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(イラストはマッド・アマノ氏からお借りしました)
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2012年1月17日 (火)
TPPの本質が見える予型的なニュース アメリカの自動車大手三社(ゼネラルモーターズ、フォードモーター、クライスラー)は、日本の自動車市場の閉鎖性を理由に、TPPには反対の立場をとっている。ただ、注意したいのは、これらビッグスリーが「現時点では反対」と言っていることだ。このニュースをそのまま読めば、米車ビッグスリーの本意は、日本の軽自動車規格さえ撤廃できれば、あるいは日本特有の自動車規格を米国基準に転換できれば、こぞってTPPに参加したいという話であることは明白である。この部分こそ、TPPの本質であろう。 ここで、私くらいの年代の人間なら、すぐに過去のあることを思い出すはずだ。それは日米構造摩擦、特に日米自動車摩擦と言われるものである。日米間で激しく軋轢を起こした日米貿易摩擦を解消するため、米国は1974年に通商法301条、 1988年には包括通商・競争力法のスーパー301条を強引に活用して、日本市場に圧力をかけた。1985年には対日貿易赤字の急激な減少を目論んで、プラザ合意というごり押しで円高に固定した。ところが日本は、苦しみながらも上手く立ち回ってこれらを切り抜け、依然として対米貿易黒字を維持していた。 当時、心ある日本人は、アメリカが貿易不均衡の原因を、日本特有の市場閉鎖性や民族的な商慣習などにあると強弁したことに、言いがかりも甚だしいと考えていた。1970年から1980年代にかけて、いわゆる米国ビッグスリーは自動車産業の先駆的王国の栄光に胡坐をかいていたのか、時代の変化に対応して来なかった。日本車とアメ車の貿易不均衡の最大の原因は、二度の石油ショックを潜り抜けた時、アメ車業界が、石油資源の有限性と経済合理性を追求した小型化を無視したからである。アメリカ大陸は広大であり、そこを行き来するためには大型で排気量が高く、荷物をたくさん積める自動車が求められていて、そのような車を普及させた。車の黎明期にはそれも意味があったが、文明と環境問題が叫ばれてから、大排気量車は明らかに大衆車には向かなくなっていた。 日本の場合は国土的に狭い面積で道路が曲がりくねり、アップダウンばかりの土地柄なので、必然的に小回りの利く小型車が行き交うことになる。ごく一部のアメ車愛好者を除けば、メジャーな日本人はアメ車を実用的に持とうとは思わない。アメリカも日本に売りたかったら、小型化、低燃費、耐久性などを追及して、日本人に好かれる車を作るべきだったのだが、石油ショック後も大型車に固執して、日本のみか、世界市場に敬遠された。アメリカが大型車に固執し続けた理由は、風土的な慣習もあったが、もっと現実的には大型車の単価が高いから利益率が良かったせいもある。大型車が稼げるというトップ層の思い込みがあったのだろう。 しかし、需要がなければ車は売れないのだ。加えて電装関係の信頼性は日本車にはるかに劣る。そういう意味で、日米の自動車貿易不均衡は、日本市場の特殊性に起因したものではなく、車の性能と時代のニーズに適応したかどうかの問題だったのである。喩えが不適切かもしれないが、日本の農道や山岳部の道路などを、GMのハマーが行き交っていたらどうだろうか。横幅が広くて抜群の安定感はあるかもしれないが、隘路が多い道路では、ハマー同士がすれ違いざまに接触事故を起こすだろう。 車に限らず、日米貿易摩擦の原因はほぼ似たような要因を持っていた。ところが、アメリカは自分たちの研鑽をおろそかにして、アメリカ製品が日本で売れないのは日本市場の特殊性が障害になっているという論法で無理強いを重ねてきた歴史がある。チンピラヤクザの難癖と同じである。ところが、属国の悲しさから、日本は涙を呑んで米国の無理難題に応じ、面従腹背、臥薪嘗胆で苦境を切り抜けてきた。すると、アメリカは1993年に、宮沢-クリントン会談で、日米構造協議を引き継ぐ形で日米包括経済協議を取り決めた。しかし、このターニングポイントが曲者だった。この翌年(1994年)から関岡英之氏が「拒否できない日本」で明らかにした、あの悪名高い「年次改革要望書」が毎年取り交わされている。この時点から、日米構造摩擦という大声を張り上げてお互いを主張し合った日米は、喧嘩のケの字もなく、無音状態になって突き進み、小泉・竹中構造改革路線という、アメリカの意のままに制度改変を行う外道国政に昇華した。 そして、この年次改革要望書は麻生政権時にひっそりと消滅していた。ところが、今度は、昨年2月の「日米経済調和対話」などに衣を変えて年次改革要望書が甦っている。日米構造摩擦のころ、アメリカはスーパー301条などという手前勝手な暴力法案を発動して日本を脅すこと自体が、チンピラヤクザの発想であり、貿易の公正性などははなから頭にない。TPPも今までの貿易圧力の集大成として、アメリカが利用しようとしている破壊的不平等条約である。というか、6年前にチリ、ニュージーランド、ブルネイ、シンガポールの四か国でローカルに取り決めたものに、アメリカが参加して、日本の国富を収奪する足掛かりとしたものが、現在のTPPである。実質上の日米FTAである。 その本質は冒頭に記した、アメ車ビッグスリーが日本の軽自動車規格の撤廃を求めているところに明確に表れている。日本に強引にアメ車を輸出しようとする魂胆と、米国に都合の悪い日本の制度や慣習を破壊しようとする意志は、大国のエゴイズム剥き出しであり、理不尽極まりない押し付けである。TPPは日本の経済構造すべてにわたって、この理不尽が発生する。問題は野田佳彦首相を筆頭として、現政権首脳らが自主的にこれを受け入れようとしていることである。内閣総理大臣自体が国賊と化している。震災復興と原発事故対応に最大限の注力をしなければならない時に、何をとち狂ったのか、野田政権は増税とTPP参加の国民不在の方向に舵を切った。正に国賊政権である。 2012年1月17日 (火)
【ワシントン=岡田章裕】米通商代表部(USTR)は13日、
環太平洋経済連携協定(TPP)交渉に日本が参加することに対する意見公募を締め切った。農業、製造業などから100件を超える意見が集まった。
米自動車大手3社(ビッグスリー)で組織する米自動車政策会議(AAPC)は、 日本の自動車市場の閉鎖性を理由に「現時点では反対」と表明し、 参入障壁となっている軽自動車規格については、「廃止すべきだ」と主張した。( 読売新聞 1月14日21時38分配信より引用)
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