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<スクープ>築地移転工事/大手ゼネコンが談合/内部資料を入手
「しんぶん赤旗・日曜版」 2011年12月4日号 3面
海外からの観光客にも人気のスポット、築地市場(東京都中央区)。その移転先の土壌汚染対策工事をめぐり大手ゼネコンの談合疑惑が浮上しています。編集部はそれを裏付けるゼネコンの内部資料や証言を得ました。危険で税金のムダ遣いという総事業費約4300億円の巨大プロジェクトの舞台裏は…。 取材班
築地市場の移転工事が始まった江東区豊洲の東京ガス工場跡地。都の調査でも発がん性物質のベンゼンなど有害物質が検出された日本最大級の土壌汚染地帯です。その土壌汚染対策工事(総契約額541億円)が疑惑の舞台となっています。
落札率97%■
都は8月29日、移転予定地の豊洲6丁目5、6、7街区の土壌汚染対策工事について一般競争入札を実施。5街区は大手ゼネコン・鹿島建設など6社の共同企業体(JV)、6街区は清水建設など10社JV、7街区は大成建設など5社のJVが落札しました。(別表参照)
この工事をめぐっては、当初から談合疑惑が指摘されていました。
都にも入札4日前に談合情報が寄せられ、その情報通り落札されました。(都の調査に受注ゼネコンは談合を否定)
清水JVが落札した6街区工事の落札率(予定価格に対する落札価格の割合)は97%。都発注工事の落札率の平均78.7%(2010年度、全国市民オンブズマン連絡会議調査)を大きく上回っています。同連絡会譲では落札率90%以上は談合の疑いがあり、同95%以上は談合の疑いが極めて高いとみています。
ズバリー致■
ここに、取材班が入手した同工事受注ゼネコンの内部資料があります。入札の約1カ月前の7月ごろに作成されたものです。資料には、「推定」として3工事の各受注予定企業名をすべて明記。そのすべてが実際の落札企業名とズバリ一致しています。
それだけではありません。工事ごとの各社の出資比率を都は「企業秘密」として公表していません。しかし資料には3工事の参加企業すべての出資比率を記載。契約額に出資比率を掛ければ各社の受注額が計算できます。まさに談合がなければありえない資料です。
キーワード■
「受注額が今回の談合のキーワードだった」
土壌汚染対策工事を受注した複数のゼネコン幹部が証言します。談合の内幕はこうです。
―話し合いは大手ゼネコン鹿島、清水、大成の関係者でおこなわれた。
―金額が一番大きな6街区は清水がJV幹事会社として受注する。清水は、東京ガス工場跡地の土壌汚染対策工事を各地で受注しているからだ。
―鹿島、大成は残り2工事の幹事会社として受注。継続した談合ではなくこの3工事だけの談合なので、3工事での受注額は鹿島、清水、大成はほぼ同じとする。
取材班が入手した出資比率にもとづき3社の受注金額を計算すると清水が約116億円、鹿島が約105億円、大成が約103億円になります。証言と重なります。
さらに前出の複数のゼネコン幹部は「談合は本社の関与を避け、摘発されないよう巧妙におこなわれた」と明かします。
「直接、話し合ったのは鹿島、清水、大成の現職幹部ではなく、ある大手下請け企業にいっているOBたちだ」
都の責任も■
都の責任も浮上しています。中堅ゼネコン幹部は「談合が成立した背景には都の入札条件がある」と指摘します。
都は3工事の入札にあたり、JV幹事会社となる条件を厳しく設定。その結果、幹事会社になれる可能性のあるゼネコンは最初から鹿島、清水、大成を含む5社に絞られました。先の中堅ゼネコン幹部は「大手5社にしかできない特殊な工事ではない」と話します。
談合にもかかわる別の重大疑惑も―。
公共工事では不正を防止するため設計と施工の分離が大原則。旧建設省(現国土交通省)の事務次官通達(1959年1月)でも「原則として、設計業務を行うものに施工を行わせてはならない」としています。設計者は発注者側で施工の品質をチェックしたり、入札にかかわる積算作業などをするからです。
ところが、都から新市場予定地の「土壌・地下水汚染処理工事設計」の委託業務を受注していた地質調査会社最大手・応用地質が、清水JVの下請けに入っています。
都中央卸売市場新市場整備部基盤整備担当課長は「下請けだから問題ない」といいますが、国土交通省大臣官房地方課は「設計を担当した会社が、下請けに入るなどあまり聞いたことがない」と驚きます。
これだけ疑惑がある築地市場の豊洲移転工事。公正取引委員会も関心を示しており、「移転ありき」の石原慎太郎都知事や都の姿勢が問われます。
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【関連記事】
豊洲新市場は危険なムダ遣い
日本環境学会前会長
元大阪市立大学大学院教授
畑 明郎さんに聞く
豊洲の新市場予定地は東京ガスの豊洲工場跡地です。土壌からは発がん性物質のベンゼンが環境基準値の4万3000倍、猛毒のシアン化合物が同860倍検出され、地下水からもベンゼンが同1万倍検出されるなど、濃度も面積も日本最大級の土壌汚染地帯です。その上に市場をつくって生鮮食料品を取り扱うなど、前代未聞の暴挙。まさに世紀の危険なムダ遣いです。
「移転ありき」の東京都は、私たち環境学会などは締め出した上で「専門家会議」を発足させ、移転のお墨付きを得ようとしました。しかし、新たに高濃度汚染が検出されたことなどもあり、専門家会議は「工場操業時の旧地盤から2bまでの土壌を掘削しすべて入れ替える」などを提案せざるを得なくなりました。その結果、土壌汚染対策費は当初の670億円から973億円へと大きく膨らみました。
困った都は、土壌汚染の門外漢のメンバーを中心に「技術会議」を立ち上げ、不十分な「専門家会議」の対策をさらに骨抜きにし、密室でコストカットを図りました。
専門家会議の提案さえとりやめ、汚染が分かっている土壌だけ処理して埋め戻し再利用するという、安上がりだがリスクのある処理工法などを採用したのです。
「日本の台所」である築地市場は危険な汚染土壌地帯に巨額のムダな税金を使って移転するのではなく、現在ある築地で再整備を図ることこそが賢い方法だと思います。
(*「しんぶん赤旗・日曜版」2011年12月4日号 2面から)
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