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自民党がいよいよ情けない状態になってきた。環太平洋連携協定(TPP)への対応をめぐって、先々週のコラムで「党として自分たちのスタンスをはっきり打ち出せないから、言葉尻をとらえて難癖をつけている。こんな態度では、永遠に支持率は上がらないだろう」と書いた。それから2週間経っても、状況は少しも変わっていない。
自民党議員だって世間の批判は分かっているはずだ。なのに、さっぱり議論を深めようともしない。いったいどうなっているのだろうか。谷垣禎一総裁は30日、野田佳彦首相と国会で初の党首討論に臨んだ。谷垣はTPPについて「経済連携に関する特別委員会を国会に設けてほしい。コメはどうするのか。小麦や乳製品、サトウキビを守るのか守らないのか」と野田を追及した。
ところが、野田に「自民党のTPPの立ち位置はどうなっているのか」と切り返されると「政府が持つ情報が伝わってこない。情報共有からスタートしなければならない」と逃げるだけだった。「TPPについて明確な回答がなかった」と野田に追い討ちを浴びせられる始末である。消費税も似たような感じだ。
野田は「政府が(増税の)素案をまとめたら、自民党総裁として協議に入ると約束してほしい」と述べたが、谷垣は「すでに(消費税引き上げを)党議決定し、方向を出している。2年前の衆院選で消費増税を言った人は(野田内閣に)だれもいない。首相は信を問い、足腰を鍛え直して出てこなければいけない」と衆院解散・総選挙を求めた。どうやら民主党と増税で協議するつもりはなさそうだ。
私はTPPの交渉参加に賛成で、消費税引き上げに反対である。だから野田に肩入れするわけではまったくない。ただ、谷垣の立場で考えれば、次の2点はあきらかと思う。まずTPPへの賛否を明確にする必要がある。いくら政府に比べて情報がないといっても、話は相手がいる交渉ごとである。
日本が参加表明した後には、カナダもメキシコも入りたいと言い始めた。情勢はどんどん動いているのだ。そういう中で日本が基本的に交渉に対して、どういう姿勢で臨むのか。ここをはっきりしてもらわなくては、自民党を支持しようにも反対しようにもできないではないか。
次に消費税については、引き上げを方針を明確にした野田には基本的に協力する。自分も相手も同じ増税を目指しているのだ。それなのに「2年前は違うことを言っていたのだから、まず解散・総選挙を」というのは「お前は資格がないから、オレにやらせろ」と言うのと同じである。ようするに政策より政局、権力奪取が先に立っている。国民にとっては、だれが政権を担おうが、正しい政策をしてくれればいい話である。
TPPと消費税。この2つをみるだけで谷垣自民党は「国民生活や日本経済、財政規律よりも政権奪取が目的の党」であることが明確になってしまった。言っていることとやっていることが違うのである。まだある。東京電力問題だ。
自民党は原子力損害賠償支援機構法をめぐる採決に賛成し事実上、東電の存続を認めている。ところが、先の衆院予算委員会で塩崎恭久議員(予算委筆頭理事)は東電解体を前提に野田政権を追及した。株主や銀行の責任を問わずに税金や電気料金値上げの形で国民に負担をもとめるのはおかしい、と迫ったのだ。党の立場と塩崎の主張がはっきり異なっている(この問題で私は塩崎を支持する)。
増税について、自民党は必ずしも一枚岩というわけでもない。たとえば復興増税をめぐっては、安倍晋三元首相が会長を務める「増税によらない復興財源を求める会」があり、賛同者には森喜朗元首相や中川秀直元幹事長らが名を連ねている。いくつもの重要案件をめぐって、こうも態度がはっきりせず、行動は政局優先だとすると「自民党という政党はいったい何をしたいんだ」と問われるのも当然である。
仮に谷垣が求める解散・総選挙になったところで、有権者は「自民党はTPPや増税問題、東電・原発問題をどうしようと考えているのか」ととまどってしまう。いまのままでは「自民党」を名乗っていても、どうやら考え方は人によってばらばらだから、1人ひとりの候補者に考え方を確かめなくてはならなくなる。
自民党がなぜ情けないかと言えば、リーダーの資質もある。どちらかといえば、谷垣は人柄がいい調整型で「千万人といえども我往かん」という強い指導力がない。それではダメだ。意見を足して二で割りながら攻めてみたところで、迫力が出るわけがない。まずは党を壊すくらいのつもりで政策論争を詰めて、ぜひ党の方針を明確にしてもらいたい。それが無理なら、国民に分かりやすく政策を軸にして、思い切って党を分裂してもらいたい。
同じことは民主党にも言える。小沢一郎元代表は野田が消費税引き上げに突っ込むなら党が分裂する事態をにおわせている。国民目線で考えれば、小沢が言うように、政策が違うなら党分裂が正しい。政党は政策を実現するためにあるからだ。永田町の二大政党が政策をめぐって支離滅裂状態を深める中、先の大阪ダブル選挙では大阪都構想を掲げた橋下徹前府知事が率いる「大阪維新の会」が圧勝した。
たしかに都構想実現には法改正というハードルが待ち構えている。だが、構想を支持した市民、府民から見れば「政治は私たちのためにある」という明確な判断基準ができた形だ。すなわち大阪都構想に賛成する議員なら支持、反対なら不支持という基準である。大阪都という地方自治体の組み換え構想が国政に対する判断基準になったのは画期的な出来事だ。
対立候補を応援した自民党や民主党は大阪維新の会圧勝をみてさっそく橋下にすりよっている。ここでもやはり「政策軽視、政局重視」の姿勢が鮮明になっている。自民党も民主党も互いに「どう相手と戦うか」などという議論をする前に「そもそも自分たちはどんな政策をしたいのか」をじっくり考えるべきだ。問われているのは、政党の存在理由である。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/28542?page=3
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