でやらせた。
だから中国は前原の首相成りは絶対に呑まないし、許さない。このことでアメリカに激しく抗議する。 日本の首相を誰にするかの実質的な決定権は、今もアメリカ帝国にある。だから、中国の顔を窺わないでは、アメリカは世界管理、世界運営は出来なくなっているので、アメリカは中国の言い分を聞かざるをえない。だから前原の線ははじめから無かったのだ。
習近平も 温家宝もバイデンに、激しく「アメリカの財政と金融をきちんとしろ」と迫ったようだ。バイデンは、" Chinese are aggressive . " 「中国人はキツイことを言う」と辟易(へきえき)したようだ。
バイデンにしてみれば、日本の財務省が、バカの野田を操って、これからも「円高阻止の介入」をやらせて、何度でも、これからも一回当たり3兆円(200億ドル)分ぐらいずつ、ボロボロの米国債を買い続けてくれるなら、こんなに嬉しいことはない。
習近平の属する上海閥(幇、パン)=太子党(タイヅータン)=石油党の勢力も米国債をまだ買い続けることで、アメリカを支えると約束してくれた。このことがバイデンの最大の外交業績だ。 そのために中国に行ったのだ。バイデンは、泥くさい現実政治家だから、「お金のことがなによりも大事。累積した(50兆ドルぐらいある。4千兆円)アメリカの国家の借金の問題こそは一番大事」と分かっている。
日本は、こうやって今年も来年も、大きく崩れ始めたアメリカ帝国の「地獄への道連れ経済」を強いられる。それでも、私たち不屈に抵抗し民族の自立を目指し、愛国のこころざしを変えない日本国民が、頑強に小沢一郎が率いる政治勢力(政治家200人)を支持して、闘い続ける限り、日本の未来は明るい。
日本の政治を無権限なのに壟断(ろうだん)する、勝栄二郎らの愚劣なる日本官僚たちは、やがてやって来る2013年7月の参議院選挙で、私たちが勝って、本当に、たくさんの法律をどんどん変えて、長く続いた律令体制からの官僚支配政治を廃止して、官僚たちを、本当に、ただの事務公務員にたたき落とす。各省の 事務次官や局長級 を廃止して 若い30台の政治経験の少ない政治家たちに、それらの仕事をさせる。それが国民の代表たちによる正しい政治だ。小沢一郎が言う「官僚主導から政治主導へ」だ。ついでに「国の大掃除をする。きたないものすべて掃除するのだ」の大方針に私たち国民が忠実に従うべきときである。
この 日本国家の一番大事な国家体制の改革の大事業を、私たちはたったひとつの 「公務員制度改革」の名の法律群の改正だけで、実行できるのである。これにはアメリカの口を挟(はさ)ませることもなく、私たち日本国民の堅い意思と決断だけで出来る。だから各省の官僚どもが束になって、必死になってこの動きに抵抗しているのである。
だが、このことはすでに日程に登っていて、2009年8月30日の選挙で勝った時の、あのマニフェスト(国民との約束)に明言してあるのだから、かならず実現できる。公務員制度改革(官僚制度の解体)以外の 他の福祉のことや、税金のこと、復興のこと、外交・軍事(安全保障ともいいう)などのことは、外国との交渉であり、たくさんのお金がかかることだから、やがて出来る小沢革命政権をもってしてもなかなか大変であり、簡単には実現できることではない。だが官僚制度の解体・消滅だけは、本当にできる。お金はかからないどころか、多額の国家資金がこれで救い出される。
官僚たちを「おそろしい大蛇からただのヘビ」に変えて、正体を暴いて、脱魔術化(だつまじゅつか。disenchantment ディスエンチャントメント。私たちが罹っている魔法、呪縛から解放されること)して、彼らを卑小にしてしまうことは、必ず出来る。
これから一年間、もともと能力のない野田佳彦首相 を頓珍漢(とんちんかん)風に操って、その様子が丸見えになって失笑を買い、私たちから嘲笑、冷笑 されるであろう勝栄二郎よ、まあ、頑張りたまえ。私たちは、こうやって国民政治の実質を簒奪する黒子である お前たち官僚の姿を徹底的に炙り出し、冷酷に冷ややかに見つめる、ということをする。 小沢一郎を執拗に違法に攻撃している法務省官僚と裁判官たちを含めた司法官僚たちの悪あがきも度を越している。司法・法務官僚たちを使って、小沢一郎を抑えつけることをやったので、それで財務官僚たちの方が好き放題にやれたということである。 副島隆彦拝
*勝栄二郎
1975年に大蔵省(現財務省)に入り、予算編成を担当する主計畑を主に歩んだ。93年に発足した細川政権では官房長官秘書官を務めた。東大卒。75年大蔵省。官房長を経て09年7月から主計局長。10年7月から財務省事務次官。61歳。埼玉県出身。 *強調(太字・着色)は来栖
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菅直人から野田佳彦へ継承される消費税増税――勝 財務省事務次官の筋書き通りか
週刊金曜日ニュース2011年8月29日6:11 PM
