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記者の目:「党内野党」化する小沢元代表=葛西大博(政治部)
http://mainichi.jp/select/opinion/eye/news/20111206ddm004070002000c.html
毎日新聞 2011年12月6日 東京朝刊
◇当事者として火中のクリ拾って
この政治家はこれから先、日本をどうしようとしているのか。政権交代という目標を達成した今、民主党の小沢一郎元代表が次に目指しているものが見えない。政治資金規正法違反(虚偽記載)での公判を抱える元代表は、消費税率の引き上げや環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の交渉参加を巡り、政権批判を繰り返している。日本の未来を左右する政策課題に対し、党の実力者でありながら、いつまでも「党内野党」のままでいいのか。
12月1日夜、小沢元代表は東京都内であったグループ議員のパーティーに2件出席した後、都内の日本料理屋でグループ議員たちと飲食した。外で待っていた私たち番記者に対し、元代表は何も語らない。その後、いつものように側近議員が会合での元代表の発言を紹介した。いわく、「2年前に自分たちが掲げたマニフェスト(政権公約)は、今の野田政権がやろうとしていることではない」。
元代表と私たちとのコミュニケーションは、ほとんどこうした「間接話法」で行われる。本人が語らず、周辺が「小沢先生はこう考えている」「小沢先生がこう話していた」と発信するのがいつものスタイルだ。そして、最近の元代表の発言のほとんどは政権批判であり、政権党である民主党が今なお「一枚岩」になり切れないことを国民に印象づけている。
◇政権交代目指し進退かけた迫力
私が元代表の番記者につくのは2度目だ。最初は5年前の06年10月から1年間。当時はまだ野党だった民主党の代表だった。今でも忘れない元代表の一言がある。政権交代の足がかりとなった07年7月の参院選の直前だった。参院選で野党が過半数を取れなかった場合の政治責任を記者団に問われると、元代表はこう話した。
「多くの皆さんが今の政治に批判をし、将来に不安を抱いている。万一、結果が出なかった場合は、私が政治の場で働く余地はもうない。そういう決意でこの選挙に臨んでいる」。政界引退まで示唆した発言に、政権交代にかける強い決意と迫力を感じた。
しかし昨年10月、再び元代表担当になり、政権交代前との「落差」に驚いた。特に最近の発言は党代表経験者でありながら、まるで党内野党のようだ。若手議員を集めた会合で、次期衆院選への危機感をあおり、政権批判へと導く。国会議員として当選14回。勤続42年という経歴を持ちながら、党の政策決定にほとんど生かされていない。
もちろん、政治資金規正法違反での強制起訴を受けて党員資格停止中であり、党中枢で十分、力を発揮できない側面はあるだろう。しかし、輿石東幹事長を筆頭に民主党執行部や閣僚に元代表と近い人物は何人もおり、自らの考えを政策に反映させることは可能なはずだ。持論の行財政改革による無駄削減のために、目立った行動を起こす様子がないのも寂しい。
特に野田佳彦首相が掲げる消費増税は当面の最大の政策課題だが、元代表は反対の姿勢を鮮明にしている。11月19日のインターネット番組では、消費増税について「今やるということは反対だ。行財政の抜本的改革をやらないで、お金がないから消費税というのは国民に対する背信行為だ」と批判。消費増税を含めた税と社会保障の一体改革を巡り、消費税の引き上げ時期と税率について、年内の取りまとめを目指す野田首相を強くけん制した。
93年出版の自著「日本改造計画」で、元代表は所得税・住民税は半分にして、3%(当時)の消費税を10%にすることを主張した。その後、94年の細川政権時代の「国民福祉税」構想が失敗し、増税発言は控えるようになった。しかし、将来的に消費増税が必要なことは、今でも元代表自身、認めている。
◇「行革で財源」の具体策提示を
野田政権が消費増税に取り組むのは、このままでは年金や医療など社会保障サービスを維持できず、財政再建を先送りできないとの危機感からだ。元代表が言うように「行財政の抜本改革を本気になってやれば、一定の財源は出る」のなら、自ら取り組み、結果を示すべきだ。マスコミを通じて間接的に批判をするのではなく、直接、野田首相に会って、自らの財源捻出策を伝えればいい。
現在69歳の元代表の政治生命は、それほど長くはないと思う。このまま負の印象が強いまま引退して、本人はいいのだろうか。批判だけを並べるのではなく、政府・与党内の議論をまとめる立場に立ってほしい。当事者として火中のクリを拾い、泥をかぶるべきだ。それこそが元代表の口癖である「最後のご奉公」につながると思う。
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