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変化する年
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2012年1月 2日 01:42 田中良紹の「国会探検」
昨年は年初に「地殻変動の年」という一文を書いた。昨年の干支は「辛卯(かのとう)」で、生物が死滅し新たな世界が開かれる意味だった事と、中東各地で民衆が蜂起し磐石と思われた独裁体制が次々と倒れる情勢にあったからである。冷戦の終焉と同様の構造変化が起る事を予感して「地殻変動」という言葉を使った。
ところが3月に、文字通り東北の太平洋沖の海底で地殻が変動し、大地震と大津波が東日本を襲った。それにより東京電力福島第一原子力発電所が壊滅的打害を受け、日本は深刻な放射能汚染にさらされる事になった。我々は国家のエネルギー政策を根本から見直し、国の統治のあり方も見直さざるを得なくなった。
年末、世界で唯一「冷戦」が終焉していない朝鮮半島で独裁者が急死した。世襲による権力継承がどのような結果をもたらすかいまだ不明だが、チュニジアの独裁政権崩壊で始まった一年は北朝鮮の独裁者の死によって幕を閉じた。
今年の干支は「壬辰(みずのえたつ)」である。種が膨らみ生物が成長していく様を表す。私はそれを「変化する年」と捉えたい。明日を作るためには我々が捉われてきた常識を捨て、大胆に変化する事を恐れず、「失われた時代」から決然と脱却するのである。
今年は世界の指導者が交代の時期を迎える。いやでも世界は変化する。それをまず注目する必要がある。来週は台湾で総統選挙が行われる。与党国民党と野党民進党の一騎打ちだが、結果は中台関係に影響する。3月にはロシアで大統領選挙がある。プーチン氏の返り咲きが有力だが、昨年末の下院選挙不正疑惑がプーチン氏の権威を失墜させた。ロシア政治は安定から不安定へ向かっている。
4月にはフランス大統領選挙がある。ヨーロッパ経済危機の真っ只中での選挙だけにサルコジ大統領が再選されるかどうか予断を許さない。そしてアメリカでは今月から予備選挙が始まり、11月に大統領選挙が実施される。現職大統領が再選されるのが普通だが、景気がどうなるかで交代もありうる。12月には韓国と中国で指導者が交代する。不透明な北朝鮮情勢とアジアへの関与を強めるアメリカの戦略、これに両国がどう向き合うかは目が離せない。
そうした中で日本の政治は大震災と原子力事故からの再生を確固たるものにしなければならない。メディアは解散・総選挙が必至の情勢だと報じているが、本当だろうか? 「選挙モードに入るのか?」でも書いたが、私はその事に懐疑的である。日本の政治にそんな暇があるとは思えないからである。
ヨーロッパの経済危機は対岸の火事ではない。世界経済を牽引してきた中国がヨーロッパの影響を受けて失速すれば世界は深刻な不況に陥る。日本はその中で大震災からの復興の道筋を固めなければならない。その時に与野党が喧嘩をしている場合かというのが私の率直な意見である。
もっとも解散ムードを作り出したのは野田総理である。G20で消費税増税を国際公約したところから消費税政局が始まった。国際公約したというのは自分の首を賭けた事になる。3月に法案を国会に提出できなければ野田総理は国際社会から責任を問われる。なぜそこまでしたかの裏側には、単に財務省の差し金というだけではない、表に出ない事情が隠されていると私は見ているが、ともかくその事で民主党は二つに割れた。そして自公両党は「民主党の選挙公約違反」を理由に解散・総選挙を迫っている。
「選挙公約違反」と聞くと昔の社会党を思い出す。昔、社会党は消費税に反対ではなかった。ヨーロッパ型福祉国家を目標にしていたからヨーロッパ各国が採り入れている消費税に反対の筈はない。しかし世論は増税反対であった。すると社会党は「選挙公約違反」を理由に反対に回った。
中曽根総理が「大型間接税はやらない」と選挙公約した事を取り上げ、「選挙公約違反だ」と批判した。今回消費税を10%にすると先に言い出したのは自民党だから、総選挙になっても消費税増税の是非は争点にならない。もし「増税」が争点になれば、野田民主党と自公は同じ立場である。民主党の増税慎重派(反対ではない)とみんなの党、自民党内慎重派らがこれと対立する構図になる。
そうなれば自民党対民主党の構図は消え、政界再編が浮上するが、その時増税を掲げて選挙に臨む政治家がどれほどいるか、私は疑問である。自公が「選挙公約違反」を槍玉に挙げているのは増税ではなく民主党のマニフェスト違反を争点にしたいのである。それに民主党は乗るだろうか。
自公は一刻も早く政権に復帰したいから野田総理が国際公約を果たせなくなるよう追い込む。その時、野田総理が解散に打って出れば「殿ご乱心」である。昔なら身内に後ろからばっさりとやられた。日本復興に全力を挙げなければならない時に「やけっぱち」になるような総理は解散権を行使する前に辞めさせるしかない。5年前に国際公約を守れずに辞任した総理がいる。その安倍晋三氏は突然政権を投げ出した。自民党からばっさりやられたからである。野田総理もこのまま突き進めばそうなる。
そこで別の誰かが総理になり民主党政権は続く。野田総理と主張の異なる人物が総理になれば国民は政権交代が果たされたような気分になる。そのためにも民主党の中には主張の異なる二つの潮流が存在し対立する意味がある。小児病メディアは民主党の分裂をマイナスにしかみていないが、政治はそれほど単純でない。私には民主党より自民党のバラバラの方が気になる。谷垣総裁の求心力が野田総理を上回っているようには思えない。
野党が強くならなければ民主主義も強くならない。ところが今の自民党はまるで昔の社会党である。スキャンダル攻撃にしか力を発揮できない。強い野党の意味を勘違いしている。そんな野党では政権交代しても今度は自分がスキャンダル攻撃を受けるだけの話で不毛の政治が続く。批判するだけではない野党に生まれ変わらなければ強い野党にはなれないのである。
もっとも国民も政治を与野党の争いと見る見方から脱却すべきである。国民生活を守るために官僚権力と戦い、外国の権力と戦うのが政党政治の務めである。与野党の対立はそれら権力との戦いを有利に進めるために行なうもので、根っこでは国民主権の政治という立場で繋がっている。ところが日本の政党政治は戦うべき相手から分断され不毛の争いを続けているのである。大震災は不毛の争いから脱却するチャンスだった。だがそのチャンスが生かされていない。
不毛の争いよりも今年注目すべきは強制起訴された小沢一郎氏の裁判である。1月被告人質問、2月に証拠採用の決定、3月に求刑と弁論があり、4月に判決が下る。判決がどうであってもこの裁判の意味を国民は真剣に考えるべきである。検察が不起訴にした政治家を国民の手で強制起訴した事で政治がどのような影響を受けたかを噛み締めるべきである。
政治の見方に対するこれまでの常識を捨て去り、政党政治に力を与え、大震災からの復興に正面から立ち向かう政治を作り上げた時、日本は「失われた時代」から脱却できると私は思う。今年はそのように日本が変化する事を願っている。
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