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以下、1月5日付朝日新聞、ネグリへのインタビュー、パート3の転載開始〜
グローバル経済を支える世界的な権力である<帝国>と、目覚めた人々による新しい民主主義の動き。私たちの未来は、その戦いの行方にかかっているのだろうか。
――『<帝国>』は、9.11後のブッシュ時代の米国一極支配を予言したなどと言われました。
<帝国>は、90年代以降の世界で生まれるグローバルな秩序を示そうという試みでした。原稿はブッシュ大統領が登場する前の97年7月には書き終えていました。ただし、<帝国>とは米国のことではありません。市場がグローバル化していくなかで、秩序、とりわけ民主的な秩序が形成されない。私たちの関心は、このような、世界で生まれるグローバルな秩序や権力とは何かを追求することでした。それを<帝国>と名付け、対抗する世界の人々の新しい動きをマルチチュードと呼んだのです。(ブッシュ時代の)米国は、こうしたグローバル市場に自国中心の一方的な秩序を形成しようと試みました。ところがアフガン戦争やイラク戦争を仕掛けたおかげで、失敗してしまう。今から見れば壊滅的な試みでした。もっともブッシュ氏自身は、自分が世界市場に秩序を与えようとしていたとは気づいていなかったようですが。
――あなたは反米派ですか。
いやいや、私は大いなる親米主義者です。本当です。今後、もし世界のどこかで新しい民主主義の革命が起きるとしたら、それは米国から始まると思っています。なぜなら革命とは、資本主義の発展が最高レベルに達した場所で起こるものだと確信していますから。マルクス自身も、当時最も進んでいた国で起きると思っていました。
――そういえば、あなたはフランスで「新しいマルクス」と呼ばれているそうですね。
お願いですから、そんな言い方はやめてください。フランス人は言葉遊びが好きなのです。
――日本では「脱原発」を除いて、社会的な運動はなかなか盛り上がらないように見えます。まるで、日本のあなたの言う世界の流れの外にあるかのようですが。
ニューヨークの運動は、オバマ大統領を支持するものではありません。自律的な運動で、人々がアイデアを広げていく、まさにマルチチュードを代表するような運動です。マルチチュードはイランにも、チュニジアにも、イギリスにもあります。日本もこうした流れの中にあることは明らかです。確信しているのは、大草原に火を放つような、そういう「火」が、世界の各地に存在しているということです。ヨーロッパでは危機が存在し、そこからどうやって脱するか、誰もが思い悩んでいます。今こそこれが「起こりうる」と思いますね。今の日本のみなさんのように深刻な危機に身をもって直面している時こそ、何が本当の民主主義なのか実感できるはずです。そしてそこから、新しい民主主義のかたちが生まれるのでしょう。
(取材を終えて)迷路のようなベネチアの街の、角を曲がって曲がって、また曲がって。観光ルートから外れた一角にネグリは住んでいる。元気な人だ。時に笑い、時にこちらを凝視し、時に憤然とする。話は止まらない。中身は過激だ。代議制も三権分立ももうだめ。「参加」が大事だが、今ある政治の仕組みに人びとが加わることではない。新たに作ることだ。その主役はあなたたち。怒りなさい、行動しなさい、そして自分たちで決めなさい。そこから次の民主主義が見えてくるはずだ。すでに世界にはたくさんの試みがあるのだから……。
次とは。本人は「私にはわからない」と言うが、顔を見ているうちに、この人には見えているのかもしれない、と思った。世界を丸のみにするような知識人が少なくなった。だがこの人はその一人に違いない。帰りの迷路は、少しだけわかりやすく感じた。(編集委員・刀祢館正明)
投稿者からひとこと〜
過去2回の転載のあと、「短評」を加えてきたことを後悔しています。ネグリ氏によれば、「ヨーロッパで危機が存在し」、日本は「深刻な危機に身をもって直面している」と。では、私たちはヨーロッパの人々が「思い悩んでいる」ほどに、自らの「深刻な危機」を認識できているのだろうか、そう問いかけざるをえないのです。
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