まるで菅直人首相のライフワークのように見える「社会保障と税制の一体改革」こと消費税増税策。さも、二〇一〇年七月参議院選挙の民主党・マニフェストで、菅首相が突如として唱えはじめたような印象になっている。しかしこれは正しい理解ではない。
説明しよう。麻生太郎政権時代に成立した、〇九年度税制改正法(〇九年三月三一日公布)の附則一〇四条には次のように明記されている。
「政府は、基礎年金の国庫負担割合の二分の一への引上げのための財源措置並びに年金、医療及び介護の社会保障給付並びに少子化に対処するための施策に要する費用の見通しを踏まえつつ(中略)段階的に消費税を含む税制の抜本的な改革を行うため、平成二三年度までに必要な法制上の措置を講ずるものとする。この場合において、当該改革は、二〇一〇年代の半ばまでに持続可能な財政構造を確立することを旨とするものとする」
これはまさしく「社会保障と税制の一体改革」そのものである。そしてその法案整備時期を一二年三月までと指定しているのだ。
つまり、この一一年九月からスタートする臨時国会に提出されるであろう「社会保障と税制の一体改革」法案は、自公政権末期の麻生太郎内閣が時限爆弾として仕込み、それを菅・民主党政権が粛々と実行しているのである。
すなわち、民主党政権が「附則一〇四条」に従い、一二年三月までに消費税増税法(一〇%に増税)を提出→件の「附則一〇四条」自体は自公連立政権時代に成立した法律であり、消費税増税法案は「衆参ねじれ」にもかかわらず民自公の賛成多数で成立する――という流れが待っているのである。
これひとつとってみても「あの政権交代は、一体、何だったんだろう」と虚しくなる。
時に菅首相を批判する勢力――鳩山由紀夫前首相や小沢一郎元幹事長あたり――からは、消費税増税路線を「マニフェスト違反」と批判する声を聞くが、ならば、「小鳩体制」のときに、すみやかに「附則一〇四条」を削除すべきだったのではないか。
まさかお二方が「附則一〇四条」の存在を知らなかったわけがあるまい。つまり、彼らにとって消費税増税批判は、菅首相を批判するための材料にすぎないのではないか(ゆえに私は「小鳩体制」が続いていても、消費税増税に着手したのではないかと睨んでいる)。
とはいえ、菅直人は首相に就任して以来、まるで小泉構造改革の継承者のごとくふるまっている。
そして「菅は財務省のいいなりになった」「野田佳彦は財務省の操り人形」「仙谷由人はまるで財務省の手先だ」「与謝野馨は財務省の代理人だ」という比喩もよく聞くようになった。
*「政治主導」の正体
このときいう「財務省」とは、具体的には勝栄二郎事務次官を指す。3・11以降、菅首相の支持率が低下し、政局的な危機が訪れても見捨てず下支えしてきたのが勝次官である(この人は小沢氏に冷や飯を食わされそうになった経験があることから、反小沢の立場と見られている)。たとえば第二次補正予算の編成や成立に尽力し、特例公債法案が野党の抵抗で店晒しにあり、政府の兵糧が尽きる中、資金繰りに動いたりしている。
勝次官が懸命に菅首相を支えたのは、ひとえに財務宿願の消費税増税を実現させるためである。
官邸をよく知る者は現政権を「勝政権」と呼ぶが、それほどまでに菅首相は勝次官に依存し、官邸の重要事項を仕切らせている。
今年、一月一四日の組閣において与謝野馨氏を経済財政政策担当相、社会保障・税一体改革担当として入閣させたのも、勝次官の意向である。麻生内閣の財務大臣が菅直人首相のもとで消費税増税に血道をあげているのは偶然ではなく必然なのである。これが民主党の「政治主導」とやらの正体だ。
そして勝次官は、菅内閣での消費税増税法案を成立させることを目標にしてきた。それが菅政権がここまで続いてきたひとつの大きな理由といえる。つまり菅首相が辞任し、もし消費税増税慎重派が新代表に選出されたりしたら、もし消費税増税支持の代表候補がボロ負けしたら、もはや目も当てられない。財務省としては、またもや消費税増税を見送らなければならなくなる。ちなみに勝次官は幻の「国民福祉税」の細川護煕政権時代、官房長官秘書官を務めている。あのような悪夢は二度と見たくはないだろう。
「内閣府は一二日の閣議に、二〇二〇年代前半までの中長期の経済財政試算を提示した。社会保障と税の一体改革に沿って消費税を一五年度までに五%上げた場合でも、国と地方を合わせた基礎的財政収支(プライマリーバランス+PB)の赤字は二〇年度に一七・六兆〜一八・三兆円にのぼる。政府が目標とする二〇年度の黒字化を達成するには、消費税換算でさらに七%程度の収支の改善が必要となる」(八月一二日付『日本経済新聞』電子版)
いまさら、何をか言わんや、である。そんなことはこの新制度を検討する前から分かりきっていたことではないか。
