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http://d.hatena.ne.jp/shavetail1/20120104/1325687319
公務員人件費に対する人事院勧告の妥当性
23:28 |
【要約】
公務員人件費は人事院勧告により決まるとされていますが、その決まり方は明確ではありません。
ただ、公務員給与の推移は民間とは異なり高止まりしており、民間からの税で支えるとすれば持続可能な水準になっていません。
最近ネットに繋がりにくい環境にありまして、少々遅くなりましたが新年明けましておめでとうございます。
今年もデフレなど日本を取り巻く問題をデータから掘り下げてみたいと思います。
今日4日の年頭記者会見で野田首相は昨年末に積み残しとなった公務員人件費削減問題について語っています。*1
公務員給与削減など通常国会で早期実現へ意欲
野田佳彦総理は4日、年頭の記者会見で昨年から残されている課題として、大震災の復興財源対策として税外収入を得るための「郵政改革関連法案」をはじめ、「国家公務員給与の削減(平均7.8%の削減)」や「国会議員定数削減」など歳出削減にむけた行政改革をあげ、これら課題を「通常国会のなるべく早い時期に実現させていきたい」と語った。
国家公務員給与の削減については野党側が「人事院勧告をさきに実現し、その後に、給与削減の深堀をすべきだ」として、7.8%削減の中に人事院勧告の趣旨は含まれているとする政府の見解に反対したことから、さきの臨時国会では実現をみなかった。
野田総理は「通常国会の始まる前にぎりぎりの交渉をしていきたい」との考えを示した。
周知の通り、公務員人件費は人事院勧告により決まります。 人事院は国家公務員法で職員給与を決定する要素として、「生計費、民間における賃金その他人事院の決定する適当な事情」を挙げています。一般には人事院はある規模以上の民間企業の給与に準じて決まるものと思われています。
そこで、近年の公務員と民間での給与水準の変化を比べてみました。
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図1 公務員と民間の給与水準推移(’97年=100%)
公務員と民間の給与水準推移を直接比較している情報はウエブ上には見当たらない。そこで公務員・民間それぞれの給与水準推移を算出し、それらを比較した。 公務員人件費推移は総務省の「国家公務員の給与改定の推移」から計算し、民間の人件費推移は連合の2009年春闘「賃金構造基本統計調査(2008年)を中心とする賃金分析」に依った。
図1のとおり民間では従業員数1,000名以上の大手企業といえども'97年以降給与水準は低下を続けています。 それにもかかわらず、公務員人件費は高止まりを続けています。 結局、公務員人件費を決めるのに、民間の給与水準低下は考慮されていないようです。
では、公務員の人件費は何と連動しているのでしょうか。
図2は公務員人件費・民間人件費推移と、物価水準としてGDPデフレータと消費者物価指数とを併せて表示したグラフです。*2
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図2 公務員・民間の人件費と物価水準推移
図2を見ると民間の給与水準はGDPデフレータに連動し、公務員給与水準は消費者物価指数に連動しているようです。 物価が下がるということは企業の売上が減るわけで、売上が減った企業は給与水準を下げざるを得ません。 正しい物価水準の指標であるGDPデフレータと民間の給与水準が連動するのは致し方ないところですが、当然とも言えます。 一方の公務員人件費は、デフレでは当然の下級財シフトを反映しない( つまり1-2%程度の上方バイアスがある)消費者物価指数に連動させているとすれば、高止まりしている公務員人件費を、給与水準が下がっている民間給与の所得税、あるいは売上が減っている企業の消費税や法人税で支え続けられるはずはありません。*3
こうしたデータから考えれば、公務員人件費は「大震災の復興財源対策」といった要因なしでも、人事院勧告で示された0.23%程度の下げでは到底足りず、7−8%程度は下げて当然と言えます。 ところが、公務員人件費下げに対して自公の野党も反対し、また連合の顔色を窺う民主党も大震災の復興財源としての公務員人件費下げさえも手をつけられないでいるようです。*4
今回の分析では公務員給与と民間(非正規雇用含む)の水準の差、約700万円と約400万円には敢えて踏み込みませんでしたが、税金で賄われる公務員人件費水準は、人事院勧告で給与水準が決まる人々が750万人もいることから考えても*5、デフレを解消しない限り、民間と同率以下に下げなければ持続可能でないことは明らかです。
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