http://www.asyura2.com/11/senkyo123/msg/192.html
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政府は11年度の国家公務員給与を7.8%削減し、東日本大震災の復興財源の一部に供する特例法案の国会提出をする予定であった。これに対して、人事院総裁は人事院勧告を無視するものだと反発。また、自公両党は人事院勧告を完全実施した上で、7.8%削減する特例法案を提出すべきだと主張していた。国会運営上、野田内閣は自公両党の主張に沿うらしい。
政府・民主党が人事院勧告を無視したい背景には、国家公務員に労働基本権を与え、今後は労使協議で給与を決める方向に舵を切るとの思惑があったのだろう。労働者の基本権利を制約する代償として人事院勧告で給与を決める日本のこのやり方は、国際労働機関(ILO)から、1965年にILO条約違反だと指摘されていた。だが、50年以上の間、自民党政権は人事院規則を改定しようとはしなかった。
処で、特例法案に盛り込まれる7.8%削減を、江利川毅人事院総裁は「その根拠が分からない。ただ、削減が2年以上に及び、極めて重い負担となる。一般に懲戒処分の水準は、課長級で1ヶ月なり3ヶ月の間10%削減する、という程度だ。それだけの重い負担を背負わせる理由が示されていないのではないか」と述べている。(毎日新聞12月2日記事「論点」より)
同じ「論点」で、南雲弘行連合事務局長は「労組側が、公務員の自律的労使関係を先取りする形で、自ら給与引き下げを決めたことに意義がある」と述べている。この両者の言い分を並べてみると、7.8%削減は労組側が言いだしたことになる。連合・労組側は、僅か2年余とはいえ、人事院総裁に言わせれば「極めて重い負担」という代償を払い、自らの権利獲得に動いたと言うことになる。
昔から公務員は自分たちの給料は安いと言っている。処が、最近では「公務員の給与はなぜ民間より4割高いのか」(北見昌朗著08年12月)などの著書が発刊されたように、公務員の方が給与は高い。平成21年の民間平均給与は、406万円(対前年比5.5%減、23万7千円の減少)で、男性500万円、女性263万円にまで下がっている。一方、公務員の平均給与は658万円である。*注
少し古い話になるが、【いざなぎ超え景気】と言われた平成16〜17年頃、世間では景気が良いとの実感がないとの話があった。当時、大企業に勤務する正社員の平均給与は増加していたが、小規模の企業や個人企業に雇われる者の平均給与は減少していた。また、小泉似非構造改革により、労働者派遣法が改悪された結果、民間企業ではリストラにより正社員は減り、逆に派遣労働者が増えていた。
一方公務員は、毎年人事院勧告に従って給与は上昇した。このような官民逆転が起きたとしても決して不思議ではない。人事院は今年初めて0.2%の給与引き下げ勧告を行なったが、20年近く続く平成不況の中、臆面も無く給与アップの勧告を続けてきたのである。そして、その根拠として、社員50人以上の民間企業の事業所の給与と比較していることを挙げてきた。
確かに人事院のHPには各種のデータが公開されている。だが、肝心の基準となっている民間企業の選び方、労働者の選び方については公開されていない。社員50人以上の事業所と書けば、一見中小企業に見えるが必ずしもそうではない。大企業の支店や営業所なども含まれている。さらに言えば、今や民間の給与所得者の三分の一以上が派遣労働者である。一部の大企業を基準にする時代ではないだろう。
民間企業では不況になれば給与カットは当然で、馘首もある。一方、公務員に馘首の心配は全くない。その代わり労働基本権が制約され、その代償としての人事院勧告制度であった。人事院そのものが国家公務員により構成されている。言うなれば「お手盛り」の給与決定方式である。この根本を改めない限り、真の公務員給与問題は解決しない。労組と言うと、目くじらを立てる人がいるが、今やそういう時代ではない。
なお、今回の7.8%の給与カットはあくまでも一時的なものである。しかも退職金には反映させないので、総人件費が7.8%下がることにはならない。決して抜本的な給与体系の見直しではない。
*注:民間平均給与は国税庁HPより、公務員平均給与は小宮山厚生労働大臣の国会答弁からの金額です。
http://www.olivenews.net/news_30/newsdisp.php?m=0&i=12
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- Re: 国家公務員の給与削減と国会議員の削減を求めたIMFのネバタレポート いにしえの 2011/12/04 00:14:56
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