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◎「岡田副総理」でも政権浮揚はあるまい
http://thenagatachou.blog.so-net.ne.jp/2012-01-13
2012-01-13 06:53 永田町幹竹割り
「岡田副総理」は、2閣僚への問責決議で追い込まれた首相・野田佳彦が、その印象を払拭するために打った起死回生策だが、果たして実効はあるだろうか。どうも両刃の剣のように見える。筋金入りの消費増税論者だから、野田にとっては中央突破への強い援軍だろうが、党内的には小沢グループを敵に回した。それに幹事長時代の岡田の実績はたいしたことはない。
野田の最近の政治姿勢は、「消費増税一辺倒」に徹している。野田は「消費税のためには障害になるものはすべて取り除かねばならない」と漏らしている。そのために防衛相・一川保夫、国家公安委員長・山岡賢次を“除去”するのだ。加えて、行政刷新相・蓮舫も切る。蓮舫は鳩山内閣以来民主党パフォーマンス政治の象徴であり、最近は鼻についてきた感が濃厚だ。事業仕分けに続く「政策仕分け」なるものも湿った花火に終わった。おまけに脱税事件で逮捕歴のある男性と食事をしたり、祭りに出かけるという「不適切交際」がばれて臨時国会で追及された。“除去”しなければ、通常国会国会でも絶好の攻撃対象となってしまう。
もっとも幹事長・輿石東が「改造には大義が必要だ」と野田に進言したとおり、資質に欠ける閣僚を交代させるだけでは、世間体が悪すぎる。そこで野田は「今後の態勢をしっかり強化するために」改造することにしたのだ。5人程度を交代させる中規模改造で「更迭人事」の印象を薄め、消費税シフトを強調しようとしているわけだ。焦点の前幹事長・岡田克也は、副総理兼行政改革、税と社会保障一体改革担当で入閣する。野田にとっては強力な味方と感ずるのだろう。事実、「不退転の決意」で消費増税に取り組もうとしている野田にとって、自らの主張に固執する「原理主義者」の岡田は、またとない援軍と映るのだろう。野田はあきらかに“中央突破”を目指しており、そのための起動力を期待しているに違いない。
しかし、岡田の起用は、野田にとって当初からの党内融和路線から、大きくかじを切って、小沢との対決も辞さぬ構えに転じたことを意味する。小沢系の2閣僚を切って、幹事長時代に小沢の党員資格を停止させた岡田を起用するのだから、相当な神経逆なで人事だ。案の定小沢サイドからは「もう戦争状態だ」という声が漏れ聞こえる。ただでさえ野党の攻撃にさらされようとしているときに、挙党態勢でなく、分裂も辞さない態勢で、激動の通常国会を乗り切れるか。これが「岡田人事」の第1の問題点だ。小沢グループの田中直紀の防衛相起用くらいでは帳消しに出来まい。田中の防衛相としての能力にも疑問符が付く。
さらに岡田を起用して、このまま行けば20%台に突入しかねない内閣の支持率が上がるなど政権浮揚効果が生ずるかだ。筆者は支持率下落が瞬間的に踊り場状態になっても、なお下がり続けると思う。岡田では人気は沸かない。その証拠には幹事長時代に統一地方選挙をはじめあらゆる重要な選挙で敗北を喫しているではないか。
新鮮味もない。野党対策で自民党副総裁・大島理森とのパイプが期待されるようだが、大島も総裁・谷垣禎一同様に民主党政権による消費税増税反対で凝り固まっている。パイプは通じても、野田が「話し合い解散」へと大転換でもしない限りは効力を発揮しない。もし話し合い解散をするなら「岡田・大島ライン」は効力を発揮するかも知れない。いずれにしても岡田人事はプラス効果よりマイナス効果の方が大きいような気がする。やがてそれが判明するだろう。
加えて国民新党との連立が維持できるかどうかだ。消費増税絶対反対の代表・亀井静香はこの重要な時期に、ハワイで“すねた”ように静養している。改造を前にした与党党首会談には出席しないで、幹事長・下地幹郎が代行する。下地は既に、同党の金融担当相・自見庄三郎の続投を要請、自見の留任が固まったが、亀井は野田が消費増税を強行した場合連立を離脱するつもりなのだろうか。野田は国民新党も“除去”しかねない勢いであることは確かだ。総じて政権は改造の度に味方より敵を作る要素の方が大きいが、どうも野田改造内閣も遠心力の方が目立ち始めるような気がする。
◇
きょう内閣改造 岡田氏、副総理・一体改革相 増税二人三脚 人材不足を露呈
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120113/plc12011306590004-n1.htm
2012.1.13 06:58 産経新聞
野田佳彦首相は、自ら「政治家としての集大成」と位置づけた社会保障と税の一体改革への決意を示すため、岡田克也前幹事長を副総理に迎える新体制を敷く。首相としては、岡田氏との「二人三脚」で消費税問題に取り組み、政権の「本気度」を示す狙いがあるが、この目玉人事は政権運営の新たな火種となる可能性も秘めている。
首相が岡田氏の起用にこだわったのは、同氏が党代表経験者であり首相の方針を一貫して支持してきたことが大きい。菅直人政権の幹事長も経験し、一体改革の行方のカギを握る自民、公明両党との調整役を務めてきた実績にも期待した。
岡田氏には、昨年末から内々に副総理就任を打診していた。しかし、岡田氏は就任を「想像以上に渋っていた」(周辺)という。
自らの副総理起用説には、関係者を「想像と小説の世界だ」とけむに巻き、入閣に慎重な態度をとり続けた。12日午後には、自らが会長を務める党行政改革調査会総会に出席し、独立行政法人改革案のとりまとめ作業に没頭していた。
表向きは人事に無関心なそぶりを取り続けた岡田氏だが、内心は迷っていたはずだ。一体改革を成し遂げれば「ポスト野田」の最有力にのし上がる。逆に失敗すると首相との連帯責任を問われ、自らの政治生命が危機になる。かといって、首相の要請を拒否したら野田政権を潰した「戦犯」といわれかねない−。
一方で、首相がこれまでも政府や党の要職を歴任してきた岡田氏の起用にこだわったのは、党内の人材不足の表れでもある。
首相を支持する有力議員としては、例えば仙谷由人政調会長代行がいる。しかし仙谷氏は官房長官だった平成22年12月に参院で問責決議を受けた経緯から、再入閣させれば野党の反発は必至だ。
岡田氏と同じく代表経験者の前原誠司政調会長は、八ツ場(やんば)ダム建設再開問題で党内外から信用を失った。数少ないベテランといえる藤井裕久党税制調査会長は、体調や高齢を理由に財務相や官房副長官を途中で辞任している。
岡田氏は最終的には「人事権者は首相だから」と副総理就任を受け入れた。ただ、「原理主義者」とも評される岡田氏は党内に敵も多い。小沢一郎元代表を「党員資格停止」処分にした際の幹事長でもあり、岡田氏が消費税問題に取り組めば取り組むほど、「反増税」を主張する小沢派議員らの反発を買うのは必至だ。(坂井広志、酒井充)
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