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先月30日に名古屋高裁金沢支部が、今から25年前の86年に福井市で起きた女子中学生殺害事件の再審開始を決定した。これまで再審が決定された事件では、確定判決後に出てきた新証拠が、無罪を証明する可能性が大きい場合に限られていた。だが今回は全く違った。裁判で被告を有罪とした証拠が存在しなかった疑いがあるとして再審が決定された。検察が証拠を隠蔽(捏造?)した疑いがあるということである。
それが分ったのは、未公開であった名古屋高検金沢支部が保管する証拠が、高裁の勧告に従って開示されたからだと言う。つまり、名古屋高検金沢支部は被告に有利な証拠を隠して、公判に臨んだことになる。その結果、第一審では無罪であった被告が有罪となった。高検は被告が犯罪者であるかどうかの真実よりは、被告を有罪にして、検察の面目を保つために裁判に勝つことを優先した。そうとしか考えられない。
同じことが再審無罪判決となった布川事件でもあった。検察により隠蔽されていた再審請求者(=被告=受刑者)に有利な証拠が開示された結果、請求者は無罪をかち得ることができた。これまで「検察の正義」を信じてきた裏には、検察が正しい証拠に基づいて犯罪者を起訴していると、国民が信じていたからである。ましてや被告の無罪を示唆する証拠を隠しているなど、誰も想像したことはないだろう。
布川事件も福井事件も共に裁判所の勧告により、検察が公開していなかった証拠や取調べ調書を公開したことにより、布川事件では再審無罪が確定し、福井事件では再審への道が開かれようとしている。では、なぜ検察は被告に有利な証拠を今になって公開したのだろうか。裁判所による強い勧告があったと新聞は報じているが、検察としては最近の検察の不祥事から、勧告を受け入れざるを得なかったのだろう。
処で、どうして検察は被告に有利な証拠を隠すのだろう。また、検察は証拠を隠すことがどうして許されるのだろう。多くの人がそのような疑問を抱くだろう。そもそも証拠物件は誰のものかである。検察は証拠物件を自分達のものだと勘違いしている。犯罪を立証し起訴するのは検察の仕事であるが、その立証・起訴が正しいかどうかを判断するのは裁判所である。そう考えると証拠物件は公共のものになる。
検察に証拠全面公示しなくて良いとしたのが、昭和24年の最高裁決定。それ以降、裁判官は検察に証拠の全面開示を求めなくなったそうだ。それを知って驚くと言うか呆れた。当時の最高裁判事は旧大審院、つまり明治憲法が骨の髄まで染込んだ判事たちである。「お上」意識の塊のような判事が決めたことを、何時まで固守するのだ。司法の民主化が一番遅れているのは、こういうところに表れている。閑話休題。
ある検察高官は、証拠の全面開示を拒絶する理由として、犯人が証拠を隠滅して、無罪になるのを防ぐと云う。別の高官は、オウム真理教のような組織犯罪・テロ事件などを防ぐのに必要だと言う。無実の人を有罪にしても、容疑者を立件・起訴する方を優先すると言うのだ。それは逆だろう。検察官には人権意識が全くない。また、捜査が終了し、立件起訴した後に証拠開示を拒絶する理由はどこにあるのだろう・・・。
改め考えるに、そもそも裁判とは何かである。三件分立の考えに基づけば、故小室直樹氏が言うように、裁判とは司法による行政のチェックである。即ち、裁判で裁かれるのは被告ではなく、法律に則った正しい手順で行政(=検察による起訴)が行なわれているかをチェックするのである。つまり検察が行なった捜査が正しいかどうかを裁くことだろう。
最近はテレビの刑事ドラマなどで、「違法に採取された指紋は証拠にならない」とか「令状が無いのに家宅捜査はできない」などの台詞がある。つまり違法捜査をしてはならないと言うことである。その捜査の大元である検察が被告に有利な証拠を隠す。素人考えでは、それは証拠隠滅罪に相当する。それを正当化するのにオウム真理教が出てくるのだから理解できないし、そういう検察を信用することもできない。
今回の福井女子中学生殺人事件の再審開始に、検察が異議を申し立てるというのも、今一つ理解できない。自分達の間違いを認めたくないとの気持ち以外の何ものでもないだろう。真に再審申請者が有罪だったと確信するなら、多くの人の目がある再審公判で争うべきだ。異議申し立ては「お上」意識の仲間を頼りにして、最高裁に泣きついているとしか思えないのである。検察の面子より、「真実が正義」なのである。
http://www.olivenews.net/news_30/newsdisp.php?m=0&i=12
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