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日曜日の本欄で、今国会で成立が予定されている国家公務員の給与削減に関連して、江利川毅人事院総裁が、2日付け毎日新聞「論点」で、「その根拠が分からない。ただ、削減が2年以上に及び、極めて重い負担となる。一般に懲戒処分の水準は、課長級で1ヶ月なり3ヶ月の間10%削減する、という程度だ。それだけの重い負担を背負わせる理由が示されていないのではないか」と述べていることを紹介した。
この給与削減は、人事院の預かり知らぬ所で決まったことである。公務員給与を所管する人事院総裁として、面白くない話であっただろう。だから「根拠が分からない」とか「負担を背負わせる理由が示されていない」と言う。その一方で「東日本大震災という未曾有の国難に対応するための財源確保の一環として、公務員給与のあり方を考えることはあってしかるべきだ」と述べている。分っているのだ。
上述に続けて、江利川氏は「一般論としては、財政事情を理由に公務員給与を下げることには疑問がある。国の財政赤字が1000兆円も累積している状況で、公務員の給与をいくら下げても足りないのは明らかだ。財政が悪くなったのは公務員の責任とは言えないだろう。最終的には国民の負託を受けた政治の責任で処理すべき問題だ」と述べている。まさに驚くべき発言である。
霞ヶ関官僚の見事な「建前論」である。そして自分達の給与を引き下げるようなことは許さない、との本音を見事に覆い隠している。国家公務員の給与をゼロにしたからといって、5年や10年で財政赤字が解消しないことくらいは、誰もが分っている。この発言から、財政危機に陥ったギリシアの公務員が、その給与と年金引き下げに反対している姿と見事に重なって見えるのは、筆者だけではないだろう。
赤字に転落した企業が、なぜ、役員報酬や社員給与をカットするのか。そのカット額だけで、企業業績が回復するからではない。1円のコスト削減や1円の増収に、どれだけ社員全員が心血を注ぐか。そこに倒産するかどうかが掛かっている。その象徴が役員報酬カットであり、社員に意識改革を迫るのが給与カットである。
企業業績の改善と国家財政の再建とを一律に論じることはできない。そのことは百も承知であるが、敢えて言う。個々の企業によってその収益改善策は異なるが、共通していることは先ずは人件費を含むコスト削減等による合理化と、販売増など外部からの収入増を図ることが両輪である。だが、常に先行するのは、コスト削減等の内部の合理化である。国家財政では、収入は国民からの税金しかない。先ずは公務員による経費削減が先行するのは当然だろう。そして一番多額なのが人件費なのである。
国家の歳出予算を審議決定したのは確かに国会である。だから財政悪化の責任は公務員にはないと言う。だが、これが建前であることは、「事業仕分け」で明らかになっただろう。茶番劇と言われた「事業仕分け」ではあったが、そこで明らかになったことは、政治家の関与していない所で、霞ヶ関の官僚たちが、如何に税金を無駄遣いする予算を作成していたかである。
今日12月8日は太平洋戦争が始まった日である。真珠湾攻撃後の大本営発表は、その戦果が誇張されたとしても、相手の被害を知る術が無かったのだから致し方ない。だが、大敗北を喫したミッドウェー後の大本営発表は嘘に嘘を上塗りし、国民を誤魔化してきた。国民に実態を教えないのは、軍部官僚に限らず全ての官僚に共通した遣り方である。そして敗戦後は、「一億総懺悔」と責任を国民に転嫁したのだった。
これと全く同じではないか。ミッドウェー後、つまり赤字国債を発行し始めてから、財源が無いのを承知で予算を作成したのが霞ヶ関の官僚たちである。霞ヶ関の官僚は言うなれば参謀本部である。国家財政が大赤字なのは、彼らが立てた作戦(予算)が失敗したのだ。大本営参謀本部が敗戦の責任を取らなかったから、霞ヶ関が責任を取らなくて良いとはならない。国民は二度と「一億総懺悔」とは言わせない。
公務員と言っても、各省庁の次官から交番のお巡りさん(=地方公務員)まで、多種多様である。責任を取るのは、交番のお巡りさんなど末端の公務員ではない。予算案を作成するキャリアと呼ばれる霞ヶ関に巣食う「銭食い虫」官僚である。命で償えと言っているのではない。作戦失敗の責任(=懲戒処分)として、10%以上、20%程度の給与の恒久削減である。財政悪化の責任としては、決して重い処分ではない。
http://www.olivenews.net/news_30/newsdisp.php?m=0&i=12
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