民主党「税と社会保障の抜本改革調査会」勉強会(二〇一〇年一一月開催分)配布資料「税と社会保障の抜本改革〜スウェーデンとの比較の視点から〜」(日本総合研究所調査部)によれば、一三年度までに消費税を三%引き上げ、一五年度までに二%引き上げ、さらに一九年度までに四%を引き上げることで、PB黒字化が達成するとしている。
つまり一五年度までの五%増では財源が足らず、さらにその四年後までに四%増、税率一九%にすることが求められているのだ。
*野田財相が「正当後継者」
そう。そもそもこの消費税増税は「社会保障改革」をひとつの口実に挙げているが、真の狙いは「財政健全化」+PBの黒字化にある。ならば五%増税では全く足らないのである。
要するに、今回の消費税増税では、消費税率一〇%で何年持ちこたえられるのかの議論が一切なされていないのだ。ひとまず五%を増税して何年後かのさらなる増税が目論まれているのだとしたら、そしてそれが国民に隠されていたとしたら、それこそ「ペテン」に等しいのではないか。
政権に居座り続けた菅首相は、退陣三条件(「特例公債法案」「第二次補正予算」「再生可能エネルギー法案」の成立)が全て揃う八月二六日に退陣すると八月一〇日の衆議院財務金融委員会で明言した。これは菅首相本人の意思のみならず、勝次官からも退陣を了解されたとみるのが正しい。そして退陣が予定される二六日から中一日挟んだ二八日には新代表選挙(両院議員総会)が開催されるべく、調整がすすめられている。
そして菅首相の正当後継者として野田佳彦財務相が名乗りを挙げる。野田氏は八月一〇日発売『文藝春秋』に掲載の「わが政権構想」にて「政府・与党は、六月三十日に社会保障・税一体改革の成案をまとめました。(中略)私は、覚悟をもってこの一体改革を実現していきたいと考えています」と、菅首相の増税路線継承を明確に打ち立てた。
つまり、勝次官は野田氏を全面的に支えていくことになる。野田氏が負けた場合には全てが白紙に戻る可能性すら秘めているからだ。
今回の代表選挙は新総理大臣を選ぶ選挙であり、この消費税増税のみならずTPP(環太平洋戦略経済連携協定)や政権の枠組み(野党対策)に、〇九年マニフェストのありかたも議論されなくてはならない。
通常国会も終了するのだから、代表選の期間は八月二七日から九月の第一週ぐらいを充てても支障がないと思われるのだが、そうはならなかった。選挙期間が長くなればなるほど国民ウケが悪い「増税派」が嫌われるのは明らかだからだ。もしメディアで世論調査を実施して「増税候補不人気」などという結果が発表されたら、民主党で多数を占める一年生が、雪崩をうって「反増税」に流れる可能性があるからだ。
短期決戦あるのみ。そういう理解でいいですかね、勝さん?
(小谷洋之・ジャーナリスト、8月19日号) *強調(太字・着色)は来栖
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財務省 菅氏に「普天間で鳩山躓くので関わるな」と忠告した
NEWSポストセブン2011.09.26 07:00
「最強官庁」ともいわれる財務省。だが、国家の予算を握っていることだけが最強官庁・財務省の権力の源泉ではない。むしろ、この役所の情報収集力と組織の結束の強さこそ、官僚主導政治を根付かせてきた秘密だろう。「政治主導」を掲げて政権交代を果たした民主党政権の3人の総理大臣が、次々に財務官僚に籠絡されていった軌跡はそのことを浮かび上がらせる。
2010年1月に当時の菅直人副総理が財務大臣に横滑りすると、財務官僚は菅氏を取り込みにかかった。
菅氏を本来嫌っていたはずの財務官僚たちが、その頃からすでに「次は菅政権」と吹聴し始めた。さらには菅氏に対し、鳩山政権を窮地に立たせていた普天間基地の県外移転問題についてアドバイスまで行なっていたという。
菅氏側近が振り返る。
「とにかく財務省の情報能力はすごい。『普天間問題は鳩山政権の命取りになるから、大臣は決して関わってはいけない。待っていれば海路の日和がある』と菅さんに忠告し、日米交渉はその通りになっていった。現実主義者の菅さんは、財務省を敵にするより頼りにした方がいいと判断した」
実際には、普天間基地をめぐる日米交渉は、外務省や防衛省が裏に回って鳩山方針をつぶしにかかっていたわけだから、“霞が関の盟主”である財務省には鳩山政権の命運が手に取るように見えていたのは当然だった。
「財務省を味方にすれば総理になれる」という神話が、すでに民主党には植え付けられている。仙谷由人氏をはじめ、玄葉光一郎氏、枝野幸男氏、安住淳氏らが財務省の与党となり、「マニフェスト撤回」に動いてきたのも、二匹目のドジョウを狙っているからだ。
財務官僚にとって、未熟な民主党の政治家を動かすのは簡単だ。近づいてくる政治家に増税は必要だといわせ、「あの大臣はすごい」「首相候補だ」とメディア工作で評判を上げれば、その気になって忠誠に励む。
※週刊ポスト2011年10月7日号 *強調(太字・着色)は来栖
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