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【小沢被告第6回公判(1)】
小沢被告宅や庭、車の掃除…「政治家になるための訓練」
2011.12.1 11:46 「法廷ライブ」産経新聞
(10:00〜10:20)
《資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる虚偽記載事件で、政治資金規正法違反罪で強制起訴された民主党元代表、小沢一郎被告(69)の第6回公判が、東京地裁(大善文男裁判長)で始まった。前日に引き続き、会計責任者だった、大久保隆規元秘書(50)=1審有罪、控訴中=が出廷する》
《大久保元秘書は、小沢被告の“側近中の側近”だった。元秘書の石川知裕衆院議員=1審有罪、控訴中=や、池田光智元秘書=同=ら他の秘書を監督・指導する立場にも》
《さらに、陸山会の会計責任者の立場にもあった大久保元秘書。だが…。11月30日の第5回公判では、検察官役の指定弁護士の質問に対し、あくまでも会計責任者就任は「慣例に従っただけ」と説明。政治資金規正法上の重要な立場だったことや、法的な義務を負うことなどは、「考えたこともない」「知らない」と繰り返した》
《第6回公判では、指定弁護士側に対する弁護側の反対尋問が予定されている》
《法廷は東京地裁最大規模の104号。裁判長の呼びかけで、この日も小沢被告の入廷から始まる》
《小沢被告は法廷に入る際と、裁判長の前を通りかかる際に一礼し、弁護側の席に着いた。前日に続き、濃紺のスーツに身を包んでいる》
《少し間を起き、裁判長が証人の大久保元秘書の入廷を促した。小沢被告とは決して目線を合わそうとはしない。小沢被告もじっと前を向いたままだ。弘中惇一郎弁護士が率いる弁護団の反対尋問が静かに滑り出した》
弁護人「大久保さんの現在の職業は?」
証人「会社役員です」
弁護人「政治の世界からは離れているのですか」
証人「離れています」
弁護人「離れたのはいつですか」
証人「昨年の3月末だったと思います」
弁護人「現在のお勤めの会社の業務内容は?」
証人「おもちゃの卸売問屋です」
弁護人「どこにあるのですか」
証人「(岩手県)釜石市です」
弁護人「大久保さん自身の仕事内容は?」
証人「非常勤扱いではありますが、取締役を務めております。不定期ですが、会社のいろいろな相談にのっています」
弁護人「今、会社はどのような状況に置かれていますか」
証人「先の(東日本)大震災の津波で会社も被災いたしまして、現在、再建中です」
《大久保元秘書は、丁寧に答えていく。続く自身の経歴の質問には、釜石市議を2期務めたことや、同市長選に立候補して落選、平成11年11月に小沢被告の事務所に入ったことなどを説明した》
弁護人「(小沢被告の事務所に)入門してから書生の仕事はしましたか」
証人「私の場合は途中から入門したものでありますから、年齢的には38歳でしたし、秘書の立場でありました。ただ、朝6時に起床し、書生と1時間ほど作業をし、しばらくして事務所に出勤していました。当面は書生の仕事も継続していました」
弁護人「書生の仕事をする趣旨は?」
証人「政治を志す若者が社会に貢献できる人間になろうとする中で、仕える師匠の家や庭、車をきれいにする。そういうことができないで、社会全体をきれいにすることはできない。基本的な政治家になるための訓練だと思っていました」
《弁護人は経歴などを尋ねた後、秘書の仕事内容への質問に徐々に切り替えていく》
弁護人「その後、大久保さんは議員会館の責任者になっていますよね。いつですか」
証人「平成12年の6月とか7月だったと思います」
弁護人「小沢さんのところに来て半年ほどで、議員会館の事務所責任者になっていますね。どうしてですか」
証人「東京事務所の責任者の先輩と、サポートしていた先輩ら3人が選挙に出ましたので」
弁護人「残った人から大久保さんに決まったのはどうしてですか」
証人「私が年齢が上だったということと、事務所に入って浅かったですが、自身の地方政治の若干の経験を買われたと思います」
弁護人「秘書の取りまとめ役と議員会館の事務所責任者はイコールですか」
証人「(東京の事務所には議員会館の事務所のほかに)赤坂の個人事務所もありますが、(秘書は)どちらかに配属されます。(取りまとめ役の秘書は)議員会館はもちろん、赤坂の秘書を含めて、仕事上ではなく、人間関係をまとめているようなものです」
《大久保元秘書は、仕事の取りまとめはしていないことを強調する》
弁護人「では、取りまとめ役はどのような仕事がありますか」
証人「週末の(秘書の)休みを決めることや、年末年始、お盆の長期の各人の休みの取り方の調整がひとつあります。あとは、各地で選挙がある際、派遣する秘書の人選を決め、指示を出します」
弁護人「人事業務をまとめることですね」
証人「はい」
《弁護人も、取りまとめ役は、仕事内容ではなく人事・労務関係上のまとめだと印象づけていく》
弁護人「(前任から)会計責任者の業務に関する引き継ぎはありましたか」
証人「それは特にありませんでした」
弁護人「会計責任者に就任して、業務内容に変化はありましたか」
証人「特別ありませんでした」
弁護人「では、陸山会の会計事務はだれが担当していましたか」
証人「(赤坂の)個人事務所で働いている秘書がおこなっていました」
《大久保元秘書は、第5回公判で東京事務所の責任者が慣例で陸山会の会計責任者になると説明した。ただ、大久保元秘書は会計責任者就任後、盛岡事務所に異動し、東京を離れていた時期があった。弁護人はこの点も確認していく》
弁護人「盛岡に異動後も会計責任者を続けておられますね。どうしてですか」
証人「特別、気にもとめていなかったと思います。(前任の)会計責任者は選挙に出馬し、事務所を離れられましたが、私は辞めたわけではない。あまり気にしなかったです」
《弁護側は、証拠改竄(かいざん)事件で実刑判決が確定した前田恒彦元検事による大久保元秘書への捜査段階での違法な取り調べを主張している。弁護人は、徐々に核心に触れていく》
弁護人「平成21年3月、いわゆる西松事件で、大久保さんは取り調べを受けていますね。平成21年3月6日付の調書では、大久保さんは、自身のことを『陸山会の会計責任者です』と説明しています。こう述べたのですか」
証人「はい」
弁護人「この時期、本当に会計責任者だったのですか」
証人「いいえ。その調書のときは忘れていましたが、(別の秘書に)代わっていたことを後で思いだしました」
弁護人「(会計責任者では)なくなっているのに、会計責任者と答えたのはどうしてですか」
証人「(代わっていたことも)気にもとめていないほどの認識しか(会計責任者には)なかった。うっかり忘れて対応してしまいました」
《弁護人は、大久保元秘書の会計責任者の立場の認識が浅かったことを印象づけたいようだ。小沢被告はひとつひとつ確認するかのように、じっと公判に耳を傾けている》
◇
【小沢被告第6回公判(2)】
広大な秘書寮「先生の政治力安定させる“直系”増やすため」
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/111201/trl11120112180006-n1.htm
2011.12.1 12:16
(10:20〜10:40)
《資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる虚偽記載事件で、政治資金規正法違反罪で強制起訴された民主党元代表、小沢一郎被告(69)の第6回公判は、大久保隆規元公設第1秘書(50)=1審有罪、控訴中=に対する弁護側の証人尋問が続いている》
