http://www.asyura2.com/11/senkyo122/msg/757.html
Tweet |
今週行なわれた行政刷新会議による「提言型政策仕分け」で、公的年金の給付引き下げの提言があった。今年から0.4%引き下げられた年金給付額を、さらに2.5%引き下げると言う提言である。なお、11年からの年金給付額引き下げは、10年の物価が05年の物価を0.4%下回ったことより、その見合い分とされている。
公的年金は、物価変動に応じて給付水準を増減するようになっている。処が、00年〜02年の物価下落は1.7%あったにもかかわらず、当時の政府・自民党は「高齢者に配慮する」として、年金給付引き下げを見送った。その後も引き下げを見送ったので、物価下落とこの特例水準の乖離が11年度には2.5%になっているそうだ。この乖離を解消せよとの提言である。
藤村修官房長官は「12年度予算編成をはじめ、その実現に向けて具体的な検討を進める。(仕分けは)公開で議論を行い、(提言には)内閣としても重い意味がある」と述べ、提言を尊重して来年度からの引き下げ実施を検討する考えを示した。また、小宮山厚生労働大臣は来年度から3年間で引き下げに取り組むと述べた。つまり、来年からは、毎年0.8%ずつ、年金給付額を引き下げると言うことである。
民主党政権が発足した直後に行なわれた「事業仕分け」は、国民に政権交代による歳出削減への期待を抱かせた。だが、中止されたとは言え、朝霞の公務員宿舎建設などの事例に見るように、その歳出削減の期待は次々と裏切られた。その原因は、事業仕分けには法的拘束力が無かったので、事業仕分けされても、いつの間にか官僚によって事業が復活されていたことによるものだった。
今回は個別の「事業仕分け」ではなく、「政策仕分け」にしたが、その仕分けに法的な裏付けが無いのは、2年前と何ら変わりはない。今回と2年前とその「重み」はどう違うのだろうか。事業仕分けは、個々の事業を第三者が評価し、政府に答申したものである。それを行政に反映させることが出来なかったのは、内閣の責任である。
これに対して、今回「政策仕分け」で扱ったのは国民の生活に直結する社会保障制度や、原子力政策など国の根幹に関わる問題であった。果たして国民の代表として正当性の無い仕分け人が議論すべきテーマであったのだろうか。原子力政策では「もんじゅ」の見直しという事業仕分けで終わったが、国民生活に直結する社会保障制度は政治的に正統性のある国会議員が議論するのが筋だろう。間違っているだろか?
日本経済が成長すれば物価は上昇する。その物価上昇に応じ、年金給付額もアップしないと年金受給者は「じり貧」になる。従って、消費者物価指数の変動に応じて、年金給付額も変動する。年金制度が発足した1961年からの高度成長経済下では、毎年数%の物価上昇があったから、当然のルール・システムであった。処が、デフレ経済に突入し、物価が下がった。全く想定外の事態に陥ったのである。
その時、自民党政権は「高齢者に配慮する」として、年金給付引き下げを見送った。その政治判断の根拠は、経済予測では、デフレ経済が10年も続くことはなく、いずれ物価上昇期に入るというものであったのだろう。処が、デフレ経済が続き5年前より消費者物価指数が0.4%下がった。そこで今年から年金給付額を引き下げた。その際、民主党政権は政治的検討も、国民生活への配慮も全くしなかった。
ルールだと言えばそれまでだが、そのルールを定めた基本精神には、デフレ経済の長期継続の想定は無かったと推量される。自民党政権はそこで、「高齢者に配慮する」との政治的判断を下した。処が、野田内閣は、財務省が特例水準による年金過払いの累積額が7兆円あると言うのに呼応したかの如く、何ら政治的な検討もせずに、官房長官は「重い意味がある」と言うし、厚労相は「引き下げる」と即応してしまった。
国民が民主党に政権を負託したのは、自民党とは違い民主党は国民生活を第一に考えてくれるからと思ったからだ。ルールに従い給付引き下げは行なうとしても、野田内閣の対応には、国民目線が欠けている。財務省は「過払い」と言うが、特例水準が政策として決定されたことだから、決して「過払い」ではない。特例水準は、日本経済がデフレ経済から脱却するまでのものとした、政治の結果である。
野田内閣は、官僚の利権に係る事業は仕分けされても復活させながら、官僚の利権と関係ない話だと財務省の言いなりなり、国民に負担を強いる。これはどう見ても国民が政権を負託した政党の姿ではない。筆者は間違っているだろうか。
http://www.olivenews.net/news_30/newsdisp.php?m=0&i=12
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
▲このページのTOPへ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK122掲示板
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。