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動き出した派遣法改正 労働市場で「就業管理機能」をどう位置づけるのか?|ワークス研究所の労働市場最前線|ダイヤモンド・オンライン
http://diamond.jp/articles/-/15243
2011年12月8日
■ようやく動き出した!?
■3年間進まなかった派遣法改正
法律が改正されるかもしれないと言われてから3年以上、そのままの状態になっていた派遣法。今国会でも実質的には審議されない状態が続いていた。ところが、11月中旬、法案の内容を修正し、法改正を目指すとのニュースが飛び込んできた。
2000年代半ば以降、派遣会社による給与の不当天引きや、雇用契約の中途解除である派遣切りなど、社会問題が相次いだために、派遣スタッフを守るための規制の必要性が認識されるようになった。
ところが、労働者保護を目的とした法改正にもかかわらず、改正法案に対しては、当事者である派遣スタッフからも賛否両論があった。派遣切りなどの社会問題を再発させないために法改正を行うべきという意見の一方で、登録型や製造業の派遣が禁止されれば、仕事に就けない可能性があるとして反対する意見もあったのだ。
また、企業にとって、規制強化は機動的な人材活用を難しくする。特に中小企業への影響が大きく、改正法案には産業界から根強い反対があった。
派遣法改正案は、雇用機会の縮小や企業経営に影響の大きな項目は見直され、派遣スタッフの待遇改善につながる内容は残す方向で修正される見込みだ(2011年11月末時点)。
●現行改正法案からの主な修正項目
登録型派遣の一部禁止 → 削除
製造業派遣の一部禁止 → 削除
短期派遣の禁止 → 禁止の範囲を日雇い派遣に限定
違法派遣時の直接雇用みなし → 施行時期を法施行から3年後に
●現行改正法案のままとなる見込みの主な項目
マージン率に関する情報公開
均衡待遇(派遣先の同種業務従事者との賃金の均衡)の配慮義務化
一定条件の派遣労働者に対する無期雇用への転換促進の努力義務化
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■過去の問題点を振り返った上での
■根本的な議論がなされていない
今の派遣法改正案に対しても、修正内容に対しても、両案ともに不十分との批判がある。しかも、その批判に込められた意図はさまざまだ。政権公約が反故にされることへの不満、社会問題が再発することへの懸念、派遣のあり方という本質的な議論を経ずに、改正法案を前提に議論が進むことへの危惧……。
派遣法改正議論の契機となった社会問題を振り返ってみると、あることに気づく。派遣切り(雇用契約の中途解除)、給与の不当天引き、社会保険の未加入、偽装請負(指揮命令することで請負スタッフを派遣スタッフのように活用する)……。これらの事象に共通するのは、「派遣スタッフと派遣先企業のマッチング段階」ではなく、「マッチング後の就業管理の段階」で発生している点だ。
派遣会社を含む人材サービス産業は、従来、マッチングビジネスをしていると言われてきた。実際、求人広告や職業紹介では、求職者と求人企業を結びつける工程にのみ関与する。ところが、派遣会社は、派遣スタッフと雇用契約を結び、給与の支払いなどの「就業管理機能」も有している。
就業管理の段階において問題が相次いだ背景には、人材サービスの範囲がマッチングから就業管理に拡大しているにもかかわらず、派遣会社も派遣先企業も、もしかしたら監督官庁でさえも、マッチングビジネスの延長で派遣事業を捉えていたことがあるのではないだろうか。就業管理機能を有していることに自覚的でなければ、その工程で発生する問題の予防策や対応は後手に回ってしまう。
派遣という働き方では労働者は守れないという指摘は、派遣会社の就業管理機能には期待がもてないというのと同義だ。逆に、派遣という働き方を肯定するためには、派遣会社の就業管理機能が、派遣スタッフと派遣先企業にとって十分に価値がなければならない。
派遣をめぐってさまざまな評価が存在するのには、派遣会社の就業管理機能のあり方に立ち返った根本的な議論が尽くされていないことがある。
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■あまり知られていない
■就業管理機能のポジティブな側面
あまり知られていないが、派遣会社の就業管理機能が有効に働いている実態もある。具体的なケースを2つ紹介したい。
まず、就業が難しい個人の伴走的なサポートを派遣会社が担っているケースがある。
例えば、たびたび寝坊して就業開始時間に遅刻する、身なりがだらしない、挨拶ができない等の基本的な社会人スキルが身についていない場合、企業からの評価は下がり、就業が長続きしない。アルバイトなどの採用試験にも、なかなか受からない。このような個人に、派遣会社の担当者が毎朝モーニングコールをし、折に触れ助言や指導することで、生活態度や就業姿勢が変わっていくことがある。
もうひとつの象徴的なケースは、東日本大震災における派遣会社の取り組みである。
例えば、福島県は、被災者の雇用を維持するために、“絆”づくり応援事業で2000人の雇用創出目標を掲げている。だが、非常時ならではの前例のない業務が山積する中で、雇用主は労働時間の管理や給与支払い、社会保険の加入手続きまでしなければならない。このノウハウは自治体やNPOよりも、就業管理機能を有す派遣会社がもっている。そのため、4つの派遣会社が福島県から事業を受託し、被災者の雇用主になっているのだ。