《弁護人は、事件当時の秘書の配置状況について確認した後、小沢被告の自宅で毎朝行われていた「顔合わせ」についても尋ねていく》
《石川知裕衆院議員(38)=同=は前回公判までに行われた証人尋問で、この会合で先輩秘書の樋高剛衆院議員に土地購入について相談し、登記の延期をアドバイスされた、と証言していた》
《弁護側はこの場のやり取りに大久保元秘書、小沢被告が関与していなかったことを強調していく構えだ》
弁護人「顔合わせには誰が出席していましたか」
証人「東京勤務の秘書です。集合して顔を合わせあいさつし、出かけていきます」
弁護人「時間はいかがですか」
証人「何もなければすぐに出ていきます。短ければ1、2分のことも。ミーティングというものでもないので、長くても5分から10分くらいです」
弁護人「大久保さんにとって、小沢さんと直接話をする機会はほかになかったんですか」
証人「何かあれば打ち合わせしますが、それ以外にもお諮りすることがあれば先生の随行の人に連絡をつないでもらったり、先生が赤坂の個人事務所に入るとき、空き時間に訪ねたり。朝だけでもありません」
弁護人「朝は、具体的に何をするんですか」
証人「スケジュールの確認です。議員会館担当の女性秘書がスケジュール表を持って『今日はこう』と先生に確認していただいたり、後日の予定について出欠の確認をとったり、というのがメーンです」
《弁護側はさらに、陳情の窓口役だった大久保元秘書がその点についても小沢氏に報告していないことを強調していく》
弁護人「陳情について、小沢さんに報告していましたか」
証人「いえ、私の裁量で判断していました。よほどのことであれば報告しなければならないが、例えば地元自治体の陳情であれば、『なるべく地元の要望に応えるように』と先生から言われていたので、それに基づいて自分なりに工夫していました」
弁護人「朝の集まりで、大久保さんが政治資金団体に関する事務的な事柄を報告することはありましたか」
証人「そのようなことは全くありませんでした」
弁護人「なぜですか」
証人「その担当ではないので。(会計)担当秘書の石川氏、池田氏が、先生が個人事務所に行った折にやれば済む、その程度の話です」
《弁護側は、小沢被告にとって収支報告書の記載が関心事でなかったことについても、繰り返し確認していく。弁護団に並んで審理に耳を傾ける小沢被告は表情を変えることはない》
弁護人「当時、政治家の小沢先生は何に関心がありましたか」
証人「自由党と民主党の交流(合併問題)があり、“小泉劇場”も続いていて、何とか本当の改革を実現しなければと。大きな仕事に集中して取り組み、日本の時間の間に合ううちに大きな改革を成し遂げることを念じていた」
弁護人「収支報告書にはどの程度関心を払われるべきでしたか」
証人「私の認識では、担当(石川議員、池田元秘書)が間違えているわけがない、粛々と滞りなく作業が進んでいるんだろうな、と思っていました」
《小沢被告の認識について尋ねる弁護人と自身の認識について答える大久保元秘書は、ややかみ合っていない。質問は問題の世田谷深沢の土地購入に移っていく。大久保元秘書は購入理由について「中堅どころの秘書が結婚を控え、住居が必要になった」と前日同様に返答。弁護側は476m2という広大な土地について質問する》
弁護人「4区画も取得した理由はなんですか」
証人「その広さがあれば、結婚した秘書だけでなく、独身用の寮もさらに建てられます。先々のことも考えました」
弁護人「秘書が増えるかもしれないという考えがあったんですか」
証人「個人的には、小沢先生を慕い政治を志してくる若者が、事務所を巣立って国会議員になれば、小沢先生を支えるようになる、と。“直系”が増えることが小沢先生の政治力を安定させる。さらに巣立っていく優秀な若者を増やしていければいい、と考えていました」
弁護人「小沢さんの秘書が自宅近くに住むメリットは?」
証人「『大きな家族』というか、バラバラに住むより、何かあればすぐ先生に会える、事務所全員が心をひとつにして、というのがいいな、と感じていました」
弁護人「(秘書らの)家族ぐるみということか」
証人「仕事のメリットではないが、私も夏休みなど、家族を小沢先生にご紹介、お会いしてもらい、記念写真を撮ったりしました。中堅どころ(の秘書)が結婚して子供が生まれ、先生に名前をつけてもらったり、記念写真を撮ってもらって、それを子供が宝物にするとか。とてもうれしいことですから」
《小沢被告への忠誠心が言葉の端々に表れる大久保元秘書。小沢被告は特に感じるところもない様子で反応を示さない》
◇
【小沢被告第6回公判(3)】
「石川は同志」上下関係を否定 口調滑らかに
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/111201/trl11120112590007-n1.htm
2011.12.1 12:56
(10:40〜11:00)
《資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる虚偽記載事件で、政治資金規正法違反罪で強制起訴された民主党元代表、小沢一郎被告(69)の第6回公判は、会計責任者だった大久保隆規元公設第1秘書(50)=1審有罪、控訴中=が証人出廷し、弁護側の反対尋問が続く》
《弁護人は平成16年当時の秘書寮の使用状況や、小沢被告の下で働いていた秘書たちの身の上などについて質問する》
弁護人「秘書寮について何か問題はありましたか」
証人「女性秘書2人で共同生活をしていましたので、プライバシーが確保されない。往々にして人間関係のあまりよくない者同士でも住まないといけないとなると生活しにくい」
弁護人「3つの秘書寮は1号邸、2号邸、3号邸と呼んでいた?」
証人「はい」
弁護人「小沢さんの奥様の所有する物件と知っていましたか」
証人「はい」
弁護人「陸山会が有料で借りて住んでいると認識していた?」
証人「わかりませんでした」
弁護人「どのように認識していましたか」
証人「奥様の建物を先生の活動のために使っていると思っていました」
《大久保元秘書は3つあった寮にはすべて秘書が住んでいたほか、岩手県に住む男性の独身秘書など4人が上京して勤務する予定があったことなどを説明した。また、同じ建物に同居していた20代の独身の女性秘書2人の関係が悪かったことも明らかにし、秘書寮の手狭さが仕事に悪影響を及ぼしていたことに言及した》
弁護人「(平成16年ごろ)一般の人から小沢先生の秘書になりたいという申し出がありましたね」
証人「はい」
弁護人「申し出があった場合に、どうしましたか」
証人「私が秘書が必要であるか、適性があるかどうか、受け入れが可能であるかどうかを考えました」
《新しく東京で働く秘書が増えることを強調する弁護人と大久保元秘書。続いて、弁護人の質問は大久保元秘書と、同じく元秘書で第3、4回公判で証人出廷した石川知裕衆院議員=1審有罪、控訴中=との関係に移る》
弁護人「石川さんから『(世田谷区深沢の)売買契約を延期したい』と聞いたとき、どのように思いましたか」
証人「具体的なことをはっきり覚えているわけではありませんが、民主党代表選挙が来年あるとか、解散総選挙が近いとか、どちらかの選挙を想定していたと思っていました」
弁護人「石川さんをどのように評価していますか」
証人「私は地方議員の経験はありますし、多少の知識もあります。石川は先に入門して小沢先生の薫陶を受けていましたし、国政を目指していて国政にかかわる知識は私が全く太刀打ちできない。本当に勉強になるなと思っていましたし、その一面を評価していました」
弁護人「昨日は石川さんに事務的仕事を任せていると言っていたが、上司と部下(の関係)とは違うのですか」
