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アメリカ上下両院は12日、両院協議会で、12会計年度の国防予算から、在沖縄のアメリカ軍海兵隊のグアム移転経費を全額削除することで合意した。この約120億円の予算を要求したのはオバマ大統領である。野党の共和党が多数を占める下院はグアム移転は日本との約束だとして、政府の要求を認めていた。処が、与党・民主党が多数を占める上院が反対し、両院で意見の調整をした結果こうなった。
その削除の理由は、海兵隊移転の前提となる普天間飛行場の移設実現の目途が立っていないことだそうだ。普天間移設の目途と絡めていることから見て、明らかに野田内閣と言うか、日本に対する圧力以外の何ものでもない。今日の本題は、米軍の沖縄基地のグアム移転ではなく、TPP問題であるが、その前にアメリカと言う国を理解する上に良い例だとして、このホットニュースを取り上げた。
日本がTPP交渉に参加方針を示したことを受け、アメリカ通商代表部(USTR)は今月6日、アメリカ国内の業界団体などからの意見を募集すると発表した。意見募集の理由について、農業やサービス、製品などの貿易障壁に関し「日本特有の問題を評価するため」と説明している。つまり日本の非関税障壁を纏めると言うことだ。アメリカ政府のやることは早いし、戦略的だとは思わないか。
そのアメリカと日本の事前協議は、来年1月に開始される。それに向け、アメリカは着々と手を打っている。野田首相がAPECで交渉参加を表明した直後の11月17日には、早速、極秘裏にUSTR次席代表マランティス氏が来日し、外務省・経済産業省高官とTPPについて協議していた。(注:政府はマランティス氏の来日の事実を伏せていたが、米国の報道によって明らかになり、外務省もその事実を認めた。)
それに対し日本政府は、今月13日になって初めて「TPPの交渉参加に向けた関係国との協議に関する関係閣僚会合」を開いたのだ。アメリカを皮切りに参加9ヶ国との対外交渉を仕切る「政府代表」はまだ決まっていない。一方国会は、国会閉会中の集中審議を行なわないことを決めた。政府も国会も、民意を問うことなど全く考えていないようである。ましてや反対派の意見を汲み取ることなど念頭に無いようだ。
野田首相のTPP交渉参加表明の直後、USTRカーク代表は、米国産牛肉と自動車の市場開放、日本郵政のかんぽ生命保険の見直しの3つを具体例として挙げた。TPP反対派が、米国の狙いはこの程度のものではないと、ピリピリしていたのに対し、推進派は予想された範囲だとのんびりと構えていた。その一つに自動車業界がある。そして今、マスコミは報じないが、彼らは「想定外」の脅威に遭い狼狽している。
マランティス氏の来日により、アメリカが求める「日本の自動車市場開放」が、単に自動車の販売台数を増やす施策を求めることでは無かった。表向きのアメリカの要求は「自動車の技術基準ガイドラインの透明性を高めること」となっている。加えて、米国の自動車メーカーがその技術を取り入れた自動車を「迅速かつ負担のない形で」日本の消費者に提供できるようにとなっている。
この要求は、ガソリン車の「技術基準ガイドライン」が不透明なので、アメリカ車を日本に輸出できないと言っているのではない。日本が先行するハイブリッド車や燃料電池自動車に係る安全機能などについて、その技術を「負担の無い形」、即ち、無償無条件でアメリカに提供しろと言っているのである。だが、この重大な情報を日本のマスコミはほとんど報道していないのだ。(注:毎日新聞は解説記事の最後に数行)
野田首相は「国益を損ねてまで交渉に参加しない」と宣まわった。しかも国内には国益を損ねるとして、TPP反対の声があることは百も承知のはずだ。処が、TPP=貿易自由化だと勘違いして、国益を守る戦略的思考がないから、自動車業界のように「期待」が一転して「脅威」に変わることになる。反対派が危惧する問題点は、国益を損ねることばかりである。これに対応する戦略的思考が無いのが実情だろう。
ハワイでTPP交渉参加を表明した野田首相。70年前に彼我の国力の差を考えることもなく太平洋戦争に突入した軍人官僚とダブって見える。先ずは真珠湾を攻撃しアメリカに打撃を与えれば、後はなんとかなるだろうと同じ思考である。アメリカという国は上述のように戦略的な取り組みをする。野田首相からは、そのような戦略的思考は全く窺えない。だからTPPは第三の開国どころか、「第二の敗戦」への道に見える。さしずめ自動車業界はミッドウエイで打撃を受けた連合艦隊のようである。
http://www.olivenews.net/news_30/newsdisp.php?m=0&i=12
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