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先週5日野田首相が、政府・与党幹部で構成する「社会保障改革本部」に対し、消費税増税の時期や引き上げ幅を盛り込んだ税と社会保障の一体改革の「素案」を、年内をめどにまとめるように指示した。野田首相は、消費税増税に「不退転の決意」で臨むそうである。これを受けテレビなどでは消費税増税の是非について、タレントなどと共に、一般市民向けの解説がなされている。
そういう番組の基本スタンスは、「消費税は誰もが負担するから公平だ」「消費金額に応じて負担するから公平だ」と言う一方、「所得の低い人には負担が重くなる」とその逆進性を言う。そして無知なテレビタレントに「消費税は公平だから良い」と言わせ、消費税増税キャンペーンをしている。このようなテレビ番組の影響を受けてだろうか、次のような消費税は公平だと思い込んだ意見がある。
ヤフーの質問箱からの引用になるが、「消費税が公平性という面では一番良い方法と思います。所得が多い人は高級車や良い食材買うし、低い人は中古や閉店間際の半額品を買うなど、所得の大小が消費の大小に比例しているのが現実ですので、自動的にお金持ちから税金が取れると思います」と言う。所得と消費が数学的に比例することはあり得ないのだが、それに気付かないから逆進性が理解できないのだろう。
今、ここに「あめ玉」が10個ある。このあめ玉を壊すことなく公平に分けようとした。三人なら公平に分けることができるが、二人だと公平に分けることができない。こう書くと、誰もが馬鹿なことを言うと思うだろう。だが10個の「あめ玉」のうち5個は1個の重さが20グラム、5個は10グラムだと、総重量は150グラムとなり、三人なら壊すことなく公平に分けることができるが、二人ならできないだろう。
ここで何が言いたいのか。それは「公平」という概念は、その条件によって全く異なると言うことだ。課税の基本三原則とは、国民が税負担に対して不公平感を抱かない「公平性」、企業の経済活動や個人の購買意欲に悪影響を与えない「中立性」、税制(徴税と使途)に透明性があり納税額の計算ができる「簡素性」だと言われる。だがその「公平性」についての定義は、決して定かではないということだ。
そもそも「税とは何か」である。マグナカルタ*の昔より徴税者は納税者に対し義務を負っている。封建領主は民の安全を守るために兵を養った。その費用を負担するのが「税」であった。当然守って貰う財産の多い者が、より多くの税を負担した。これが「税」の本質なのである。税とは国家による「所得の再配分」だとも言われるが、所得の多い者が、より多く税を負担するのは合理的であり歴史的な理由があるのだ。
今、増大する社会保障費の財源に充当するための消費税増税だと言う。確かに財源論から言えば尤もらしい話である。だが、税による「所得の再配分」との観点から見ると、おかしなことになる。財務省の試算によると、年収146万円の人は消費税負担が収入の3.7%なのに対し、年収2135万円の人は1.4%に過ぎないという。収入の少ない人が倍以上の税負担率となる。消費税の逆進性を示すデータである。
この逆進性のデータを踏まえて、経済評論家の森永卓郎氏は「社会保障の財源を消費税に頼るというのは、どういうことを意味するのか。それは、金持ちの負担率が庶民の半分以下で済むということである。さらにいえば、金持ちがこれからの高齢化社会のコストを、庶民の半分以下しか担わないということになる。これは本来の社会保障の思想とは相反するものだ」と言う。次にこれをもっと分り易く言う。
社会保障制度が全くないとなればどうなるか。生活困難者が世に溢れることになる。その数が増えると昔の米騒動と同じく、暴徒化して商店街を襲撃するだけではなく、一般家庭から資産家を襲うことになるだろう。「国による所得の再配分」とは、こういう事態を避けるために、社会保障制度によって高額所得者層から高い税金を徴収して生活の苦しい低所得者層に公的扶助を提供するということなのである。
中世封建時代と現代では、もちろん「税」に対する考え方が変化しているのは事実であるが、その本質は変わらない。その税に基づく「国による所得の再配分」の本質も同じく変わらない。「税と社会保障制度の一体改革」とに関連して、消費税増税を考える時、「公平」という一見尤もらしい言葉に惑わされてはならない。財務官僚は取りやすい所から「税」を取ることしか頭にない。これは決して政治とは言わない。
*注:大憲章と訳す。1215年イングランドのジョン王が、フランスとの戦いに敗れ領土を失った上に増税を目論んだことにより、貴族の怒りが爆発し王の権限を制限した。徴税者の義務を示めす。「法の支配」の原型、近代民主主義の原点でもある。
http://www.olivenews.net/news_30/newsdisp.php?n=120220
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