証人「上司、部下ではない。同志というか、お互いに事務所の仕事を頑張って、小沢先生に大きな仕事をしてもらいたいと思っていました」
《大久保元秘書は会計責任者で、実際に会計事務を担当していたのが石川衆院議員であるが、あくまでも上下関係がなかったことを強調する。次に弁護人は収支報告書の宣誓書についての質問を始める》
《収支報告書には会計責任者の署名、捺印(なついん)する宣誓書が添付される。平成16年の陸山会の宣誓書には、当然、大久保被告の名前が記されている》
弁護人「(平成16年の)収支報告書について、昨日は宣誓書に署名、捺印するのが『うっすらとわかっていた』と発言したのはどういうことか」
証人「明確に宣誓書があって、会計責任者が署名、捺印するというのが全くわからなかった。署名、捺印するところがあるんだろうなとは思っていました」
弁護人「西松事件の際に、平成21年3月6日の検察官調書では宣誓書について『自分で署名、押印したのは間違いない』とありますが、覚えていますか」
証人「はい」
弁護人「しかし21年3月15日の検察官調書では『代書してもらったこともあったかもしれない』となっています。なぜですか」
証人「3月に任意の事情聴取のために出頭したら、ほどなく逮捕されてしまった。この先いったいどんなことになるのだろうと考え、この事件を広げたくないと。自分のところだけで終わらせたいと。会計責任者らしく振る舞うようにした」
《大久保元秘書は前日の第5回公判での発言と同様、身に覚えのない罪を認めて責任をとることで事件の幕引きを図ろうと思ったと主張する》
《前日の指定弁護士の質問の際には『覚えていない』を連発したが、この日の公判では具体的な状況などを説明するなど滑らかな口調で答える大久保元秘書。弁護人は引き続き、西松事件の際の検察官調書について質問を続ける》
◇
【小沢被告第6回公判(4)】
拘置所では畳3枚、トイレと一緒に生活「情けない」
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/111201/trl11120113250008-n1.htm
2011.12.1 13:22
(11:00〜11:30)
《資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる虚偽記載事件で、政治資金規正法違反罪で強制起訴された民主党元代表、小沢一郎被告(69)の第6回公判は、大久保隆規元公設第1秘書(50)=1審有罪、控訴中=に対する弁護側の反対尋問が続いている》
《弁護側は、平成21年3月6日の東京地検特捜部の取り調べで、大久保元秘書が収支報告書の宣誓書に自ら署名をしたとしたが、その後の取り調べで、代書の可能性もあると供述を変えたことについて、質問を重ねる》
《弁護側は宣誓書の署名と供述調書の署名を大久保元秘書に見せる。大久保元秘書は宣誓書は自分の署名ではないが、供述調書は自分の署名だと証言。その上で、弁護側は特捜部の取り調べについての質問を切り出す》
弁護人「最初の逮捕はいつですか」
証人「平成21年3月3日のことでした」
弁護人「どのような事件で逮捕されましたか」
証人「いわゆる西松事件です」
弁護人「逮捕したのは東京地検特捜部ですか」
証人「はい」
弁護人「どんな事件ですか」
証人「西松建設から政治献金を受けたのに、記載をしなかったという罪に問われました」
弁護人「西松建設から受けたとされたものはどこから受けたものですか」
証人「新政治問題研究会と未来産業研究会という政治団体からいただいたご寄付でしたが、それが西松建設からの献金という疑いを受けました」
弁護人「大久保さんは、自分が捜査対象だと予測していましたか」
証人「何のものか分からないから行って聞いてみようという軽い気持ちでした」
《大久保元秘書は、逮捕の前日、法務省から東京の事務所に連絡があり、陸山会の会計責任者に話を聞きたいと要請を受け、翌日、岩手県盛岡市から駆けつけ東京地検に出向いたと話した。その後、「法務省」の担当者は特捜部の検事だと判明したとする》
《大久保元秘書は、東京地検内で事情聴取を受けている途中で、検事から逮捕状が示され、虚偽記載の容疑でそのまま逮捕、勾留された》
弁護人「逮捕され、どう感じましたか」
証人「何のことか、どうして逮捕されるのか、憤りを感じました」
弁護人「否認しましたか」
証人「否認しました」
弁護人「当時の小沢さんの役職は何でしか」
証人「民主党の代表でした」
弁護人「当時の政治情勢はいかがでしたか」
証人「民主党の代表として、いよいよ政権交代が現実となる期待感と、当時の政権への不信感が高まっていました。コツコツやっていけば、いずれ政権交代が実現し、小沢先生の政治改革が実現するのを楽しみにしておりました」
弁護人「このタイミングでの逮捕はどう思いましたか」
証人「謀略だと思いました」
証人「その時に、そういった罪で逮捕されたのは、あなただけでしたか」
弁護人「同じようなことをしている議員もいるということでしたが、私だけ逮捕されました」
《大久保元秘書は、一連の事件は小沢被告を失脚させるための「謀略」だったと主張する》
《小沢被告は微動だにしない》
《大久保元秘書は、21日の勾留期間中、朝昼晩と取り調べを受けたと話した。その間に、自宅や地元の事務所などが家宅捜索され、他の秘書も事情聴取を受けたことを耳にし、「他の人は逮捕されないといい」と思っていたと話した》
《大久保元秘書は21年3月24日に起訴され、小沢被告は5月に党代表を辞任した。大久保元秘書は「本来ならやめる話ではないが、政治の世界なのであえて身を引かれたのかなと思った」と当時を振り返った》
《弁護人は、大久保元秘書が勾留されている間、東京拘置所の独居房でどのように過ごしていたか質問した》
弁護人「どういう様子でしたか」
証人「畳が3枚あって、奥に板の間1枚、トイレと簡単な洗面所コーナーがありました」
弁護人「入ってみてどうでしたか」
証人「トイレと手洗いが狭い空間にあって、息苦しい感じを覚えました。トイレと一緒に生活や就寝することは日常にはないことなので、気持ちの上で慣れるのがしんどかったです」
弁護人「食事は?」
証人「独居房の中でしました」
《大久保元秘書は、平日朝30分間の運動と週2回の風呂以外は独居房にいたと話した》
弁護人「どういう気持ちでしたか」
証人「情けない。外の景色も見えない。非常に抑圧された気持ちで、早く外に出たいと毎日思っていました」
《大久保元秘書は5月26日に保釈された》
弁護人「どんな気持ちでしたか」
証人「たぶん外に出たら出たで大変だろうと想像したが、それでも太陽の下で暮らせるのでホッとしました」
《西松事件での大久保元秘書の公判が21年12月に始まった。それと時を同じくして、東京地検特捜部から大久保元秘書に対し、「陸山会」の土地購入をめぐる虚偽記載事件に関する事情聴取の要請が来た》
弁護人「陸山会事件について呼び出しを受けたのはいつですか」
証人「12月に裁判が始まって、裁判に集中していたときです。年の瀬も迫ってきたときに事情聴取の話が来ました。裁判で手いっぱいだったのですぐ応じなくて(翌年の)1月になってから応じました」
弁護人「この事件が、いずれこのような裁判になるとは思っていましたか」
証人「いわゆる期ずれの問題と報道でもあったので、最悪でも略式起訴、選挙管理委員会に訂正を求められるくらいで、まったく逮捕や事件になるとは思いませんでした」
《大久保元秘書は、陸山会事件について、22年1月5日に最初の聴取を受けた。そのときの様子について質問が続けられた》
◇
【小沢被告第6回公判(5)】
小躍りしながら帰宅すると家宅捜索、再逮捕 「今度はこうかよ」
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/111201/trl11120114150009-n1.htm
