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毎年赤字国債を発行している。確かに財政が健全だとは言えない。ならばどうする。歳入を増やし、歳出を減らすしかない。産油国のように国有の収入源を持つ国は別として、歳入を増やすには「増税」しかない。また、歳出を減らすには予算編成の根源を見直すしかない。09年8月の総選挙で、民主党は「増税の前にやるべきことがある」と言って、歳出のムダ削減をやるとの方針を示した。だから国民は支持した。
政権交代直後の09年11月には、「事業仕分け」という見事なパフォーマンスを演じたが、いつの間にか「増税の前にやるべきこと」を放棄したようだ。代わりに出て来たのが、09年の総選挙で反民主党マニフェストを掲げた与謝野氏(当時自民党)が、菅内閣に入閣して掲げた「税と社会保障の一体改革」という看板の増税論議だ。そこには総選挙で掲げた「国民の生活が第一」も「共生社会」の理念も全くない。
この「税と社会保障の一体改革」なるものは、09年の総選挙で民主党のマニフェストには無かった。それが今や、野田内閣にとって最大の政治課題なのだそうだ。野田首相は「誰が政権を持っていてもやらざるを得ない改革」と宣まわった。そして民主党「社会保障と税の一体改革調査会」は16日、一体改革大綱素案のうち「社会保障制度改革」の政府原案を一部修正し、最終案としてとりまとめた。
さらに同調査会は来週から消費税増税の議論を始めるそうだ。だがちょっと待てよ。今、やるべき「一体改革」は、「税と【歳出削減】の一体改革」ではないのか。議員定数削減、公務員給与の2割削減、天下り禁止。この3点セットが「増税の前にやるべきこと」ではなかったのか。議員定数の削減による歳出削減額は、大きな金額ではないが、これは歳出削減の「象徴」である。それが第一だろう。
先ずは「塊より始めよ」で、国会議員が自らの血を流すことから始めないと、公務員の給与削減も天下りの禁止も出来る訳がない。人事院勧告で、3年連続して国家公務員の給与が引き下げられたと言っても、その合計は1%にも満たない。7.8%の給与引き下げ特例法案も時限立法で、14年には元に戻る。また、天下り先に流れている12兆円を減額する公約はどうなったのか、それも全く見えなくなった。
国民が忘れっぽいのか、それともマスコミ情報に流されているのか、消費税増税に反対する政治家や経済評論家に対し、問題の先送りだと批判する者がいる。特に政治家が反対すると選挙対策だと誹謗する。国債や地方債を含む借金が1千兆円に達するのだから、待ったなしだと言うのが、その理由である。だがその批判には、幾ら増税しても【底の抜けた桶に水を入れる】のと同じだという認識が全くない。
バブル経済であったとは言え、道路特定財源であったガソリン税など約5〜6兆円を除いても、60兆円の税収があった。それが今は、定率減税の廃止による3兆円の増税と、一般財源化したガソリン税を含めても40兆円の税収しかない。この税収の大幅な落ち込みのトリガーは97年の消費税増税であった。だから橋本元首相は、このことを悔やんで「大蔵官僚に騙された」と死ぬまで言っていたのだ。
この税収の落ち込みの主因はデフレ経済に拠るものだと言って過言ではないだろう。だから心ある政治家は、消費税増税の前にやることがあると言う。その一つは上述の3点セットであるが、今一つは日本経済(デフレ経済)の立て直しだ。歳入増を図るのに、政治家は税収の自然増、即ち景気回復を第一とするが、財務官僚は【増税だけに】頼ろうとする。こが政治家と財務官僚の最大の違いである。
処で16日の民主党「社会保障と税の一体改革調査会」では、年金の特例水準を来年から3年間で解消することを決めた。01年にこの特例水準を設けた当時の自民党政権は、景気が回復すればこの水準に復するとの政治的判断をした。つまり、脱デフレ政治を志向していた。だが民主党のこの決定は、ここ数年間はデフレ経済が継続することを黙認したことを意味する。即ち、景気対策から逃げると言うことだ。
国家財政が赤字だから増税する。これで済むなら政治家は要らない。増税して財政再建を成し遂げた国は古今東西ないと云う事実。デフレ経済を加速させた小泉似非構造改革*の問題点。そして今は、東日本大震災という不幸が、日本経済にとって大きなチャンスであるとの認識。これらを総合的に判断して、政策を練る。それが政治家のすることだ。財務官僚が操る野田内閣にそれを期待することは難しいようである。
*注:聖域なき改革と言いながら行政改革に手を着けなかった。改革に痛みが伴うと言って、定率減税(3兆円)の廃止と保険医療費の自己負担比率を2割から3割と実に50%も増やした。その結果、増税による税収増よりも税収の自然減が大きいという事実が明らかになっている。
http://www.olivenews.net/news_30/newsdisp.php?m=0&i=12
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