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[年金受給年齢引き上げ] 官僚が仕掛け 与謝野・仙谷・藤井の3人が成案化 [無責任国家の正体・ジャーナリスト北沢栄]
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2011/11/29 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
無責任政治体制は、官僚任せから生まれる。
世間をアッと驚かせた政府の「年金支給開始年齢の68歳から70歳への引き上げ検討」。実は菅直人前内閣が7月1日に閣議了承した「社会保障・税一体改革成案」中の「社会保障改革の具体案」に明記されてあった。だが、当時は消費税10%への引き上げの陰に隠れて注目されなかったのだ。
政府筋によると、この悪名高い「年金受給年齢の引き上げ案」の採用を決定した中心メンバーは、民主党政権中枢の与謝野馨経済財政政策担当相と仙谷由人内閣官房副長官、藤井裕久首相補佐官(肩書はいずれも当時)の3人だ。
うち藤井氏は大蔵省主計官出身で元財務相。野田政権では党税制調査会長を務め、年明けの通常国会に消費増税法案の提出を目指す。与謝野氏はカチカチの消費増税論者で知られ、菅首相(当時)が消費税引き上げを狙って野党から引き抜いた。仙谷氏は民主党政権を実現した09年の衆院選マニフェストから早々と背を向け、財務官僚と手を組んだとされる。
先の政府筋によると、官僚が今春、民間のある審議会委員の発言からヒントを得て、「社会保障と税の一体改革」会合に中長期的課題のはずの「年金受給年齢引き上げ案」を持ち込み、これを前出の3人が成案に盛り込んだ、というのが真相のようだ。
つまり、各省庁が持ち寄った原案を基に、政権中枢の3人がまとめ、成案に仕上げたのである。政官の合作に見えるが、厳密には官僚たちが作った増税、年金、医療、介護などの案を、消費増税論者で凝り固まる政権中枢が承認した構図だ。
実質は官僚主導だった一体改革案は、次のような筋書きとなる。国民からカネ(消費税、保険料)を官僚機構に徴収して、官僚が事実上こしらえた改革案に沿って官僚の裁量で分配する――。典型的な官僚の手による中央集権型改革案である。
これには反論があるだろう。「民間の有識者による審議会で改革案が検討されるのだから、民意は生かされる。官僚独裁にはなり得ない」と。しかし、現実はそうはならない。有識者委員などの審議メンバーは通常、所管省庁が選ぶため、官僚たちは自分たちに都合のいい「親官僚派委員」を配するからである。筆者は、政府の委員を10種以上も務める大学教授に出会ったことがある。
内閣の政権運営の拠点となる首相官邸には、各府省庁から選りすぐりのエリート官僚が派遣され、目を光らせる。政策を立案し、首相や各大臣に政策を提言し、助言するのは官僚たちだ。
野田首相の事務秘書官計6人は、すべて官僚で占められている。財務省主計局次長だった太田充氏をはじめ外務、警察、経済産業、厚生労働、防衛の各省庁から1人ずつ派遣され、各府省庁と連絡を取り合い連携する。菅政権で厚労省と防衛省から計2人が増員された。
藤村修官房長官の秘書官は7人が官僚出身。財務省主計局から来た宇波弘貴氏をはじめ外務、総務、厚労、経産、内閣府、警察の7府省庁から派遣されている。内閣官房にも官房副長官、危機管理監、内閣広報官、内閣情報官に国土交通と警察から2人ずつ。官房副長官補に財務、外務、防衛から1人ずつ計3人が連なる。
官僚が首相官邸を占拠し、情報を握って陣取る図である。
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