2011.12.1 14:14
(11:30〜11:47)
《資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる虚偽記載事件で、政治資金規正法違反罪で強制起訴された民主党元代表、小沢一郎被告(69)の第6回公判は、大久保隆規元公設第1秘書(50)に対する弁護人による証人尋問が続いている》
《大久保元秘書は、平成21年12月に始まった西松事件の公判と時期を同じくして、今回の陸山会の土地購入をめぐる虚偽記載事件に関する事情聴取の要請を受けた。大久保元秘書は翌年1月に聴取に応じる。弁護側は、検察による取り調べについての質問を重ねている》
《証人席に座った大久保元秘書は背筋をピンと伸ばし、弁護人の質問にすらすらと答えていく。問題の土地は平成16年夏に、大久保被告が見つけてきたものだ》
弁護人「例えば、本件の土地について、あなたが見つけてきたなどの話を(検事に)したのですか」
証人「なぜ(土地が)必要だったのかなど、私がかかわった部分の話をしました」
弁護人「収支報告書の記載については、どうでしたか」
証人「(収支報告書の記載については)実はまったく分かっていませんでした」
弁護人「検事にその話はしましたか」
証人「何回もしました」
弁護人「それについて、検事はどんな様子でしたか」
証人「困ったような表情をしていました」
弁護人「あなたはそれをどう理解しました」
証人「整合性が取れない調書を作ることになるので困ったという印象です」
弁護人「調書はこの日は作られたのですか」
証人「何らかのものは作らねばならないというので作成されました」
弁護人「内容は?」
証人「『(収支報告書の記載について)見逃したとしか言いようがありません』という表現になっているかと思います」
弁護人「どうしてこういう内容の調書が作られたのですか」
証人「取り調べの最後の方になり、いよいよ調書を作成せねばならない段階になっておもむろに『見落としたとしか言いようがない』。これでどうだ、と話をされて…。そういう表現であれば、実際のところと(検察側の作成した調書との)間を取るような表現になると思い、それであれば何とか自分の裁判にもつじつまがあわせられるのではと思い提案に乗りました」
弁護人「その時点で逮捕は予測していましたか」
証人「まったく。これで自分はこのことから解放されたと思っていました」
弁護人「なぜ?」
証人「土地を探すということから先は、本当に知らないと繰り返し述べていたので、まさか逮捕にまで至るとは夢にも思いませんでした」
《弁護人の質問は、陸山会事件で大久保元秘書が逮捕された平成22年1月16日前後の内容に移る》
弁護人「この日は、どういうタイミングなのですか」
証人「私の(西松建設事件の)裁判が、1月13日か14日にありました。それで検察側の証人として西松建設の担当部長が出廷され、やりとりの中で本当のことを話してくれました。検察にとっては大きく不利な証言でした。部長の勇気、正義を感じ入り、小躍りしながら新幹線に乗って自宅のある釜石市に戻りました」
証人「ところが、家内が電話に出ないと思うと、裁判の後に私の自宅が家宅捜索されていたのです。何ということが起きているんだとびっくりしました。その日は家に戻れず、知人の家に泊まりました」
証人「14日だったか、15日夜だったか、電話で私の逮捕状が出て特捜部が私の身柄確保に向かったと。衝撃的なことが起きたと。裁判でいい話が出たと思ったら、今度はこうかよと。強い憤りを感じました」
《これまで淡々と証言していた大久保元秘書だが、わずかに語気を強めて当時の状況を感情を織り交ぜて一気に振り返った》
弁護人「(検察関係者と)東京に移動する間はどんな様子でしたか」
証人「自宅に大勢のマスコミが集まり、駅のホームなど長い間ずいぶんカメラに追いかけられました。何ともいえないやるせない気持ちでいっぱいでした。別の事件で、潜伏先から東京に連行される映像が流れることありますが、自分もそういうふうに映っているのかなと」
《弁護人の質問は再逮捕後の取り調べに移る》
弁護人「否認しました?」
証人「はい。(取り調べた)検事には『私には分からない』と話しました」
弁護人「(逮捕直後の)検事の取り調べは1月21日午前までですが、取り調べの検事が変わるというような話はありましたか」
証人「(検事が変わる)前日か前々日あたりからほのめかされたと思います。特捜部の見立てがあり、それに沿った形で取り調べを受けます。石川氏も池田氏も逮捕されていたので、私は真実を話しました」
証人「検事の取り調べとは相いれないので、平行線のまま何日も過ごしました。すると、『もっと怖い検事がくるかもしれない』と話されました」
《午前の公判予定の正午まで、まだ約15分ある。しかし、弁護人は「きりのよいところで」と質問をやめた。大善文男裁判長が休廷を告げる》
《公判中ずっと正面を見据えていた小沢被告は緊張を解いたのか、わずかにうなずいたようなしぐさを見せた後、足早に出口に向かった》
◇
【小沢被告第6回公判(6)】
「もっと怖い検事来る」 前田元検事に「何かやられる」強い恐怖
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/111201/trl11120115510010-n1.htm
2011.12.1 15:48
(13:30〜14:00)
《資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる虚偽記載事件で、政治資金規正法違反罪で強制起訴された民主党元代表、小沢一郎被告(69)の第6回公判は、約1時間半の休憩を挟んで、会計責任者だった大久保隆規元公設第1秘書(50)=1審有罪、控訴中=の反対尋問が再開された》
《大善文男裁判長が小沢被告の入廷を指示する。小沢被告は廷内にはいると一礼し、軽やかな足取りで被告人席に向かって着席した。その後、大久保元被告も入廷し証言台に着いた》
《午後の弁護側の反対尋問は、証拠改竄(かいざん)事件で実刑判決が確定した前田恒彦元検事に関連する質問が行われる》
《弁護人はまず、大久保元秘書を取り調べていた検事が「もっと怖い検事が来る」と告げ、前田元検事が取り調べを担当するまでの状況を質問する》
弁護人「検事から『もっと怖い検事が来る』といわれ、どう思いましたか」
証人「『なぜ検事が交代しなくてはいけないのか』と思いました」
弁護人「なぜか検事に尋ねましたか」
証人「はい。調書が全くできあがっていないからと言われました。私は真実を話すと気持ちを切り替えていたので。どなたが来ても真実は変わらないので不思議な気持ちになりました」
弁護人「検事さんが交代したのはいつですか」
証人「(平成22年1月)21日の午前中です」
弁護人「新しく来た検事は誰ですか」
証人「前田検事さんでした」
弁護人「東京拘置所の取調室で初めて会いましたね」
証人「はい、そうです」
《弁護人は大久保元秘書の前田元検事に対する印象などについて質問。大久保元秘書は前田元検事について「非常に(体の)大きな方だと思った」「取り調べの検事は5人目だったが、それまでの検事と空気が違う人だなと思った」などと印象を語る》
弁護人「前田元検事とどんなことを話しましたか」
証人「『あなた事件をどうしたい』と聞かれました」
弁護人「取り調べが前田元検事に変わったことをどう思いましたか」
証人「大阪(地検特捜部)から来たことで何かあると感じた。(前田元検事から)『何が何でも立件するぞ』という意識を感じた」
