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朝日新聞が、1月5日付紙面にて、イタリアの政治哲学者、アントニオ・ネグリ氏にロングインタビューした記事を掲載しました。日本における「新しい民主主義」の可能性について考えるとき、ネグリ氏は示唆に富む話題を提供しているように思います。
以下、朝日新聞から一部転載しました。
ネグリは「新しい民主主義」によってしか今日の世界的危機を脱することはできないという。それは何なのか。著書「マルチチュード」では、民主主義の「新しいモデルと方法」に言及し、「全員による全員の統治」を述べているが。
――「70億人が70億人を統治する」と? そんなことが、はたして可能ですか。
その問いは、まさに反動勢力から投げかけられたものです。問題はそんなことではない。いまの民主主義のやり方を根本から改革するかどうかです。労働、生産、金融、そして富の再配分を、多数の人が参加して、共にコントロールしていく。その仕組みを作っていくことです。
――その「コントロール」は、現在の政府が行うべきでは。
政府という統治組織には、人々の「参加」の度合いが足りません。いま、各国の政府が危機に陥っているのは、もはや政府が社会を代表するものとは言えなくなってしまったためです。国民全員で一つの政権を選び、その政権が政治的な方向を打ち出し、みんながそれについていく、そういう従来型の政治が十分に機能しなくなった、それが現在の民主主義の姿なのです。多くの国で立法府と行政府がにらみあったまま動けない状況が見られますね。大統領に権限を集中しているはずの米国ですら、そうです。
――日本もまさにその状態です。
私には、代議制や三権分立など、18世紀に生まれた民主主義のしくみが腐ってしまったように見えます。腐ったといっても汚職のことではありません。機能できなくなったのです。全般的な見直しが求められています。これは不可欠です。
――では、どういうシステムを考えていますか。
私は発明家でも予言者でも教祖でもありません。聞かれても難しい。私の仕事は、どこで、どういう形で、新しい民主的なシステムが生まれようとしているのか、見えている事柄を分析し研究することです。すでに世界各地で始まっています。ニューヨークの「ウォール街占拠」運動や、スペインの「怒れる者たち」の運動、あるいは北アフリカの「アラブの春」などを見ながら考えるわけです。誰かが設計したらできるというものではありません。私が言う「新しい民主主義」とは、世界の生きた経験の積み重ねの中から生まれてくるのです。ラテンアメリカで90年代半ばから活発化した新たな社会運動も参考になります。例えば、ブラジルの「土地なし農民運動」(MST)は、貧しい農民たちが遊休地を占拠し買い上げを国に求めた。土地所有の変革を進める大規模な運動です。政府はこれを受け入れ、彼らと開かれた関係を作り、地域の潜在的な力を引き出しました。政府が運動を抑圧しなかったことに注目してください。運動を開放したことで、新しいモデルやシステムを生み出したのです。これが大事です。大恐慌のあと、米国のルーズベルト大統領が労働者の権利保護を進めたように。
――世界で起きている新しい動きを「マルチチュード」と呼びました。いま挙げた彼らのことですか。
そうです。単なる大衆や群衆ではありません。独自性が大事です。不安定かもしれませんが、可動性にも柔軟性にも富んだ存在です。
――どうやって生み出していけばいいのでしょう。
この家の近くにカフェがあって、私は毎晩のように顔を出します。世界中のことについて話をするのです。あるいは世界のあちらこちらに行って、学生や市民を相手に講義をします。それぞれの人が、それぞれのやり方で表現し、動いていく。それがやがてマルチチュードを生み出していきます。先ほど述べた、世界の運動を見てください。様々な個人のまとまりによって形成されているのがわかるでしょう。今こそ広大な領域に及ぶ、新しい民主主義を考える時期です。20万人、30万人の規模で「自分たち」を組織し、自分たちで自分たちを直接、統治する。そういう時に来ています。まず、現状に対して「ノー」ということから始めたらどうでしょう。「ノー」ということこそ、最初にすべき、倫理的な行動です。
――ネットワーク状につながった、グローバルな秩序や権力として〈帝国〉を提示しました。それに対抗するのがマルチチュードです。この考えは今も有効ですか。
今も有効だと思っています。
(以下略、転載終了)
北半球の地球の裏側、イタリア・ベネチアから発せられたネグリ氏のことばの力に、私は圧倒されました。この世界が進むべき道筋を普遍的なレベルで語っているように感じたからです。ネグリ氏の立つ地平から眺めれば、「橋下・大阪維新の会」なんか、局所的反動に過ぎないことは明白だと思うしだいです。
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