http://www.asyura2.com/11/senkyo123/msg/169.html
Tweet |
消費増税準備法案の成否は? 「4人目の首相はない」という野田首相が政権の命運を賭けている
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/28696
2011年12月03日(土) 歳川 隆雄「ニュースの深層」:現代ビジネス
野田佳彦首相は強気の姿勢を変えていない。12月1日夕に首相官邸で行った記者会見で、税と社会保障の一体改革について「私が先頭に立って政府・与党内の議論を引っ張っていく」としたうえで、消費増税の時期と税率を明記した「素案」を年内にまとめて野党に提示し年明けに「大綱」を策定し消費増税準備法案作成に入る意向を明言した。「素案」と「大綱」と使い分けたところがミソだ。
というのは、民主党の藤井裕久税制調査会長が『毎日新聞』(同1日付朝刊)とのインタビューの中で消費増税実施の時期と税率について「これからの議論次第だ。ただ、(時期を)何月というのは非常に具体的すぎる。例えば下半期、上半期とか(が考えられる)。方向性ははっきりさせるが、(時期を確定することは)あまり気にしなくてもいいと思う」と答えているからだ。
同氏は先月中旬、筆者に対し「党税調での論議を徹底的に行い、何が何でも大綱策定までの取りまとめを年内に実現する。そのためにはクリスマス休みなどないし、必要とあらば元旦も税調を開くと、若手に発破をかけている」と鼻息荒いところを見せていたのに、である。
要は、党内論議のキーマンである藤井氏がトーンダウンしたのである。そこで浮上したというか、老獪な藤井氏の知恵によって使われた言葉が「素案」であった。改めて指摘するまでもなく、民主党内最大勢力を誇る小沢一郎元代表の支持グループが反消費増税を声高に言い募っており、年内の「大綱」取りまとめを強行すれば党分裂の可能性が出てきたからだ。事実、小沢氏は党所属国会議員を対象に消費増税に反対する署名活動に乗り出す方針を打ち出している。
岩波国語辞典によると、「素案」とは「検討のための素材として作られた案、考え」であり、「大綱」は「ある事柄のうちの根本的なところ、おおもと」とある。つまり、年内に消費増税の時期と税率を明示しても、それは飽くまでも「検討のための案」であって「おおもと」ではないので、論議の方向によっては修正できる余地があるという"逃げ"を打ったということだ。
ワーディングのうえで「大綱」から「素案」に格下げをしたのである。
前号http://gendai.ismedia.jp/articles/-/27840で取り上げた「2人の老人パワー」の藤井税調会長、そして輿石東幹事長ならではの狡猾な助言による首相会見だった。
これによって、この間、取り沙汰されていた党内の反消費増税勢力の「年内離党・新党結成」の動きは鎮静化すると見られる。「消費増税政局」の主戦場は来年1月召集の通常国会に移り、それも野田首相がいま描いているシナリオに従えば、「素案」を叩き台にした与野党協議を通じて「大綱」を取りまとめたうえで消費増税準備法案を策定、閣議決定を経て3月には国会提出に持ち込むというものだ。
もちろん、シナリオは所詮シナリオである。一部書き直すこともあれば、全面修正もあり得るし、場合によって廃棄することすら無しとはしない。それは、一にかかって首相官邸の"力ワザ"に負うものだ。ところが、野田官邸の発信力と調整力の現状は著しく脆弱である。
かつて「内閣のスポークスマン」「首相の女房役」とされた内閣官房長官だが、今や「与党との政策調整役」「霞が関官僚群の束ね役」でもある同ポストの権限は大幅に高まっている。がしかし、93年総選挙で細川護煕元首相率いる日本新党ブームに乗って野田首相と共に初当選を果たした藤村修官房長官の発信力と調整力に大いなる疑問符が付けられている。
週初めに会った民主党大ベテランがそれこそ嘆いていたほどだ。同時に、鳴り物入りで現職の国土交通事務次官から官邸事務方の頂点に立つ官房副長官(事務担当)に転出した竹歳誠氏もワークしていない、と不満を隠さなかった。
官邸の機能不全は安倍晋三政権時にも指摘されたことだが、「4人目の首相はない」という野田首相が政権の命運を賭ける消費増税準備法案の成否は官邸機能の建て直しに委ねられる。一川保夫防衛相と山岡賢次国家公安委員長・消費者担当相の国会会期末までの問責決議案参院可決前に閣僚・党役員の一部の差し替えが取り沙汰され始めた。野田首相の人事についての鑑識眼がまさにいま問われているのだ。
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
▲このページのTOPへ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK123掲示板
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。