《前田元検事は雑談のなかで、詐欺容疑で音楽プロデューサー、小室哲哉氏を逮捕したことや、元福島県知事や元防衛事務次官の汚職の捜査に携わったことなどを話したという》
《また、東京地検特捜部が逮捕した堀江貴文受刑者=旧証券取引法違反罪で実刑確定、服役中=にも触れたとする》
弁護人「色んな事件を担当している人をみてどう思いましたか」
証人「大阪のキャップがわざわざ担当しているので『何かやられる』というのを強く感じた。ホリエモンを逮捕したのは捜査に非協力的だったと話したり、逆らうと何をされるかわからない恐怖を感じた」
《弁護人と大久保元秘書は前田元検事の取り調べで不当な威圧があったことをほのめかす。取り調べの際に『(元秘書の)石川(知裕衆院議員=一審有罪、控訴中)、池田(光智元秘書)が容疑を認めている』とうそを言われたことなども語った》
弁護人「取り調べで何か他にどんなことを言われましたか」
証人「『会計責任者のあなたが話を認めないと、小沢先生がどうなるか分からないよ』といわれた。指示に従って協力しないとと思った」
弁護人「大久保さんは身に覚えのないことで勾留(こうりゅう)されたのですね」
証人「はい」
弁護人「なのに小沢さんが大丈夫となぜ思わなかった」
証人「ホリエモンもこうできるという話もされたし検事総長の指示で(取り調べに)来ていると言っているので、(検察上層部と)繋がっているのではと思った。そのような危機感を強く感じた」
弁護人「(前田元検事は)弁護人について何か説明しましたか」
証人「ヤメ検(検察官出身の弁護士)なので弁護士としての交渉は一切できない。弁護士として信頼するとあなたに不利になっていくというような発言もありました」
《また、大久保元秘書は前田元検事が検察事務官を退席させ、取り調べを行っていたことを話し始める》
弁護人「取り調べのときは検察事務官を同席してましたか」
証人「だいたい2人でした」
弁護人「事務官はいつ戻るのですか」
証人「調べが終わるとき、署名、捺印(なついん)するときに呼ばれていました」
《午前中は淡々と証言していた大久保元秘書だが、前田元検事の取り調べについて話が及ぶと感情が高ぶらせるかのように、時折語気を強め、「危機感を感じた」、「何かされると思った」と証言した》
《弁護人は、取り調べの際の調書の作成方法などについて質問を続けている》
◇
【小沢被告第6回公判(7)】
「ここで大久保さん登場!」 調書作成に没頭、前田元検事「作家みたい」と自画自賛
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/111201/trl11120116200012-n1.htm
2011.12.1 16:19
(14:00〜14:30)
《資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる虚偽記載事件で、政治資金規正法違反罪で強制起訴された民主党元代表、小沢一郎被告(69)の第6回公判は、大久保隆規元公設第1秘書(50)=1審有罪、控訴中=に対する弁護側の証人尋問が続く》
《弁護側は、冒頭陳述で政治資金収支報告書への虚偽記載、不記載に関与したことを認めた捜査段階の大久保元秘書の供述について「任意性がなかった」と主張している》
《質問は平成22年1月16日に逮捕され、容疑を否認していた大久保元秘書が22日に供述を翻し、23日に供述調書に署名した経緯について続く》
《弁護人は21日に担当検事が前田恒彦元検事=証拠改竄(かいざん)事件で実刑判決が確定=に交代し、調書の作成方法が変わった点について尋ねる》
証人「それまでは検察官が話して、それを事務官が打つやり方でした。前田検事さんになってからは、自身のノートパソコンを持ち込み、自分で打ち込んでいきました」
弁護人「打ち込み画面は見えましたか」
証人「全く見えません」
弁護人「印象に残っていることはありますか」
証人「体も大きめの方で、ノートパソコンは比較的小さくて、窮屈そうな指先で打ち込んでいました。身ぶりをつけながら『ここで大久保さん登場!』とか言っていた。何かやっているな、と思いました」
弁護人「前田検事が自分を『作家みたい』とも話していたんですか」
証人「『まるで作家みたい』あるいは『作家の時間』と。うまく書けたときは、雑談で著作の話をしていたこともあって、『司馬遼太郎みたいなもんだ』と言っていました」
弁護人「その間、どう思っていましたか」
証人「調書がどうできあがるのかな、と。手持ちぶさたなので、深沢(寮)のレイアウトを書いてください、などといわれたり。前田検事は作成に没頭していて、こちらから話しかけたりできないようにするためだったのかな」
《質問は22日に容疑を認め、23日に調書に署名する経緯に移っていく》
弁護人「23日、『私の報告・了承があったから収支報告書が作成された』という内容の調書に署名していますね」
証人「小沢先生への聴取が23日にありました。『その前に意思表示しないと家宅捜索、小沢先生自身への逮捕に広がっていく、あなたの決断一つだ』という話が(前田検事から)ありました」
弁護人「署名に応じたのは何時ころですか」
証人「朝に弁護士の接見があり、私は応じる、と弁護士に一方的に伝えた。先生の聴取は夕方、夜だったようなので、時間的に判断して午前中に応じました」
《この23日の夜に小沢被告は記者会見を開く。大久保被告は、前田検事がこの会見に憤る様子を見て、さらに不安を強めたと振り返る》
証人「前田検事は『(小沢さんが)われわれを欺こうとしている』『小沢さんはどうなるかわからんよ』と。せめて自分が聴取に応じていくことで事件の広がりを食い止めなければ、という気持ちを強めました」
弁護人「小沢さんは事件と関係ないから大丈夫、とは思わなかったんですか」
証人「何が事件なのか。西松建設事件でもうちだけ、私だけやられた。何かの陰謀なのか、立件された。検察に何をされるかわからない、どんなことをされてもおかしくない、という思いを強めました」
《大久保元秘書は事情聴取が続くうち、弁護団への不信が強まり検察の言いなりになっていった、とやや興奮した様子で訴え始める》
弁護人「23日、弁護士の接見はどのくらいの時間でしたか」
証人「20分とか30分とか、短い時間でした」
弁護人「やり取りは」
証人「先生方はよく考えて本当のことを言い続けなければ、とその時に限らず励ましてくれました。しかし、そうは言っても中(取り調べ)の状況は外の先生には分からないし、細かく説明もできない。検事とのやり取りが圧倒的に多く、私はすでに“マインドコントロール”されているところもありました。弁護士の先生方の話だけ聞いて立ち向かっていけるのか。(弁護士を)信用しないというか、そうなっていました」
弁護人「当時の精神状態はどうでしたか」
証人「1度目の逮捕でも約3カ月勾留(こうりゅう)生活を送りました。頑張ることで3回、4回と逮捕されるのも嫌だった。(検察が)やりたい放題やるんだから、やらせてやれ、という気持ち。弁護士がなんと言おうと調書に応じることが小沢先生を守り、日本政治を守ることになる、という気負った感情がありました」
弁護人「弁護士には落ち着いて話ができましたか」
証人「精神的なストレスもあり、『(石川・池田両元秘書への事情聴取について)中ではもっと話が進んでいる』と思わず興奮気味に話しました」
弁護人「調書に署名・押印することについては伝えましたか」
証人「これ以上、3人以上逮捕者を広げないため、会計責任者として認めるようにしたい、と言いました」
2011.12.1 16:19 (4/4ページ)[小沢被告 第6回]
《弁護側は、他の被告が自白したといううその事実を告げて供述を引き出す違法な「切り違え尋問」が行われたとして大久保元秘書の供述に任意性がない、と主張している。しかし、大久保被告の証言によれば「切り違え尋問」以前から疑心暗鬼に陥っていた様子だ》
