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1週間前のニュースになるが、北朝鮮の朝鮮中央通信は3日、日本政府が金正日総書記の死去に際し、「政府として哀悼の意を表す予定はない」と表明したことに対し、北朝鮮への「敵対的立場をさらけだした」と非難する論評を配信した。このような結果が出てからの批判・論評なら誰でもできる、と言われることを百も承知で言うが、政府の「弔意を表さない」との発言は、こういう結果を招くだろうと予想していた。
日本と北朝鮮とは国交が無い。日本政府は、平成16年以来、北朝鮮が日本人を拉致し、核開発を行い、日本列島を越えるミサイルを発射したことに対し、「経済制裁関連法」に基づき、北朝鮮籍船舶の入港禁止と北朝鮮との輸出入の全品目禁止とする内容の経済制裁(注;昨年4月に1年間延長)を課している。だが、決して米韓のように日本は北朝鮮と戦争状態にある訳ではない。
中でも日本人拉致事件は、金正日がナンバー2の時代に起こしたと言われる。小泉首相(当時)が訪朝した際に、金正日は拉致の事実を認め、蓮池さん夫婦など拉致被害者を帰国させた。北朝鮮の公式見解は、日本人拉致被害者は全員日本に帰国させた、というものである。一旦、最高権力者が「居ない」と言ったのを訂正出来るのは、北朝鮮では最高権力者以外には誰も居ない。それが独裁国家である所以だ。
処が、その最高権力者で、拉致を指示した金正日が亡くなった。事態は間違いなく変化したのだ。拉致被害者家族にとって、微かにせよ事態解決の望みが膨らんだ。今すぐにとは行かなくても、拉致問題の転機が来る。その時に備えると言うより、その転機を積極的に作る為にも、どういうシグナルを日本政府は送るべきか。拉致被害者とその家族のことを思えば、当然そのような考えが浮かぶだろう。
今では死語になったが、江戸時代から終戦後数年くらいまで、日本には「村八分」という慣行があった。村落の中で掟や秩序を破った者に対して課せられる制裁で、十分(じゅうぶ)ある交際のうち、二分以外は付き合わないという集団制裁である。今風に言えば集団「シカト」だろう。自由に居住場所を移動出来ない江戸時代では、この「村八分」に遭うと、その村落で生活して行くことは非常に難しかった。
そういう厳しい掟のあった時代でも、葬式と火事(消火活動)の二分は別であった。日本は北朝鮮に【経済制裁】を課しているが、戦争状態にあるのではない。韓国と米国は板門店で休戦交渉をしているが、依然として戦争状態にある。その韓国ですら弔意を表明し、弔問団(金大中元大統領婦人など)を派遣した。金正日の死去に対し、日本政府は12月19日に一旦表明した「哀悼の意」を、21日になり取り消した。
産経によると、米国ホワイトハウスの発表に「哀悼の意」が無かったそうだ。また、拉致を指導した金正日に「哀悼の意」を表したことに、国内で批判があったそうだ。仮にそのような批判があったとしても、わざわざ記者会見で、「政府として哀悼の意を表す予定はない」と表明することはないだろう。馬鹿ではないか。相手がどう反応するかくらいは想像できるだろう。それとも米国を意識したのか?
相手は独裁国家ではあるが、儒教の国である。しかも後継者は金正日の三男で、まだ若く、急いで自分の権威を高めるには親の威光が必要なのである。その時、親の威光を貶めるようなことをされれば当然反発する。案の定「傷口に塩を塗るような振る舞いだ」と批判され、その上拉致問題については、「もはや存在しない」と言われた。これにより拉致被害者家族に、大きな落胆を与えたことは否めない事実だろう。
19日午後に、藤村官房長官が臨時に開催した記者会見の冒頭で、一旦示した「哀悼の意」を、なぜ撤回したのか。その理由を追跡・報道することこそ、真のジャーナリズムが行なうことだろう。人の命の尊厳などの概念が無かった江戸時代でも、「死」には配慮し「村八分」であった。それは生活の知恵だったのだろうが、そういう生活(外交)の知恵も、今の日本人(外務官僚)には無いのだろうか?
批判を懼れたのか。おそらく米国に配慮したのだろう。そのどちらかであろうが、野田内閣は拉致問題の解決を妨げることをした。外交能力ゼロである。キリスト教と儒教とは価値観が違う。そういうことを弁えて、対処する。それが政治家に求められることである。これで拉致問題解決への道がますます険しいものになった。
http://www.olivenews.net/news_30/newsdisp.php?m=0&i=1
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