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2週前の本欄で、税の基本は「国家による所得の再配分」であるから、所得の多い人の税負担が所得の少ない人より重くて当然だと説いた。そして、この税の基本を知らないタレントなどをテレビに出演させて、「消費税は誰もが負担するから公平だ」とか、「消費金額に応じて負担するから公平だ」と言わせ、消費税の逆進性を隠し、消費税増税のキャンペーンを行なっていると述べた。
所得の多い人は、少ない人よりは購買力が高いから消費金額は多くなる。当然、より多くの消費税を負担する。処が前回にも述べたように、財務省の試算によると、年収146万円の人は消費税負担が収入の3.7%なのに対し、年収2135万円の人は1.4%に過ぎないという。このように収入の少ない人が倍以上の消費税負担率となることを指して、「消費税の逆進性」と言う。
日本の消費税に近い付加価値税を導入している欧米諸国では、この逆進性を緩和する措置を講じている。その緩和策は大きく分けて二つある。一つは低所得者に現金を還付する「給付つき税額控除」。そして今一つは、食品や生活必需品にかかる税率を低くするか、ゼロにする「軽減税率」である。「給付つき税額控除」については、いずれ稿を改めて述べるとし、今回は「軽減税率」について考えてみる。
「軽減税率」は、付加価値税率が約20%の欧州諸国では軒並みに採用されている。例えばイギリスの標準税率は20%だが、食料品、書籍・新聞、医薬品はゼロ%。ドイツは標準税率19%で、食料品や書籍は7%、住宅購入は非課税である。子育てを重視し、子ども用品が非課税という国もある。また、新聞・書籍への課税軽減は、過去印刷物に課税し、出版規制(=言論規制)の働きをした反省によるものだそうだ。
政府税調や財務省は、数年前まではこの軽減税率には触れずして、日本の消費税率は欧米に比べて低いと言っていた。だが、多くの海外居住経験者がその「嘘」をネットで告発し、今では誰もがこれを知るようになった。そうなると今度は、この制度の些細な欠点を大きく取り上げ、マスコミに書かせている。その典型的な例が、ハンバーガー店でのテークアウトだと軽減課税で、店内で食べると標準課税という話である。
これだけではない。複数の税率が混在すると、納税する小売業者が困る。軽減税率を適用される物品・サービスを巡り、政治的な駆け引きや癒着が生まれる。などなどとマスコミ論調は軽減税率に否定的であった。しかし、困るのは業者ではなく、徴税事務が繁多になる役人である。線引きをするのは政治そのものであるが、業者と癒着するのは施行令や通達を書く財務官僚たちの方である。
このように財務省のプロパガンダをしていたマスコミ・新聞が、軽減税率導入により複数税率の可能性が出て来た途端、新聞への課税は知識課税になると主張し始めた。個人情報保護法の時と同様に、マスコミは自分達の権益に関することになると、いろいろと理屈を並べて既得権を守ろうとする。今回も同じだ。数年前までは軽減税率を無視、昨日までは些細な欠点を並べていたのが、今日は手の平を返した主張をする。
上述のように印刷物に課税し、出版規制の働きをした歴史がある国は、「知識には課税しない」との立法精神があるだろう。子育てを優先する政府なら子ども用品には課税しないとなる。国によって課税軽減対象は異なって当然である。では、日本の新聞は軽減対象となり得るかだ。外国が軽減税率だから、日本もそうだは通らない。新聞は文化だと言うなら、音楽(CD)も映画も文化である。
確かにイギリスでは新聞・書籍の付加価値税率はゼロだし、フランスでは食料品よりも低い税率であるのは事実だ。それはイギリスやフランスの新聞が、真のジャーナリズムだと国民から信頼されているからだ。日本のように記者クラブがあり、政府官僚の広報誌である現状では、軽減税率の対象にするなどもってのほかである。クロスオーナーシップが禁止されておれば、当然テレビ側は批判するはずだ。
最後に蛇足になるが、筆者は軽減税率が導入されるなら消費税増税に賛成だと言っているのではない。今後、消費税増税の是非が議論される時に、「消費税は公平だ」と言う「嘘」に誤魔化されないようにとの思いで書いている。また、今回新聞への課税を取り上げたのは、マスコミが自分たちの権益を守ることには熱心だが、国民全体の利益を蔑ろにしていることを分って貰いたいためである。
http://www.olivenews.net/news_30/newsdisp.php?m=0&i=1
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