弁護人「弁護士からは、石川さん、池田さんの聴取の状況についても伝えられていたんですよね」
証人「石川氏、池田氏がこう言っているという先生方の話は、どうも遅れているな、と感じました。ほとんど状況を知らないんじゃないか。石川氏、池田氏は、実際には弁護士に聴取状況の本当のことを話していないんじゃないか、と。全く当てにならないと思うようになりました」
弁護人「なぜ石川さん、池田さんを信じられなくなったんですか」
証人「私も受けていた圧力を想像しました。何しろ2週間、ずっと検事と過ごしている。マインドコントロールの中に入るというか、検事の話を信用するようになりました」
《供述を変遷させたこの間の経緯をまとめた調書には、「潮目を変えるときではないか」という大久保元秘書の言葉が記録されている。岩手県釜石市出身の大久保被告の言葉として、検察官役の指定弁護士も「供述の任意性が表れている」と注目する部分だ》
弁護人「『潮目を変える』という言葉を使いましたか」
証人「確かに私は港町出身ですが、船乗りではありません。前田検事が私の身上経歴について読み込むうちに思いついたのではないでしょうか」
《前日の公判から淡々と落ち着いた様子で証言していた大久保元秘書も、感情の高ぶりからか声が上ずっている。一方の小沢被告には普段通り、身動きすることもなく静かにやり取りに聞き入っている》
◇
【小沢被告第6回公判(8)】
二日酔いで取り調べ 前田元検事は「さすが大物」
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/111201/trl11120116550013-n1.htm
2011.12.1 16:54
《資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる虚偽記載事件で、政治資金規正法違反罪で強制起訴された民主党元代表、小沢一郎被告(69)の第6回公判は、大久保隆規元公設第1秘書(50)=1審有罪、控訴中=に対する弁護側の証人尋問が続く》
《弁護人は、証拠改竄(かいざん)事件で実刑判決が確定した前田恒彦元検事に関連する質問を重ねている》
《大久保元秘書は、元秘書の石川知裕衆院議員=1審有罪、控訴中=と池田光智元秘書=同=から収支報告書の案についての報告書を了解したという内容について書かれた1月30日の供述調書に署名した》
《しかし…。大久保元秘書は、実際は、そういう事実はなかったと主張する》
弁護人「(事実が)ないにもかかわらず作られたんですか」
証人「前田検事さんがご自身で調書を作って、だいたいできたところで印刷をして、『これでどうだ』と聞いきた」
証人「『(石川、池田両元秘書が取り調べで)本当にこんなこと言ってるんですか』と聞いても、『大久保さん、本当にこう言ってるんだから』といわれた」
証人「石川氏や池田氏が厳しい取り調べをされたらいやだなと思って、石川氏がそういっているならいいかと(調書に署名した)」
弁護人「疑いを持たなかったのですか」
証人「きっとそうなっているんだろうと、前田さんからのお話を受け入れました」
《大久保元秘書は、前田元検事とのやりとりは毎回このようだったと話した。さらに、前田元検事が、二日酔いの状態で取り調べをしたことが2回あったと証言した》
《大久保元秘書によると、前田元検事は、大阪から応援に来ている検事と宿舎の近くで朝の5時ごろまで飲酒したと話し、取り調べに来た際には顔が赤く全体的に酔った状態だったと説明した》
弁護人「どう思いましたか」
証人「さすが大物検事だと思いました。実力があるからこういうことも通るんだなと思いました」
《大久保元秘書の皮肉を込めた言い方に傍聴席から笑いが起こった》
《弁護側の質問が終わり、再び、検察官役の指定弁護士の質問が始まった》
《指定弁護士は、土地購入の目的など、これまでの大久保元秘書の証言について再度確認した》
指定弁護士「昨日と今日のお話ですと、秘書寮を建設するのは、秘書の人数を増やす予定だったということですか」
証人「はい。私自身の気持ちにありました」
指定弁護士「(小沢)被告の秘書を増やすのはあなたの仕事ですか」
証人「東京の取りまとめ役だったので有能な人材が入門を希望していれば、会って(採用するのが)、私の裁量だと思っていました」
《指定弁護士は秘書の数を増やす際に、小沢被告の了解が必要ではないのか何度も尋ねるが、大久保元秘書は、あいまいな返答を続ける》
《指定弁護士は、池田元秘書など2人の秘書が結婚などを控え、独身寮よりファミリー寮が必要だったのではないかと尋ねる。大久保元秘書は、女性秘書が2人で使っていた部屋に池田元秘書が新たに住み、大久保元秘書が、(岩手に移動し)地元に基盤を置くために空く部屋を別の秘書が使うことになったと説明した》
《続いて指定弁護士は、収支報告書の確認方法について質問した》
《小沢被告は、ほとんど動くことなく、じっと大久保元秘書の話に耳を傾けている》
指定弁護士「先ほど、収支報告書をFAXで受け取るのは無理だと説明していましたが…」
証人「はい。実際にやりとりした記憶はまったくありません」
《大久保元秘書は収支報告書を受け取っていないと一貫して主張する》
指定弁護士「裁判に至るまで収支報告書を見たことはないのですか」
証人「見たことはありません」
指定弁護士「裁判ではありますか」
証人「裁判ではあります」
指定弁護士「収支報告書の場合は表紙があり、2枚目に表があります。見ましたか」
証人「よく注意してみたことはありませんでした」
《指定弁護士は、平成16年の収支報告書をモニターに映してみせ、収支報告書について説明する》
指定弁護士「1枚だけ送ってもらうこともできたのではないですか。送ってもらったことはありませんか」
証人「まったくありません」
《続いて、指定弁護士は前田元検事の取り調べについて質問した。まずは平成22年1月22日の取り調べについて尋ねた》
指定弁護士「認めないと大変なことになると言われたとのことですが、どういう可能性があると思いましたか」
証人「議員会館(の事務所)や先生の家の家宅捜索にも発展していくのかと危惧しました」
指定弁護士「あなたは危険を避けるために認めたのですか」
証人「はい、そうです」
《大久保元秘書は取り調べの検事が東京地検ではなく、大阪地検の検事に代わったことで、「組織的な大きな動きを感じ、どこまでやるんだろうと思った」と話した》
指定弁護士「1月23日に調書を作成したというわけですが、23日の夜に前田(元)検事は小沢さんの記者会見の様子を見ていて、あなたに何かいいましたか」
証人「はい」
指定弁護士「前田(元)検事は『小沢さんは嘘つきだ』といっていた?」
証人「そのような印象でした」
指定弁護士「これではもっと捜査をするということになりますが、どういうことを話されたか覚えていますか」
証人「『この先どうなるのかなあ』と、状況が悪くなっていくような印象の言葉を話されたと思います」
指定弁護士「あなた自身が認めることで事件を広がらぬようにしようと思ったといっていましたが、小沢さんにまで事件が広がるなら認める意味はなくなったのではないですか」
証人「むしろ私が認めなければ、いっそう悪くなると感じました」
《ここで大善文男裁判長が休憩を取るように指示する。大久保元秘書がすぐに退室する。ここでも小沢被告とは目を合わさない。小沢被告は傍聴者が退席する様子をじっと見つめていた》
◇
【小沢被告第6回公判(9)】
「答えは差し控えさせてもらいます!」冷静一転、追及にいらだち
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/111201/trl11120118080014-n1.htm
