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大阪ダブル選 私はこう見る/文化こそ都市の格/木津川 計 「上方芸能」編集人
毎日新聞 2011.11.29 朝刊 6面
今回の選挙をボクシングに例えると、橋下徹氏が手数が多くて終始攻勢、平松邦夫氏は守勢にまわってばかりだった。最初から勝敗は明らかだった。いわゆる無党派層が動き、投票率が非常に高くなった。しかし無党派層には2種類ある。一つはかつて横山ノック元知事をお笑い人気だけで支持した「無定見な喝采型」。もう一つは、これまでの政治への失意や怒り、不満などを持つ「漂流する不満型」。今回の選挙は不満型が動き、政治を変えてくれるだろうと橋下氏を支持した。
有名な言葉で「歴史は繰り返す。一度目は悲劇として、二度目は喜劇として」というのがあるが、大阪では逆が起こる。横山氏は喜劇だったが、今回の維新圧勝は悲劇の始まりだ。
橋下氏は「独裁」が必要と公言したが、維新の会のチラシでは自民、民主、共産の平松支援態勢の方を「独裁」と批判した。言葉のすり替えで、巧妙なやり方だ。しかし、橋下氏は強力なリーダー的資質を持っており、独裁にならざるを得ない。当選後の記者会見を聞いていて、橋下氏の隣にいた松井氏が精彩を欠いていた。私が懸念するのは、大阪が橋下氏の独裁による専制政治になることだ。
橋下氏は芸術文化に対する理解を持ち合わせておらず、知事時代には文化団体の助成をどんどんカットした。市長になってもその方針を続けるだろう。しかし、都市の格は上質な文化があるかどうかで決まる。都構想など制度いじりにばかり夢中にならず、文化芸術のサポート体制を強め、中小企業の技術力を生かした産業の推進など具体的な経済再生プランを打ち出すべきだろう。
橋下氏を選んだ民意に、政治への監視を期待することはできない。行き着くところまでいって、自分たちが確信を持ったポーズやフレーズに幻惑されていこと気付く時が来る。高い授業料を払うことになるだろう。【聞き手・牧野宏美】
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きづがわ・けい 1935年生まれ。大阪市立大卒。68年に能や歌舞伎、落語など関西の芸能・文化を幅広く紹介する雑誌「上方芸能」を創刊。98年に菊池寛賞受賞。著書に「人間と文化」「上方の笑い」など。元立命館大教授で、現在は和歌山大客員教授。
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