このような派遣会社の活用方法は、阪神淡路大震災などこれまでの大規模災害ではみられなかった。人材サービス産業の中でも、就業管理機能を有す派遣会社にしかできない支援の仕方だ。
これらのケースでは、内容は異なるが、派遣会社の就業管理が雇用のある種のセーフティネットとして機能していることが分かる。
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■40年間雇用者率は増加の一途
■セーフティネットの整備が重要な課題に
実はこの40年間、企業に雇用されて働く人の割合は増加の一途をたどっている。就業者に占める雇用者の割合は、1965年には男性68.8%、女性48.6%だったが、2010年には男性86.7%、女性88.2%まで増えた。(出所:内閣府「男女共同参画白書 平成23年版」)
企業に雇用されて働く人が増えたために、働き手の多様性は拡大した。さらに企業を取り巻く環境が厳しくなっているため、就業が難しい人ほど、数の上では求人はあっても採用されなかったり、長期雇用を望んでも雇用期間の短い仕事にしかつけなかったりという雇用問題が発生しやすくなっている。
ワークス研究所が2011年10月に実施した「第2回 日雇い・短期派遣労働者の就業実態調査」でも、短期派遣で働く人のうち、希望の働き方への転換が難しい人ほど、セーフティネットの必要性を挙げていた(下図参照)。
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後述するように、今後、労働市場では、個人の就業ニーズと企業の人材活用ニーズのギャップは拡大する可能性が高い。ギャップをいかに埋めるかが大きな課題だ。なかでも、希望通りの就業が難しい個人にどのようなサポートができるかは労働市場全体の課題だ。
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■処遇向上やキャリア形成
■派遣スタッフが派遣会社に期待していること
派遣スタッフは派遣会社に何を求めているのだろうか?厚生労働省「平成21年度 優良人材ビジネス事業者育成推進事業報告書」からみてみよう。この調査では、派遣スタッフに、派遣会社に強く希望すること」「派遣会社の対応や実態」の2つを聞いている。
その中で、希望と実態の差を見ていくと、次のような傾向がある。
派遣スタッフの希望と実態が乖離しているのは、処遇(賃金)に関する項目が多い。例えば、「契約更新時などに、賃金について見直しを行ってくれる(希望と実態の差:52.5%)」などである。また、「能力や経験に応じて、仕事の難易度を上げたり仕事の幅を広げられるよう、派遣先に働きかけてくれる(希望と実態の差:31.6%)」など、キャリア形成に関するニーズも高い。
逆に、労働条件の確認などでは、希望よりも実態が上回る。雇用継続については、「派遣先との派遣契約の更新を早期に確認してくれる(希望と実態の差:0.7%)」「契約更新がなされない場合には、あなたの希望に沿うような就労支援(新規の派遣先の紹介を含む)をしてくれる(希望と実態の差:39.6%)」となっている。
派遣スタッフは、より安定的な雇用への転換や処遇の向上、そのための能力開発のサポートを派遣会社に期待している。不当な雇用契約の中途解除の防止や、派遣先企業に対し賃金をあげるための交渉、能力開発につながる仕事につけるように働きかけることなどが派遣会社には求められる。時にはあえて派遣先を変えるという選択肢の提示もありえるだろう。
派遣会社は個人と派遣先企業のあいだで介在価値を発揮できるのか――。その役割は強化の余地があるのか――。就業管理の観点から派遣のあり方を見直す必要がある。
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■2020年の労働市場では
■就業管理機能をいかに活用するのか
「年を重ねても、安心して働きたい」「仕事と生活を両立したい」「仕事を通じて成長したい」――。個人には多様な就業ニーズがある。一方の企業も、グローバル化や内需の縮小懸念にさらされ、生産性向上や競争力強化への取組みを緩めることはなく、人材に対する要望は高まるばかりだ。
多様化する個人の就業ニーズと高度化する企業の人材活用ニーズを結びつけることは、今まで以上に複雑になっていく。
しかも、労働市場では構造的な変化が起きつつある。2020年には、団塊世代は65歳以上になり、団塊ジュニア世代は45〜54歳になる。高齢化は働き手の年齢構成の変化をもたらす。加速を続けるグローバル化は国境を超えた人材移動を促す。それらに対応できるよう雇用システムの再構築が必要となる。
2020年に向けて、ミスマッチを抑止し、健全な労働市場を構築するためには、公的機関であるハローワークや人材サービス産業の高度化が期待される。
そのような中で、ハローワークや他の人材サービス産業にはない就業管理機能を有す派遣会社をどのように活用するかは重要な論点だ。あらためて議論する時期に来ている。
※本稿は、筆者がワーキンググループの一員として参加した「2020年の労働市場と人材サービス産業の役割」の内容に、個人的見解を付加して執筆した。
世論調査
質問1 労働者が“派遣切り”に遭うリスクがあっても以前のような登録型派遣や短期派遣などの多様な働き方を認めるべき?
○認めるべき
○法律で規制すべき(認めない)
○分からない
>>投票結果を見る
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