2011.12.1 18:07
(15:35〜16:05)
《資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる虚偽記載事件で、政治資金規正法違反罪で強制起訴された民主党元代表、小沢一郎被告(69)の第6回公判は、30分間の休憩を挟んで、大久保驪K元公設第1秘書(50)に対する検察官役の指定弁護士による証人尋問が再開された》
《入廷後、大久保元秘書は深く一礼し、きびきびとした動きで証人席に座った》
指定弁護士「あなたは陸山会の年ごとの収支の状況を、(元秘書の)石川(知裕衆院議員議員=1審有罪、控訴中)氏や池田(光智元秘書=同)氏から報告を受けていましたか」
証人「受けていません」
指定弁護士「まったく?」
証人「まったく受けていませんでした」
指定弁護士「冒頭陳述で、あなたの弁護人があなた自身の公判で、石川氏から年ごとの概括的な報告を受けていたと指摘しているが、そうではないのですか」
証人「覚えていません」
指定弁護士「冒頭陳述書を出すときにご覧になられなかった?」
証人「よく読んでいません」
指定弁護士「確認した上でその表現を書いたわけではない?」
証人「要するにほとんど報告を受けていないということです」
指定弁護士「私は『まったく報告を受けていないのか』と聞いたのです」
証人「今はほとんどと訂正しましたが、当時から私はまったくという認識で、報告を受けていなかったと判断しました」
指定弁護士「平成21年3月6日、自分が報告書の内容をチェックするということを認めたといっていました。虚偽の記載であることを調書の上では認めていたのですね」
証人「はい」
指定弁護士「なぜ、うその調書を署名・押印したのですか」
証人「自分だけで事件を終えたかったからです」
指定弁護士「あなたが起訴された後、小沢さんは民主党代表の座を追われたのですね」
証人「追われたというか、高度な政治的判断です。そういう陰謀が動いている」
指定弁護士「陰謀に口実を与えたのは、あなたの起訴ではなかったのですか」
証人「事件そのものが陰謀なのです」
《弁護人から「意見を述べろと言うことか」と異議が出されたが、大善裁判長が、弁護人の異議を却下する。指定弁護士側は、かみ合わない答えから、陸山会の土地購入をめぐる虚偽記載事件での事情聴取に質問を切り替える》
指定弁護士「取り調べで、16年の収支報告書に虚偽記載があることを認めましたね」
証人「どの部分の話しなのか…。全文を記憶しているわけではないので」
指定弁護士「小沢先生からの4億円を未記載だったことや、不動産のことについてです」
証人「私は西松建設をめぐる裁判が始まり、そちらに集中していた時期でした。混乱もしていたので、早く取り調べを終わらせ、自分の裁判に集中したかった。記憶を呼び起こさないで、適当に対応してしまった」
《指定弁護士は大久保元秘書が再び逮捕された直前に作成された1月5日の調書に質問を切り替える》
指定弁護士「あなたが収支報告書をチェックして見落としたという趣旨の話(供述)が出てきますね」
証人「はい」
指定弁護士「水谷建設からの献金と小沢氏の共謀について認めましたか」
証人「(それは)認めていません」<
《水谷の献金と小沢氏の共謀については、証拠改竄(かいざん)事件で実刑判決が確定した前田恒彦元検事が、大久保元秘書に追及した》
《大久保元秘書は公判で前田元検事について、「何をされるのか分からない」などと恐怖を感じていたと証言した》
指定弁護士「前田検事の(威圧があったとされる)取り調べで、どうして認めないで済んだのですか」
証人「…」
《長い沈黙が続く…。その後に「私が責任者として立件され、どう関わっていたのかに大きなウェートがあった」。結局、大久保元秘書は指定弁護士の質問に答えなかった》
指定弁護士「片方(虚偽記載)を認め、もう片方(水谷建設からの献金と小沢氏の関与)を認めなかった理由は?」
証人「一切を認めると大変なことになると思いました。これ以上、影響の広がりを避けたいと判断しました」
《これまで前田元検事の威圧ぶりを時折皮肉も交えながら冷静に説明してきた大久保元秘書だが、指定弁護士側の再三にわたる矛盾追及にいらだちをみせる》
証人「さっきからいわれていますが、それらのことは今回の裁判で何ら争いの事実になっていない。これ以上の答えは差し控えさせてもらいます!」
《指定弁護士側も引き下がらない》
指定弁護士「この裁判の争点を学習してきたのですか」
証人「学習と言うほどでは。どういう内容かは弁護人から聞いています」
《ここで指定弁護士は再び土地購入についての質問に戻す》
指定弁護士「陸山会は平成15年に仙台と盛岡でも物件を購入していますが、なぜこの時期に購入したのですか」
証人「盛岡は岩手県北。自民党の基盤でした。何としても民主党の国会議員を誕生させたいということで活動の拠点として必要でした。仙台についても、小沢氏の支援団体のスペースが必要になったのです」
《小沢被告は姿勢を崩さず、じっと前方を見つめたままだ》
◇
【小沢被告第6回公判(10)】
費用対効果考えず“手狭だから”4億円で土地購入
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/111201/trl11120118470015-n1.htm
2011.12.1 18:46
(16:05〜16:35)
《資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる虚偽記載事件で、政治資金規正法違反罪で強制起訴された民主党元代表、小沢一郎被告(69)の第6回公判は、会計責任者だった大久保隆規元公設第1秘書(50)=1審有罪、控訴中=に対する検察官役を務める指定弁護士の再尋問が続けられている》
《指定弁護士は、本件土地の購入の必要性が本当にあったかどうかについて質問を続ける》
《大久保元秘書は弁護人とのやりとりとうって変わって冗舌さを失い、短い返答をするケースが増す》
指定弁護士「本件土地購入にあたり(秘書寮の)1、2号邸にあなた方、男性秘書が住んで、女性秘書が3号邸に住んでいた。ただ、女性は人間関係に問題があり、男性は結婚話があった。だから(秘書寮の用地として)購入したということですね」
証人「はい」
指定弁護士「男性4人はずっと秘書をされる予定だったのですか」
証人「いつまでかは個人個人の考えです」
指定弁護士「主たる目的は(国会議員などに当選して)自立することですよね」
証人「そういう方が多くいらっしゃいます」
指定弁護士「そうでない方は、どういう方がいますか」
証人「地元で勤務をしている秘書などです」
指定弁護士「ああ、(岩手県)水沢(市の事務所)ね。東京で勤務している人はどうですか」
証人「そういう(政治家)志望を持っていると思います」
指定弁護士「男性秘書4人のうち現在も残っている方はいますか」
証人「1人います」
指定弁護士「女性秘書が住んでいて人間関係に問題があった。男性秘書には結婚話があった。ただ、それだけで政治団体が4億円の物件を購入するのは費用に合わないのではないのですか」
証人「当時はそういう考え方はなかった」
指定弁護士「女性についてはワンルームマンションを借りようとかは考えませんでしたか」
証人「その当時はそう思いませんでした」
《秘書寮が手狭になっただけで、4億円もの資金を投じて土地を購入する必要性はあるのか。指定弁護士は素朴な疑問を投げかけていく》
指定弁護士「陸山会で購入した不動産を将来的にどうしようと考えていたのですか」
証人「将来は考えていませんでした」
指定弁護士「3億5千万円で購入した土地も将来的には考えていない」
