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9日金曜日に臨時国会が閉会した。その閉会直前に参院で一川防衛相と山岡消費者相の問責決議案を可決した。この二人の問責決議案が採決されるとの見通しから、その後の国会運営が難しいとして、臨時国会の会期延長をしなかったのだと、マスコミは報じている。このため、この臨時国会で採決される予定であった国家公務員の給与引き下げ特例法案や郵政改革法案など、幾つかの重要法案が先送りされた。
1年前のデジャブを見る感じである。昨年11月、菅内閣で仙谷官房長官と馬淵国交相の問責決議が可決された後、通常国会の開催前にこの二人の大臣を更迭した。おそらく来年の通常国会を前に、野田首相はこの二人の更迭を含むミニ内閣改造を行なうことになるだろう。野田首相が、問責決議には法的な拘束力が無いとして、二人を更迭せずに通常国会を乗り切る。それだけの政治的力量があるとは思えないからだ。
それにしても自民党は、一昔前の社会党以上に野党化した。豚が野生化してイノシシ以上に凶暴になったと書いたら、豚からクレームがつくだろう。一川氏の就任時の発言も決して感心したものではないが、それほど重大な失言だとは思わない。自民党の石破政調会長が、元防衛相の肩書をひけらかして、「閣僚解任に値する」などと大騒ぎし、それをマスコミが煽ったから、中国など外国にまで知られてしまったのだ。
防衛相として、沖縄県民を愚弄(ぐろう)する発言をした前沖縄防衛局長への監督責任はある。だが、84年に防衛施設庁に入省した前局長が育ったのは、自民党政権時代である。自民党政権は沖縄の民意を軽視して、辺野古移転を「カネ」で解決しようとするような政治手法をとっていた。彼の発言はそのような環境の中で育まれたから出て来たものだ。発言の根源は永年にわたる自民党政治の沖縄の民意蔑視にある。
山岡氏への問責理由は「マルチ商法への関わりだけでなく、数多くの疑惑が取り上げられているが、十分な説明を果たしていない」となっている。マルチ商法の業者から野党時代に受け取った45万円の献金が国会で問題になったが、氏が消費者相になる前に返却している。自民党最後の麻生政権の時にも、与謝野経済財政担当大臣が、商品先物取引企業からの数百万円の献金問題をスルーしていて、何を言うかである。
自民党は「社会党以上に野党化した」、「イノシシ以上に野生化した」と言うのは、一川・山岡の両氏を庇うためではない。社会党には政権担当経験はなかった。だから「何でも反対する」と批判されても政権と対峙し、自民党の利権や疑惑を追及した。だが自民党は政権党として50年以上にわたり、数々の疑惑を国会で追及されても、数の力でねじ伏せた「太った豚」であった。痩せたソクラテスではなかったのだ。
太った豚が野に下り野生化した。何でも反対に加えて、衆参ねじれ現象で「かわいそうなくらい云々」と言った元首相の恨みを晴らすつもりなのか、他の野党と組んで、参院での問責決議の連発である。同調する他の野党も情けないが、自民党は大きな勘違いをしている。仮に自民党が次の総選挙で衆院第一党になっても、参院第一党は民主党である。今が、ねじれ国会のルールを作る最大の機会だが、その理性もない。
一方の民主党だが、衆参ねじれ現象を起こした参院選敗北の責任者が、責任を取らずに引き続き内閣や党の要職を占めている。特に菅前首相は、責任を取らないだけではなく、小泉亜流の党内対立で政権浮揚を図る馬鹿をした。しかも政治主導を放棄し、311以降の迷走は目を覆う様(ざま)であった。その菅内閣以上に財務省の操り人形なのが野田内閣である。多くの国民が民主党を見放すはずである。
この民主党と自民党の姿を見て、多くの国民は政治に失望した。そう言っても大きな間違いではないだろう。そして今一つ国民を政治から遠ざけたのがマスコミの報道姿勢である。野田内閣は重要法案の成立に汗を流さず幕を引いた。マスコミはそれを全く批判しない。そう追い込んだ自民党ともども、マスコミは野田内閣を批判すべきなのだ。それをしないマスコミは、真のジャーナリズムではないと言うことだ。
野田内閣が幕を引いた結果何があったか。このご時勢に、国家公務員の年末ボーナスが4.1%増という信じられないことが起きているのだ。問責決議騒動で国会の会期延長がなくなって、政治が停滞している。それを一番喜んでいるのは、腹の中で国会議員を馬鹿にして笑っている公務員たちだろう。そして、多くの国民が政治から離れていくことになる。心ある人は、政治をウォッチし続けて欲しいものである。
http://www.olivenews.net/news_30/newsdisp.php?m=0&i=12
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