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ワシントン出張中に、チャタムハウスルールで開催されたラウンドテーブルに出席した。
その席上で、今のアメリカ連邦議会に対する国民の信頼度を表すものとして一枚のペーパーが配られ、爆笑をよんだ。いろいろな組織や人に対する信頼度が比較されている。
それによると
IRS(アメリカの国税庁) 40%
航空業界 29%
弁護士 29%
ウォーターゲート事件の最中のニクソン大統領 24%
銀行 23%
石油・ガス業界 20%
原油流出事故中のBP 16%
パリス・ヒルトン 15%
ヒューゴ・チャベス 9%
米国連邦議会 9%
フィデル・カストロ 5%
いかに米国議会が激しい党派対立でお互いの足を引っ張り合った結果、米国民の信頼を失ったかがよくわかる。
「日本でこうした比較をする時は、パリス・ヒルトンの代わりに誰を入れるんだい」と参加者から聞かれたが、誰になるんだろう。
石油ガス業界の代わりは電力業界、BPの代わりは東電、弁護士の代わりは原子力学者、カストロの代わりは金正日、ニクソン大統領の代わりは金権批判の中の田中角栄首相だろう。
日米同盟の議論も、「日米両国ともに政治的に強いリーダーシップがとれない中で、財政赤字から国防予算を増やすこともできず、中国が軍備拡張する中で前方展開能力に大きな脆弱性が生まれつつある」という共通認識のなか、かなり悲観的な議論が支配した。
他方、「米国の国防予算は、前年に史上最も大きな国防予算を記録したばかりで、削減されたといっても次の予算は史上二番目の額であり、今後もアメリカの軍事力はアジアからは削減されない。だから悲観的になる理由はない」という反論も出された。
100年前のヨーロッパと現在を比較する議論がアメリカ側から出され、今後の世界秩序がどうなるか、どうすべきかということに対する想像力が欠如しているという問題提起が行われた。
第一次大戦前のドイツの状況と現在の中国が重ね合わされた議論になっている。
共和党は、ロン・ポールをはじめとする軍事支出の拡大に反対する孤立主義、ハンツマンに代表される国内の状況改善を優先すべきという主張、ロムニーのような今後も国防費をそれなりに維持すべきという覇権主義に分かれているが、ロン・ポールの孤立主義とハンツマンの優先順位をつけろという異なる主張が、相まって国防費の縮小につながる声になっているという解説。
中国の軍拡の中で、依然として日米同盟の意思決定が組織的に行われるようになっていないという問題認識がアメリカ側でかなり共有されているように思えた。
日本のF35の調達に関しては、良い飛行機だが日本政府の国防費の制約がある中で高すぎる買い物なのではないかという声がアメリカから出されたり、日本と韓国両国でグローバルホークの調達をして、日米韓で情報を共有できるようにしてほしいという声が随所で聞かれた。
また、韓国がアメリカに対して、強く使用済み核燃料の再処理を求めていることに対して、日本の失敗を韓国に情報提供して断念させるべきだとの声も強い。しかし、日本が再処理路線は失敗だったことを明確に認め、日本が路線変更をしなければ、アジアでの核拡散を防ぐことができない。
http://www.taro.org/2012/01/post-1143.php
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