証人「はい。私が(秘書の)束ね役をやっているときは、そういう認識はなかった」
《さらに、指定弁護士は大久保元秘書が岩手県釜石市議を2期務め、市長選に立候補した経験を持ちながら、政治団体の会計業務を「知らない」と主張している点が矛盾するとして質問を始める》
指定弁護士「一般的に政党が寄付をしたり資金を支出した場合、法に触れて罰せられることはご存じですよね」
証人「はい」
指定弁護士「陸山会で全く会計を知らなくていいと思ったというのは本当ですか」
証人「担当の秘書がいましたので、そちらでやればいいと」
《ここで弘中惇一郎弁護士が率いる弁護団から裁判長に異議が申し立てられる》
弁護人「反対尋問の再尋問の範囲を超えている。主尋問でも繰り返している」
裁判長「すでに出ていることもあるので簡潔に。異議は棄却します」
《異議は棄却されたが指定弁護士は長くは質問を続けず、簡単な確認を行っただけで再尋問を終えた。その後、左陪席の裁判官が質問を始める》
裁判官「平成11年に住み込みで秘書になってから会計の仕事をやったことはありますか」
証人「ありませんでした」
裁判官「12年に会計責任者を担当したときにはどうしましたか」
証人「まとめ役ということでしたので」
裁判官「昨日から今日まであなたは『与えられた職務を頑張りたい』と言っているが、会計責任者についてはどうなのか」
証人「議員会館の仕事を頑張るということで、会計責任者を含めてということではない」
《秘書の仕事は頑張るが、会計責任者の仕事はその範囲にないと主張する大久保元秘書。裁判官は疑問を投げかけていく》
◇
【小沢被告第6回公判(11)完】
かいま見れた忠誠心 閉廷時、小沢被告に深々と一礼
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/111201/trl11120119210016-n1.htm
2011.12.1 19:20
(16:35〜17:10)
《資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる虚偽記載事件で、政治資金規正法違反罪で強制起訴された民主党元代表、小沢一郎被告(69)の第6回公判は、大久保隆規元公設第1秘書(50)=1審有罪、控訴中=に対する裁判官の証人尋問が続いている》
《左陪席の裁判官は、検察官の圧力を受けて「事件が広がらないよう、容疑を認めた」とする大久保元秘書の証言について、詳しく確認していく》
裁判官「1月23日に調書に応じる前の、前田検事の言動を思い出せますか」
証人「『小沢先生が事情聴取される前に認めないと、われわれの捜査の手が広がっていくと思う』という、そのようなニュアンスでした。その中に、議員会館事務所の家宅捜索の話もありました」
裁判官「そういうあなたの解釈ですか? それとも前田検事の発言ですか」
証人「『議員会館の家宅捜索』という言葉はありました」
裁判官「逆に、認めれば捜査が広がらない、という話はありましたか」
証人「前田検事は『あなたは事件をどうしたい』というところから聞いてきたので、認めれば広がらないという印象を持ちました」
裁判官「約束ではない?」
証人「明確にしあってはいません」
裁判官「あなたが忖度(そんたく)した部分もありますか」
証人「はい、そう思います」
裁判官「細かく正確に覚えていないこともあって、『ニュアンス』『趣旨』という言葉になるんですかね」
証人「はい、そうです」
《続いて、右陪席の裁判官が質問を行う。はじめに前任の会計責任者から一切引き継ぎを受けていないと大久保元秘書が主張している点について尋ねる》
裁判官「会計責任者は法律で定められ、当然やるべき手続きがあることは漠然とは認識していたと思いますが…。違反があれば処罰の可能性もわかっていたはずですよね。前任や、他の事務所の会計責任者から聞くこともなかったのはどうしてですか」
証人「私は東京の取りまとめ役で、会計責任者職は象徴的な存在と思っていた。実務はスタッフがやっているもので、処理に問題があるとは思いませんでした」
裁判官「収支報告書の宣誓書について、内容も確認せず署名・押印を他人に任せていますが」
証人「他人ではなく、実務に任せていました」
裁判官「そのことを(小沢)被告人は認識していましたか」
証人「わかりません」
裁判官「被告人に尋ねられたこともありませんか」
証人「なかったと思います」
《続いて、右陪席の裁判官は問題の土地購入に際し土地登記を遅らせた点について、小沢被告の共謀の有無を改めて尋ねていく》
《午後5時を回り、これまで静かに審理を見守っていた小沢被告も、さすがに疲労した様子。しきりに肩や首を回している》
裁判官「決済を遅らせることについて、(元秘書で会計実務を担当していた)石川(衆院議員=1審有罪、控訴中)さんから相談を受けたということだが、石川さんは小沢被告人にも相談をしたと話していましたか」
証人「聞いていません」
裁判官「尋ねなかったですか」
証人「何かあれば、石川氏がやっているかもしれないし、やっていないかもしれない。私は、石川氏から(登記を遅らせる提案を不動産仲介会社に)申し入れてほしいということだったので、取り次ぎました」
裁判官「土地購入はあなたから出た話ですよね」
証人「土地購入そのものは」
裁判官「契約内容を変えることについて、被告人が了解しているかは気になりませんでしたか」
証人「そのへんまでの思いはありませんでした」
《また、捜査段階で「弁護団よりも検事の話が信用できる」と振り返った点について尋ねられ、大久保元秘書は「保釈された後で、(検事に対し)少し気を許しすぎたと感じた」と返答。最後に、大善文男裁判長の質問が始まる。大善裁判長は大久保元秘書から始まった土地購入の話に、契約後は一切かかわっていない点について疑問を呈す》
裁判長「結局登記がいつ済んだのか、認識はありましたか」
証人「そこまでありませんでした。(石川議員から)問題なく終了した、と聞いていたので、気にも止めませんでした」
裁判官「秘書寮を建てる目的で土地を探したんですよね。登記の時期に関心はありませんでしたか」
証人「寮をすぐに建設する、という逼迫(ひっぱく)した状況ではありませんでした」
《大善裁判長は続いて、供述を変遷させ容疑を認めた理由について再び質問。右陪席の裁判官も質問しており、関心の高さがうかがわれる。大久保元秘書は「事実でない調書に応じることが小沢さんを守ることにつながる」という証言について、「(前田検事から)ニュアンスと駆け引きがあった」と再び強調する》
《最後に大善裁判長は、石川衆院議員が自白したという嘘の事実を告げて大久保元秘書の供述を引き出したという「切り違え尋問」について質問する。大久保元秘書はここまで、「弁護団より検察官の話が信用できる。石川議員が否認を続けているという弁護団の話は間違っていると思った」と振り返っていた》
裁判官「検察が言う石川さんの話は信用できるということだったんですね」
証人「大物(前田検事)が私の担当についた。彼の力を信じた方がいいだろうと思いました」
裁判官「信じた方がいいという判断?実際に信じたんですか」
証人「信じるしかないと思いました」
《弁護側が事実関係について確認の質問を行い、2日間に及んだ証人尋問は終了。大善裁判長は大久保元秘書に「長時間お疲れさまでした」と声をかけた》
《大久保元秘書は、これまで一切視線を向けることのなかった小沢氏側に深々と一礼。閉廷より先に、法廷を後にした》
《次回公判は今月7日に開かれ、石川衆院議員の後任の会計担当者、池田光智元秘書(34)=1審有罪、控訴中=の証人尋問が行われる》
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