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2012年 1月 9日 19:24
成瀬裕史
(転載開始)
■次々と明らかになる検察審査会の「疑問点」
明日からの1月10日,11日の両日、政治資金規正法違反で強制起訴された小沢一郎氏の公判の「最大のヤマ場」、被告人質問が東京地裁で行われるが、今回で公判の実質審理は終了する。
12月15日の公判では、2010年5月17日の石川知裕衆院議員の再聴取の際に石川氏が供述していない内容の捜査報告書が東京第5検察審査会に提出され、議決書にも一部が引用されたことが明らかとなり、小沢氏の弁護側は27日、「検察審査会の議決は、虚偽の捜査報告書を根拠にしており無効」として公訴棄却の申立書を東京地裁に提出している。
この小沢氏に係る検察審査会については、これ以外にも「検察審査員の平均年齢」や「起訴議決日と議決書作成日の差異」など、いろいろと疑問点が多い。
しかし、そもそも、「審査申立て」がないと検察審査会は始まらない。
今回の「小沢裁判」の出発点といえる、この「申立て」については、余り報道されていないが、その経緯についても「疑問点」は実に多い…。
■審査申立人は誰なのか? 〜「申立て」がないと始まらない検察審査会
検察審査会法第2条第2項では、「検察審査会は、告訴若しくは告発をした者、請求を待つて受理すべき事件についての請求をした者又は犯罪により害を被つた者(犯罪により害を被つた者が死亡した場合においては、その配偶者、直系の親族又は兄弟姉妹)の申立てがあるときは、前項第一号の審査を行わなければならない。」とされている。
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S23/S23HO147.html
言い換えると、(1)告訴権者、(2)告発者、(3)請求権者、(4)犯罪被害者のいずれかの「申立て」がないと、検察審査会は始まらない。
それでは、今回の「審査申立人」は一体、誰なのか?
議決要旨の審査申立人の欄には「甲」とだけ書かれているだけである。
2010年10月8日の朝日新聞は、この審査申立人は「小沢氏を東京地検特捜部に告発した市民団体」だと報道している。
http://www.asahi.com/special/ozawa_sikin/TKY201010060349.html
この報道によると、
1)団体の名は「真実を求める会」
2)命の危険があり名乗ることは出来ない。中傷や嫌がらせが心配で議決要旨でも事務局に頼み名前を伏せた
3)メンバーは関東近郊の60代中心の行政書士、元新聞記者、元教師、元公務員など男性約10人
4)政治的には保守層だが政党とは関係ない。政権交代前から民主党に批判的で、何か具体的な行動を起こそうと決めた
5)様々な民主党議員の疑惑の中で東京地検特捜部が陸山会を捜査し元秘書ら3人を逮捕したが「小沢氏だけが逃げるとしたら許せない」とし、2010年1月21日、小沢氏を東京地検特捜部に告発し、まもなく受理
6)しかし2月4日、特捜部は元秘書ら3人だけを起訴し小沢氏を不起訴にしたため、納得がいかず東京の検察審査会に審査を申し立てた
とのことである。
この報道が事実だとすると、次の疑問が湧いてくる。
東京地検特捜部は何故、朝日新聞が報道で「謎の団体」とまで称した市民団体の「告発」を、受理したのだろうか?
