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●「日銀の赤字決算──どこが問題か」(EJ第3197号)
2011年12月08日 :{Electronic Journal}
11月28日に日銀は、2011年(平成23年)9月の上半期決算は、最終損益に当たる当期剰余金が1362億円の赤字になったと発表しています。これによって、上半期は3年連続の赤字ということになります。
この日銀の赤字決算については、次の2つの点に注目する必要があります。
1.外国為替関係の損失額が3904億円
2.上場投資信託の評価損が 442億円
1については、歴史的な円高が背景にあります。その責任は日銀にあると思います。しかし、白川総裁の発表を聞いていると、現在の円高の責任は日銀とは無関係と考えているのではないかと思えるのです。
原因は日銀の金融緩和不足にあります。別に難しい話ではないのです。小学生でもわかることです。リーマンショックを契機として、世界中が金融緩和をして通貨量を増やしているときに日銀だけが通貨を増やさなければ、相対的に円高になるのは当たり前です。この日銀無策の結果が3904億円の外国為替関係の損失を生んだのです。なぜ、日銀は金融緩和を躊躇うのでしょうか。
これについては改め述べることにします。
2の上場投資信託とは何でしょうか。
上場投資信託とは、証券取引所に上場されて取引される投資信託で、ETFといわれています。ETFは次の略語です。
ETF ・・ Exchange-Traded Fund
何のために、日銀はETFを買っているのでしょうか。
結論からいうと、株価を買い支えるためであると思われます。
というのは、ETFは、「株価指数連動型上場投資信託」といって、東証株価指数(TOPIX)や日経平均株価などの株価指数や金などの商品価格に連動した値動きをするのです。
例えば、午前にTOPIXが1%超下落したとします。そうすると、午後に日銀が動いて買うと、相場が反発するというわけで当初はそれなりに効果があったようです。
しかし、この日銀のパターンが「1%ルール」として知られるようになると、効果が薄れてきています。ETF購入は、これまでに41回実施しており、8000億円近くを買い入れているのですが、年末までに枠として1兆4000億円を用意しているので、現在も継続中です。
最近の効果はどうでしょうか。2011年4月〜8月にETF購入があったのは14回であり、そのうち午後に相場が反発したのは10回です。70%ぐらいの確率です。しかし、9月以降になると、14回中4回と30%台まで下がっています。
もともとETF購入は異例の政策なのです。為替と株価は連動しており、円高をそのままにしてこのようなことをやっても効果は薄いと考えられます。本来なら国債を買うべきなのです。その方が正統であり、国債の買いオペをやって十分な金融緩和をすれば、日銀の赤字問題などあり得ない
──このように高橋洋一氏はいうのです。高橋氏は次のように述べています。
通貨の相対量で円ドルの9割が説明できれば、これまでのデータからドルの供給量が変わらないとして円を30兆円程度増やせば5円程度は円安にできることがわかる。
──高橋洋一著
「2011『日本』の解き方」/371
2011年8月5日付、夕刊フジ
一般の人にはわかりにくいが、どうやら日銀のやっていることは他の先進国とは違うらしいのです。違うのは別にわるいことではありませんが、日本はこの20年間ずっとデフレであり、日本経済の状況は一人負けをしているのです。
ОECD加盟30ヶ国の国民1人当たりのGDP比較のデータによると、日本は2000年には3位であったのに、2007年には実に27位まで後退しているのです。その後円高によって少し持ち直したものの、経済は一向に好転していないのです。
金融政策を行うのは中央銀行の役割であるのに、日銀は世界とは正反対の政策を行い、デフレから脱却できないでいます。これでは日銀は無策といわれても仕方がないと思います。どうやら、日銀総裁の白川方明氏はデフレについて独特の考え方を持っているようで、現在の日本のデフレは、日銀では解決できないと考えているようです。
90年代末以降における緩やかながらも長期に亘るデフレ傾向は、短期・循環的な要因だけでは説明ができません。より根源的な原因は、日本経済の成長力の趨勢的な低下傾向にあると判断しています。成長率が長期に亘って低下する状況の下では、人々の所得増加期待は低下し、企業や家計の支出活動が抑制されてしまうため、物価下落圧力が続きます。
──白川方明氏
高橋洋一著『財務省の隠す650兆円の国民資産』/講談社刊
金融政策のかぎを握る日銀の白川総裁が「わからん!」といっているようではとても日本はデフレから脱却できないはずです。
高橋洋一氏によると、日銀は2000年以降、物価上昇率をマイナス1〜0%になるよう見事にコントロールしており、「デフレターゲット政策」を実施しているといっています。
まさにその通りです。デフレから脱却しないように、かといって、ひどいデフレにならぬようコントロールし、日本の不況を維持してきています。
「デフレでも問題ではない」──とんでもない中央銀行総裁です。
── [財務省の正体/23]
日銀ができることには限界があると述べ、ぜい弱な個人消費や企業投資にはマネーサプライ(通貨供給量)だけでなく、日本の人口減少が大きくかかわっており、前者は日銀が統制できるが、後者はその範囲外であるとした。「一面だけを捉えた批判があることに失意を感じる」。白川総裁は、順序どおり丁寧に並べられたメモを傍らに、自らのオフィス近くの会議室で長時間に及ぶインタビューに応じてこう答えた。
≪画像および関連情報≫
●白川日銀総裁/日銀批判に反論/2011.3.1
【東京】日本銀行は長い間、瀕死(ひんし)の状態にある日本経済への対応が不十分だとして非難されてきた。その日銀が今反撃に出ている。細身の学者風の風ぼうをした日銀の白川方明総裁はこのところ、同氏を批判してきた向きが驚くような断固たる反論が目立つ。
その趣旨は、次のようなものだ。
日銀は、デフレ対策として革新的な金融政策を他に先駆けて実施してきたが、それが正しく理解されていない。現在他の主要中央銀行が試している、ゼロ金利政策や積極的な債券買い入れ策などがそうだ。今後も、従来の枠を超えた金融政策を推し進めることによって、日本のアニマルスピリットを再び呼び起こす。だが、白川総裁は、同時に、そうした政策は必ずしも有効ではないとも述べている。総裁は長引くデフレに対するエコノミストの見方を変えようとしているようだ。
元記事リンク:http://electronic-journal.seesaa.net/article/239257036.html
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