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「民主の消費税案 首相は年末決着を次へ生かせ(12月30日付・読売社説)
◆関連法案提出では譲歩するな◆
財政健全化に向けた消費税率引き上げを巡る民主党の議論が29日深夜、ようやく決着した。
野田首相は、これを踏まえて早急に政府・与党としての「素案」をまとめ、自民、公明両党との協議入りを実現すべきだ。
野田首相は、党税制調査会・社会保障と税の一体改革調査会の合同総会に出席し、「この国の将来のために避けて通れないテーマに結論を出そう」と訴えた。
迷走してきた党の議論を収束させるため、首相自ら説得に乗り出したのは当然だが、むしろ遅過ぎたのではないか。
◆時期・税率明示は当然◆
改革実現には、数々の難関が待ち構えている。首相は党内外の反発にひるまず、財政再建へ指導力を発揮しなければならない。
焦点となったのは、消費税率を引き上げる時期と税率だ。
民主党案は「2014年4月に8%、15年10月に10%へ引き上げる」とする2段階とした。反対派の主張に配慮し、当初案よりそれぞれ半年遅らせたのは残念である。
だが、素案に具体的な時期と税率を明示することは最低限の条件だ。曖昧な決着を避けたことは評価したい。来年3月に関連法案を国会に提出することは譲歩してはならない。
消費税率引き上げの影響が大きい低所得者への対策としては、所得減税と現金給付を組み合わせ、支払った消費税を還付する「給付つき税額控除」を導入する。
低所得者の線引きは難しい。何より政府が正確に所得を把握することが必要だ。国民一人ひとりに番号を割り振る制度の創設など、公平性を確保する仕組みの導入も併せて急ぎたい。
欧米では、食料品など生活必需品や新聞・出版物の税率は低く抑えられている。この「軽減税率」もなお検討すべきである。
民主党案が、所得税や相続税などで富裕層に一層の税負担を求める方針を明記したのは問題だ。
高所得者狙い撃ちの課税強化は消費増税への批判をかわそうとする大衆迎合的な発想と言える。
所得税の最高税率を引き上げても、対象者は少なく、税収増も限られる。税収の源泉となる経済の活力を奪うことになりかねず、それでは本末転倒だろう。
消費税率引き上げには経済状況も見極める必要がある。「種々の経済指標を確認し、総合的に勘案する」として、景気弾力条項を設けたことは妥当だ。
経済成長率など数値目標の明記を求める意見も出たが、それは政策の柔軟性を縛ることになる。
◆野党体質からの脱皮を◆
民主党の意見集約の過程では、うんざりするような議論が延々と続いた。社会保障と税の一体改革については、8月の代表選で野田首相が明確に主張し、決着したはずだ。反対論を蒸し返す民主党議員たちの姿勢は、まるでだだっ子のようである。
「増税の前に行政改革をまず実現すべきだ」とはもっともらしいが、こうした主張で財政再建を先送りし、日本は先進国で最悪の水準の財政状況に陥った。
民主党は、税金の無駄遣いを根絶し、新しい財源を生み出すとしながら、これまで何ら成果を上げてこなかったではないか。国債依存度が過去最悪の49%にのぼる12年度当初予算案は、その証左と言えよう。
首相は、消費税率引き上げの前に、国会議員の定数削減に積極的に取り組み、公務員給与削減など行政改革にも「君子豹変
ひょうへん
す」の立場で臨むと強調した。その言葉を実行に移してもらいたい。
年明けに新党結成を目指すという若手議員9人が民主党を離党した。消費税の問題をはじめ、民主党が政権公約(マニフェスト)を反古
ほご
にしていると批判した。
だが、マニフェストは財源確保や実現性への考慮を欠き、明らかに破綻している。これを守れという主張に説得力は全くない。
◆集団離党は自己保身だ◆
離党議員の多くは、前回衆院選で民主党への追い風で当選した比例選出である。逆風が予想される今、離党するのは、衆院議員として生き残るための自己保身と見られても仕方あるまい。
与党議員としての自覚がなく、国政に対する見識も乏しい議員たちが政権党を離党するのは、かえって望ましいことである。
野田首相は、総会で「与党とは一番つらいテーマから逃げないことだ」と語った。その通りだ。社会保障と税の一体改革の与野党協議を実現し、断固として関連法案を成立させねばならない。
(2011年12月30日01時33分 読売新聞)」
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20111230-OYT1T00036.htm
野田首相の方針を擁護し、離党組を自己保身と切り捨てる。あまりにも予想通りの社説です。ひょっとして、ナベツネ氏が書いたのでしょうか?
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