■「告発」受理で不起訴時の「審査申立て」の“権利”発生
前述の朝日新聞の報道では、ご丁寧に「捜査当局への告発はだれでもできる」としているが、実際には「証拠が不充分」等で正式に受理されないケースも多く、受理されても「捜査開始まで半年とか1年待たされる」事もあるという。
2010年1月21日の市民団体「真実を求める会」による小沢氏の告発は、翌日の夕刊フジで報道されていた。
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20100122/plt1001221559002-n2.htm
《市民団体「真実を求める会」小沢氏を共犯として告発へ
民主党の小沢一郎幹事長の資金管理団体「陸山会」の土地購入事件で、市民団体が21日、小沢氏と秘書らが政治資金規正法違反容疑(虚偽記載)にあたるとして、東京地検に告発状を提出した。
逮捕された3人の秘書のほか、小沢氏本人も「共犯」として告発された。提出したのは行政書士や元新聞記者による東京都内の「真実を求める会」。》
その前の報道では、「東京地検特捜部による小沢氏への任意の事情聴取は小沢氏側が希望する23日に行われる見通し」と伝えられていた。
しかし、この告発を受理したことにより、「参考人ではなく、黙秘権を告げた上で行う『被疑者(容疑者)聴取』になる可能性が出てきた」と23日、産経新聞は報じている。
小沢氏自身、23日の記者会見で「私に対する告発があり、被告発人として説明を伺うという話がありました。黙秘権もあると伺った(略)調書には2通、署名しました」と語っている。
「小沢氏への任意聴取は23日」と報道された21日に市民団体が小沢氏を告発、これを受理した東京地検特捜部は23日、小沢氏を参考人ではなく、黙秘権を告げた上で行う「被告発人」として事情聴取を行ったことになる。
受理されない場合や受理されても捜査ず半年から1年後となる場合もある「告発」。
これが「任意聴取」の2日前に出され、それが即座に正式受理され、当日は「被告発人への事情聴取」に替わった。
あらかじめ段取りが決められていたような「手際の良さ」である。
そもそも朝日新聞が「謎の団体」と称した市民団体「真実を求める会」の告発を、東京地検特捜部たるものが易々と受理するものだろうか?
朝日新聞の報では「元新聞記者」も参加しているようであり、東京地検としても「馴染み」の団体かもしれない。
しかし、朝日の報では「政治的意図なし」としているが、そもそも「民主党に批判的」と自ら語る団体に本当に「政治的意図」がないのだろうか?
そんな団体の告発を「渡りに船」のように即刻受理し、当初の「任意聴取」を「被告発人への事情聴取」に切り替えた特捜部側にこそ、果たして「政治的意図」がなかったのかどうか?
この東京地検特捜部の「告発」受理により、市民団体「真実を求める会」は、小沢一郎氏が不起訴となった場合、検察審査会に「審査申立て」を行う“権利”が発生したのである…。
■石川氏に「検審審査」「起訴議決」を“預言”した特捜部
鈴木宗男氏の「ムネオ日記」(2010年4月28日)によると、
東京地検特捜部の副部長は、石川知裕氏起訴3日前の2月1日、石川氏に対し、「小沢はここで不起訴になっても、検察審査会で裁かれる可能性が高い。その議決は参議院選挙前に出る」と話していたという。
http://www.muneo.gr.jp/html/diary201004.html
さらに佐藤優氏のコラム「眼光紙背」(2010年4月28日)によると、
石川氏は、取り調べを担当した副部長から「小沢先生が不起訴になっても、検察審査会がある。そして、2回起訴相当になる。今度は弁護士によって、国民によって小沢先生は断罪される」と聞かされたという。
http://blogos.com/article/23400/
実際のところ検察審査会は、参院選前の4月27日、一回目の起訴相当議決を下し、民主党代表選当日の9月14日、二回目の起訴相当議決を下した。(この議決書が作成され報道されたのは、何故かひと月後の10月4日だったのだが…)
それにしても、東京地検特捜部、少なくともこの副部長は、石川氏起訴・小沢氏不起訴処分を下す3日前に、不起訴処分を前提とした検察審査会への「申立て」と、二度の「起訴議決」を、この時点で「織り込み済み」だったのであろうか?
