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「野田首相はもっと経済を勉強せよ」(EJ第3213号)
http://electronic-journal.seesaa.net/article/244492002.html
2012年01月06日 Electronic Journal
国民の無知に付け込んでデタラメの経済理論で増税の必要性を
強調し、何が何でも消費税を上げる──まるで昔の悪代官そのも
の。野田首相は完全に財務省に洗脳され、増税を不退転の決意で
やり抜くことが自分の使命だと思い込んでいます。その程度の人
物なのです。菅なにがしと何も変わらないのです。
今のところ野党は反対の姿勢をとっていますが、自民党は最終
的には増税に合意すると考えています。なぜなら、自民党の谷垣
総裁は財務大臣を経験しており、既に洗脳されているからです。
増税法案を通すことを前提とする「話し合い解散」でしょう。し
かしここで増税が行われると、日本経済の致命傷になり、財政再
建どころか、歯止めのない増税地獄に陥ってしまいます。
私は頻繁に書店に通い、日本の経済状況を正確に掴んでいると
思われる識者の本を慎重に選んで読んでいます。それらの所説は
十分納得できるものが多いですが、そういう識者はテレビなどに
は登場しないのです。財務省がテレビ局に圧力をかけ、そういう
人をテレビに出さないようにしているのでしょう。
財務省は国のカネを握っているので広告の出稿などで、メディ
アに圧力をかけるぐらい何でもないのです。2〜3月前に出た政
府の増税キャンペーンの新聞一面広告などをちらつかせれば、メ
ディアはしたがいます。そのため、テレビに頻繁に出演し、新聞
や雑誌に所説をよく発表している識者は、ほとんど財務省の息が
かかっているといっても過言ではないでしょう。
そのよくテレビに出演する一人である土居丈朗慶応義塾大学教
授の言葉の中に次の一節があります。
―――――――――――――――――――――――――――――
(もし消費増税の野党との合意が)不調に終われば、市場の失
望につながり、長期金利の上昇を呼び込むリスクもある。
―――――――――――――――――――――――――――――
この中の「市場の失望」とは何でしょうか。
それは「増税が行われない」ことに対する失望であり、そんな
ことが起こると、日本国債はさらに格下げされ、長期金利が上昇
して国債価格が暴落し、財政が破綻(デフォルト)する──こう
いうことをいいたいのだと思います。
本当にそうなったでしょうか。ここから先は、経済評論家の三
橋貴明氏の所説を基にして書いていきます。
日本国債は米国債よりもさらに低い位置づけであり、日本国債
がデフォルトする確率は米国債よりも高いといわれています。し
かし、過去に何度か行われた日本国債の格下げでも、長期金利が
少し上昇すると、一斉に国債は買われ、わずかの間に長期金利は
今までよりも下がってしまうのです。
米国債の場合も同様です。2011年8月5日にS&Pが米国
債を最高ランクのAAAからAA+に引き下げたのですが、長期
金利はかえって低下しています。なぜ格下げされたかですが、米
政府の債務上限引き上げ問題をめぐる政治的ゴタゴタがあったか
らです。これを受けて日本のメディアの一部は、米国のデフォル
トにまで言及したところがあるのですが、暴落どころか長期金利
は低下しているのです。
なぜ、そんなことになるのかというと、これはごく当たり前の
ことなのです。ここに2002年に財務省がムーディィーズやS
&Pなどの格付け機関に対して出した意見書があります。そこに
は次のように書かれています。
―――――――――――――――――――――――――――――
日・米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えら
れない。 ──財務省「外国格付け会社宛意見書要旨」
―――――――――――――――――――――――――――――
なぜ、デフォルトなど考えられないかというと、国には「徴税
権」や「通貨発行権」があるからです。自国通貨建て国債価格が
下落し、長期金利が上昇した場合は、中央銀行がその国債の買い
取りを行えばよいだけの話だからです。
もちろん中央銀行による国債の買い取りを何回も行うと、イン
フレになるリスクはありますが、日本や米国など先進国の中央銀
行は、そういうリスクに陥らないよう適切な手を打つので、安全
であるといえます。まして日本はデフレなのです。
それにしても財務省は、国民には「国債暴落」や「財政破綻」
と脅すくせに、外部に対してはこのようなまともな意見書を出し
ているのです。経済に関する国民の無知に付け込んで煽っている
のです。現政府首脳も完全に騙されているといえます。
ここでひとつ覚えておくべき言葉があります。それは「ソブリ
ン債」という言葉です。ソブリン債とは、各国の政府関係機関が
発行し、保証している債券、つまり国債のことをいいます。ソブ
リン債は、国や政府関係機関の信用を引当てとしているため、と
くにOACD加盟国などのものは信用格付けが高く、したがって
利率が低いのです。
しかし、同じソブリン債でもギリシャ、ポルトガル、アイルラ
ンドの場合は、土居教授のいう通り、格付け機関が格下げするた
びに長期金利は上昇し、国債価格は下落して、危機が深刻化して
いったのです。しかし、土居教授は、日米のような先進国のソブ
リン債はそうなっていないという事実を十分知りながら、国民に
は「ギリシャのようになるぞ!」といっているのです。
かつて菅前首相が、2010年の参院選で「ギリシャのように
なってもいいのか」と絶叫していましたが、ものの見事に騙され
てしまっています。野田首相や安住財務相も同様です。責任ある
地位の人は、もう少し経済を勉強して欲しいものです。
しかし、日本の経済の状況が問題がないといっているのではな
いのです。大きな深刻な問題をかかえています。しかし、その問
題は、増税などして緊縮財政を行うと、さらに深刻な事態になっ
てしまうのです。問題の本質を知りながら、増税が解決策である
と思わせている財務省やそれに盲従する識者は「売国奴」といわ
れても仕方がないでしょう。 ── [財務省の正体/39]
≪画像および関連情報≫
●三橋貴明の「経済記事にはもうだまされない!」より
―――――――――――――――――――――――――――
米格付け会社のムーディーズ・インベスターズ・サービスは
2011年8月24日(菅内閣時)、日本国債の格付けを従
来の「Aa2」から「Aa3」に1段階引き下げたと発表し
た。政局の不安定化で財政赤字の削減が困難と判断したため
で、同社による日本国債の格下げは約9年3カ月ぶり。今回
の格下げは同社以外の大手格付け会社による格下げを誘発す
る懸念が強く、欧米に加え日本の財政不安が世界の金融市場
の混乱に拍車をかけるリスクもある。Aa3は21段階の格
付けのうち上から4番目で、中国などと同じ。欧米の大手格
付け会社が、東日本大震災後に日本国債を格下げするのは初
めてとなる。
http://www.gci-klug.jp/mitsuhashi/2011/09/07/013702.php
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