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消費税の引き上げについて
http://www.taro.org/2012/01/post-1140.php
2012年01月02日 23:07 河野太郎公式ブログ ごまめの歯ぎしり
消費税を引き上げても、その収入を何に使うのかが問題になる。消費税をただ、たらず米に充てるというのでは、意味がない。また、年金制度の改革もせず、消費税を引き上げても意味がない。
消費税を引き上げるならば、基礎年金の財源に充てるべきだ。
2011年3月末に国民年金の被保険者1938万人に対して、保険料の全額免除割合は551万人、28.4%。国民年金の対象者の4人に1人を超えている。
国民年金保険料の納付率は、対象者からこの28.4%の免除者を除いた人数を母数として計算される。
その国民年金の保険料納付率は、2011年8月末に、55.0%まで低下した。つまり、保険料の納付義務のある者全体の39.4%、5人に2人しか年金保険料を納めていない。
ちなみに、2010年度の納付率は59.3%だが、20代前半で49.2%、20代後半で46.6%、30代前半で50.9%。
保険料方式の基礎年金制度では、保険料の支払いを忘れる人、保険料を支払いたくないから支払わない人、保険料を支払いたくてもお金がなくて支払えない人等、必ず未納が発生する。
しかも、年金保険料の徴収に、年間650億円のコストがかかる。
さらに、保険料方式では、所得に関係なく一定の保険料を負担しなければならない。また、保険料を負担しない三号被保険者の問題もある。
ところが、未納者は無年金になるので年金財政に影響は少なく、厚労省年金局にとって未納は大きな問題ではないため、きちんとした対応が取られない。
しかし、無年金者の多くが生活保護を受けることになる。 生活保護を受けている65歳以上の単身高齢者世帯の生活扶助額は月額平均68,243円となり、満額の基礎年金額66,000円より多いのが現実。しかも、基礎年金は二分の一だけが公費負担だが、生活保護は全額が公費負担になり、財政を圧迫する。
まじめに年金保険料を支払った者は、保険料を支払わずに無年金になった者の生活保護の費用まで税金で負担していることになる。
夫婦で老後の生活に最低限必要な金額が月額132,000円という調査から、一人あたりの基礎年金66,000円という金額が設定された。しかし、現在、国民年金の平均給付額は53,000円しかない。
未納分は当然、年金が減額されるが、年金保険料を免除された期間も、年金金額が二分の一の公費負担分だけに減額される。保険料方式の基礎年金では、年金保険料の免除が必要なほど現役期間の所得が低いと、将来の年金金額が下がり、最低保障年金の役割を果たせなくなる。
現在、受給資格を得るためには、最低25年の年金保険料支払いが必要。無年金を防ぐと称して、受給資格を10年に短縮しても月額16,500円の年金が受給できるだけ。むしろ、それ以上の年金保険料を支払わないインセンティブになりかねない。
老後の最低保障のための基礎年金の財源を年金保険料でまかなおうとすると、未納や免除に対応できない。
つまり、年金保険料の支払いに応じて年金を給付する制度では、必ず未納や免除が生じ、基礎年金を満額支給できなくなる。そうすると、生活保護だけに頼る者や、減額された基礎年金の支給を受けながら生活保護も受給する者が生じる。
基礎年金を満額、必ず支払うためには、保険料の徴収をやめ、税で基礎年金を支払う必要がある。
消費税を基礎年金の財源とする方式であれば、買い物をするたびに必ず消費税を支払うので、未納や免除は生じないので、全ての日本人が65歳になれば満額の基礎年金を受け取ることができるようになる。高齢者の生活保護も廃止できる。
消費税ならば消費金額に応じて年金財源を負担することになり、現在の収入の多寡にかかわらず一律金額の保険料を徴収する方法よりも公平。
消費税方式の基礎年金ならば年金保険料徴収業務が不必要になり、現在、年間約650億円かかっているコストが不要になる。
消費税方式ならば年金受給者も消費税を負担するため、世代間格差の是正にもつながる。
専業主婦も消費税を負担するため、三号被保険者問題も解決する。
2010年10月1日(国勢調査)の65歳以上人口は2929万3000人。
年額79万2000円の基礎年金をその全員に満額支給すると、必要額は、23兆2000億円。
現在の消費税5%で消費税収10兆1990億円から試算して、23兆2000億円に必要な消費税率は、11.4%。
現在の消費税は、地方消費税1%分に地方交付税分を加えると消費税額の43.6%が地方収入分で、国の収入になるのは税率5%のうちの2.8%分。
地方収入分を現行水準で固定し、消費税の国税分を全額消費税に充てる場合、税率13.6%へ、8.6%の消費税率引き上げが必要。
消費税引き上げで基礎年金の財源を全てまかなうと、基礎年金の国庫負担分10兆5347億円(2010年度予算ベース)が不要になる。これは消費税換算して5.2%に相当する。
65歳以上の高齢者にかかる生活保護費、推計1兆4200億円も不要になる。
基礎年金に所得制限を設ければ消費税の引き上げ幅は小さくなる。
基礎年金の財源を消費税にすれば、現在の基礎年金保険料月額約15,000円は不要になる。
もし、消費税の引き上げ幅が8.6%なら、月の消費金額175,000円以下の者は、基礎年金保険料が無くなるメリットの方が大きく、基礎年金に所得制限をかけて消費税の引き上げ幅を5.0%に抑えれば、月の消費金額が300,000円以下の者は年金保険料が無くなるメリットの方が大きくなる。
消費税を引き上げて、基礎年金改革を断行すれば、これまでの基礎年金国庫負担二分の一に相当する10兆円が出てくる。これを年金以外の社会保障改革の財源に使うことができる。
年金制度は、今のままでは持続可能ではない。年金制度の改革をせずに消費税を引き上げるのは愚の骨頂だ。年金改革と消費税はそれこそ一体改革が必要だ。
また、野田内閣がやろうとしている厚生年金の適用拡大も国民年金との間で、おかしなことが起こる。
現在、厚生年金の年金保険料の標準月収は、98000円。この収入がなければ厚生年金には入れない。
しかし、これを引き下げれば、被用者で国民年金に加入している者を厚生年金に加入させることができる。国民年金加入者を職業別にみると一番多いのが、本来は厚生年金に入るべき被雇用者だ。だから標準月収の引き下げは、400万人に被用者保険適用拡大をうたう民主党政権にとって魅力的かもしれない。しかし、...。
現在の標準月収の下限98000円の場合の保険料は、労使合計で16084円。
この標準月収の下限を引き下げていくと、厚生年金の保険料が、国民年金保険料15020円より、安くなる。
基礎年金しかもらえない国民年金の保険料よりも安い保険料で、基礎年金と厚生年金の両方がもらえるようになるのは、公平なのだろうか。
社会保障の一体改革なしに、消費税だけとりあえずあげるというような改革は、社会保障制度不信につながる。
社会保障改革とプライマリーバランスと税の一体改革をきちんと国会で議論しよう。
自民党の一部が言っているような議論もしないという態度ももちろんダメだ。
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