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2011年12月28日 (水)
経産相の一時国有化要請報道で東電株売買停止か
枝野幸男経産相が東電社長と面会し、重大な申し入れを行ったと報じられている。
メディアの報道には大きなばらつきがある。
枝野幸男氏の発言の正確な情報がない。
しかし、内容によっては極めて重大な変化が生じる。
東京証券取引所業務規程第29条には、以下の規定がある。
(売買の停止)
第29条 当取引所は、次の各号に掲げる場合には、当取引所が定めるところにより、有価証券の売買を停止することができる。
(1)債券又は転換社債型新株予約権付社債券について抽選償還が行われる場合で、当取引所が必要があると認める場合
(2)有価証券又はその発行者等に関し、投資者の投資判断に重大な影響を与えるおそれがあると認められる情報が生じている場合で、当該情報の内容が不明確である場合又は当取引所が当該情報の内容を周知させる必要があると認める場合
(3)売買の状況に異常があると認める場合又はそのおそれがあると認める場合その他売買管理上売買を継続して行わせることが適当でないと認める場合
(4)売買システムの稼働に支障が生じた場合、有価証券の売買に係る当取引所の施設に支障が生じた場合等において売買を継続して行わせることが困難であると認める場合
(5)売買の取消しを行う可能性があることを周知させる必要があると認める場合
枝野幸男氏の発言に関する情報に関連して、東京証券取引所は、上記東証業務規程第29条の(2)に基いて、情報が正確に周知されるまで、東京電力株式の売買を一時停止するべきであると思われる。
本ブログおよびメールマガジンで再三指摘してきたが、「実質国有化」と「一時国有化」には天地の開きがある。
正しい日本語で表現すると、
「実質国有化」が「公的資金による救済」
であるのに対し、
「一時国有化」は「破たん処理」
ということになるからだ。
二つの言葉を巡る混乱が引き起こされているのは、小泉竹中政治時代に、一部のメディアが、両者に似た響きを持たせるために、ほぼ正反対の内容を持つ二つの事象を「実質国有化」と「一時国有化」という、区別のつきにくい言葉で表現したからであると思われる。
小泉竹中政権は、「退出すべき企業を市場から退出させる」、「大銀行といえども大きすぎるからつぶせないというルールは適用しない」と公言していた。
そのなかで、りそな銀行が、自己資本不足銀行に追い込む標的にされた。私は、りそな銀行の頭取が小泉竹中政治批判を示していたために、りそな銀行が自己資本不足に無理やり追い込まれたと確信しているが、そのりそな銀行が2003年5月に自己資本不足に追い込まれた。
小泉竹中政治の基本方針に従えば、りそな銀行を破たん処理する以外に選択肢はなかったはずだが、当時の状況下では、りそな銀行を破たん処理すれば、日本は金融恐慌に突入することが明からな情勢だった。
結局、竹中金融行政はりそな銀行を破たん処理せずに、公的資金で救済した。預金保険法には、第102条第1号措置という抜け穴条項が用意されていた。この抜け穴規定を適用するという手法が採られたのである。
しかし、そのために、りそな銀行の繰延税金資産3年計上を認めるという、あり得ない、変則的な対応が採られた。
この問題に深く関与した木村剛氏は、ネット上の2003年5月14日付コラムに「破たんする監査法人はどこか」と題する文書を発表し、りそな銀行の繰延税金資産計上がゼロまたは1年とされなければ、りそな銀行の監査を担当した監査法人を破綻させるべきだと主張していると理解できる強い意見を示した。
ところが、結果は、3年計上という、「あり得ない」ものだった。
最終措置は、「5年」計上とするか、「ゼロまたは1年」しかあり得なかった。「5年」計上であれば、りそな銀行は決算をクリアする。「ゼロまたは1年」計上の場合は、りそな銀行は破綻処理される。
竹中金融行政は人為的に「公的資金での救済」を選択したのだと考えられる。
完全犯罪を目論んだが、見事に、犯罪の痕跡を残してしまった推理小説の謎解きのカギにも喩えることができる。
詳細は、拙著『日本の独立』等をご高覧賜りたいが、要するに、りそな銀行は公的資金で救済された。
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しかし、「改革」を唱え、「退出すべきは退出」と公言し、「大きすぎるからつぶせない原理は採らない」と明言してきた小泉竹中政治が、最後の最後に「公的資金で救済」では、面目丸つぶれだ。
小泉竹中政権を全面支援したのが日本経済新聞である。
小泉純一郎氏が総理に就任する1年半前に、私を小泉氏に引き合わせたのも日経新聞幹部である。小泉氏と極めて親しい杉田亮毅氏が小泉氏のために勉強会をセットし、その講師として私は小泉氏に1.5時間のレクチャーをした。
杉田氏はその後、日経新聞の社長に就任し、前任の鶴田社長を日経新聞から締め出し、杉田王国を形成した。これが2003年のことである。私の観察では、2003年以降、日経新聞は実質的に小泉新報と化していった。
この日経新聞が2003年5月17日土曜日朝刊で、りそな銀行実質国有化を1面トップで報じた。
日経新聞は、その後、繰延税金資産の3年計上についても、経営健全化計画の期間が3年だから、3年認めることはあり得る選択だったなどの援護射撃をしたが、3年計上が公的資金で救済できる条件を満たすために、逆算で提示されたことは、誰の目にも明らかである。
りそな銀行は公的資金で救済された。なんと、2兆円もの公的資金が注ぎ込まれたのである。
「破たん処理」と「公的資金による救済」との間にどれほどの違いがあるのか。一番分かり易いのは、株価への影響だ。破たん処理の場合には、株価はいったんゼロになる。株主が出資責任を問われる。
公的資金による救済の場合には、株価は暴騰するだろう。株主は責任を問われるどころか、国から利益供与を受けるわけだ。
枝野氏は12月27日、東電の西沢社長と面会し、東電の一時国有化受け入れを迫ったと報道されている。
グーグルニュースの一覧では、
時事通信社、産経新聞、テレビ朝日、日本テレビが「一時国有化」ないし「国有化」の表現を用いている。
これに対し、共同通信社、読売新聞、朝日新聞、日経新聞、ロイター、ブルームバーグなどが、「実質国有化」あるいは、「一時的な公的管理」などの表現を使っている。
繰り返すが、実質国有化と一時国有化との間には、天と地の開きがある。
所管大臣である経産相が「一時国有化」を受け入れることを要請したということなら、これは、
「東電 一時国有化へ」
ということになり、巨大ニュースになる。東電株価はゼロに向かうということになるから、東証業務規程第29条に該当する可能性が高いということになるのだ。
・・・・・
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