検察審査会に対する特捜部の関与が一切なしに、副部長が「検審審査」「起訴議決」を予言していたとすると、それはまさに「神ワザ」ではあるまいか…。
■陸山会事件を「平成の盧溝橋事件」とした郷原信郎氏
『検察の正義』の著作がある元検事の郷原信郎氏は、「陸山会事件を『平成の盧溝橋事件』にしてはならない 〜虚偽捜査報告書作成事件の捜査・調査に速やかに着手すべき〜」と題してメールマガジンに寄稿している。
http://www.comp-c.co.jp/pdf/111219.pdf
この中で郷原氏は、
勾留中の被疑者の供述の理由を、「起訴後3ヶ月も経った後の取調べでわざわざ質問し、それについて捜査報告書を作成するなどということは、通常の検察官の取調べではあり得ない」
「何らかの上司の指示がなければ、このような捜査報告書が作成されることはないと考えるのが合理的であろう」としている。
また、「小沢氏は、検察の処分としては、嫌疑不十分で不起訴となっており、検察の組織としては、犯罪事実の認定について消極の判断をしている」「通常であれば、検察審査会で起訴相当議決や起訴議決が出されて検察の処分が覆されることは、検察にとって極めて不名誉なこと」
「わざわざ、検察の不処分が検察審査会の議決で覆される方向で捜査を行うこと自体、担当検察官個人の行動としてはあり得ない」とし、
「検察組織全体の方針に反して、検察審査会の議決を検察の処分を覆す方向に向け、それによって小沢氏を政治的に葬ろうと考える一部の集団が検察組織内部に存在」し、
「検察審査会の審査員が小沢氏との共謀を認める石川氏の供述調書を信用し、小沢氏に対する起訴議決を行うようにするため」
「虚偽の捜査報告書を作成させる、という行為が、東京地検特捜部内で組織的な背景を持って行われた疑いが濃厚」とし、
「陸山会事件では、特捜部という検察組織の中の一部が、小沢氏不起訴という検察の組織としての決定に従わず、検察審査会という外部の組織を活用して検察の処分を覆させようとする『暴発』したと見ざるを得ない」
としている。
そして、「主任検事から『この件は特捜部と小沢の全面戦争だ。小沢をあげられなければ特捜の負けだ』といわれた」と証言した前田元検事ら「大阪地検特捜部が無理に無理を重ねた郵便不正事件」は、
「東京地検特捜部の小沢氏に対する一連の捜査への対抗意識も動機の一つ」とも述べ、
「今回の虚偽報告書の作成問題と次々と問題を露呈し、検察への信頼は地に堕ちた」とし、
「検察という一つの権力組織が泥沼の状況に追い込まれていく契機となったという意味で、陸山会事件は、日本軍という権力組織、そして、日本という国が「日中戦争」の泥沼へと引きずり込まれていく契機となった『盧溝橋事件』と似ている」としている。
そして最後に、「盧溝橋事件の真相を解明することは、今となっては極めて困難」であるが、
「その後の日本の政治、社会に重大な影響を与えた検察審査会での起訴議決という『民意』の作出に大きく影響したと思われる虚偽の捜査報告書作成事件が、意図的なものであったのか、組織的背景があったのかを、捜査又は調査によって解明することは決して困難なことではない」
とし、
「捜査又は調査にただちに着手し、陸山会事件の検察捜査の真相を明らかにすることが、日本の社会を、そして、検察を救う唯一の道である」
と結んでいる。
全く同感であるが、私は、併せて、小沢氏を「告発」し「審査申立て」した者と検察捜査との関係の“真相”をも明らかにして欲しい、と望むものである。
成瀬裕史記者のプロフィール
1960年生まれ。北日本の一地方在住。一次産業を主とする“地方”の復興のため、明治維新から続く中央集権・官僚主導の国家体制の“CHANGE”を志す。
(転載終了)
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民主党代表選集会(臨時党大会) 2010年9月
民主党代表選集会(臨時党大会) 2010年9月14日
長さ: 102:16 2010年9月14日に開催した民主党代表選集会(臨時党大会)の“ノーカット版”。
※ 今改めて、小沢一郎氏と管直人氏の決意表明を検証して下さい。
http://grnba.com/iiyama/more13.html#ws1103
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