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今年1月6日に閣議報告された政府の「社会保障・税一体改革素案について」を読むと、社会保障改革のことはおおざっぱにしか書いていないのに、税に関しては、事細かく書いてある。やっぱり増税ありきの一体改革ではないか。
しかも、あっさりと当たり前のように社会保険診療は「非課税の取扱とする」と書かれている。消費税を10%に引き上げるのに、医療を相変わらず非課税のままにしておくのか、あるいはゼロ税率で課税するのか、もう少し丁寧な議論が必要なのではないか。
つまり、医療が非課税だと、医療機関が仕入れにかかる消費税を負担しても、それを還付してもらうことができない。医療費がゼロ税率で課税されれば、還付を受けることになり、損税もなくなる。
インボイスの導入、免税点制度、簡易課税など、これまで様々な議論が行われてきた制度改正についても、たとえば「いわゆるインボイスの導入は行わない」の一言である。
益税の問題や事業者が預かった消費税を支払えなくなる問題等、もう少し丁寧に議論するべきではないか。
だからこそ、野党は、この素案に対する対案をぶつけて議論するべきなのだ。
もう一つ気になったのは、「2020年度までに基礎的財政収支を黒字化し、2021年度以降において公債等残高の対GDP比を安定的に低下させていくという財政健全化目標の達成へと向かうためには、名目3%程度、実質2%程度の成長の姿に近づいていくことを目指す「新成長戦略」および「日本再生の基本戦略」を着実に実施していくとともに、財政健全化に向けた更なる取り組みを行っていくことが必要である」という文章だ。
つまり財政再建は、増税と経済成長による税の増収ですねと言っているように思えてならない。もっともっとシビアな歳出削減が必要なのではないか。
歳出削減については、たとえば「その他、公共調達改革などの不断の行政改革および予算の組み替えの活用などによる徹底的な歳出の無駄の排除に向けた取り組みを強めて、国民の理解と協力を得ながら社会保障と税制の改革を一体的に進める」としか明示的に書かれていない。
(「徹底的な歳出の無駄の排除に向けた取り組み」というこの文章を、今、ワードで入力していたら「修飾語の連続」という文書校正の「警告」が出た!)
現在の財政状況を考えると、「歳出の無駄の排除」ではなく、大胆な歳出そのものの削減が必要なはずだ。
そのためには公務員数の削減による人件費の大幅カットは避けられず、出先機関の廃止や、財務省の独立行政法人酒類総合研究所のような機関の廃止統合は必須だ。
それを財務省が先頭に立って、公務員宿舎を増設しようとしたり、酒類総研を再び本省に戻そうとしたり、改革のあるべき方向と逆行させようとしているから、他の官庁に財政再建の厳しさが伝わっていかない。
ちなみに「財務事務次官が入っている官舎の家賃はいくらか」という質問主意書に、財務省は、「個人のプライバシーだからお答えできない」という回答を出してきた。
もし、財務事務次官が民間の住宅を借りているならば、その通りだが、財務事務次官は官舎に入り、国の規定に沿って家賃を支払っているのだから、回答すべきだろう。
この改革は、社会保障とプライマリーバランスと税の一体改革であり、そのためにはとてつもない歳出削減が必要だという共通認識を与野党で持つべきではないか。
この週末、大磯では朝早くから、無形文化財、左義長の準備が始まっていました。
http://www.taro.org/2012/01/post-1146.php
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